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第21話 女の子を助ける為に

「ああ? 何だあ? その自信はよ?」


 少年の眉がわずかに歪む。目の前の小さな少女が一切ひるまないことが、どうにも気に入らないらしい。苛立ちが、じわりとその声音に滲んでいた。


「くそっ、面倒くせえなあ……」


 吐き捨てるように言い、首を鳴らす。


「ああ、分かった分かった。――そんじゃあ今から、お前をブッ飛ばしてやるよ」


 その言葉と同時に、少年はゆっくりと歩き出した。重い足取りが、確実に麗奈との距離を縮めていく。


「ええ、どこからでもどうぞ」


 対する麗奈は静かに息を整え、重心を落とす。無駄のない動きで構えを取るその姿は、小学生とは思えぬほど洗練されていた。


 その様子を見た少年は、ふっと口元を緩める。


「へえ……お前さ、何か武術でも習ってんの?」


「ええ、少しね」


 短い返答。だが、その声には確かな自信が込められている。


「そうなんだ?」


 軽く笑いながらも、少年の目が鋭く細められた。


 互いの距離は、じりじりと詰まっていく。あと一歩踏み込めば、打撃が届く間合い――その境界線に差しかかった瞬間、少年もまた、すっと構えを取った。


「実はよ……俺もなんだよねえ」


 低く呟きながら、少年はさらに半歩踏み込む。


 空気が張り詰める。


 次の一瞬で、すべてが動き出す――そんな予感だけが、その場を支配していた。

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