表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変化の果実  作者: こもりみかん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/4

名付け

「あの方大丈夫でしょうか?」

「さっきの馬鹿か。今頃、……心優しいお医者さんに助けられてるだろう」

「そうですか。それなら安心しました。私のせいで怪我をしましたから」

「あれはお前のせいじゃない。気にするな。それより、目的地に着いたぞ」


大きな神木である母の下には沢山の人や地面に棒が刺さっている。


ファザーは棒が刺さった場所まで行ったので、私も一緒に付いていきました。彼は地面に向かって手を合わせます。


「何をしているのですか?」

「……死んだ娘を弔っているんだ」

「つまりこの棒は……?」

「娘の墓だ」


墓というものが何なのかは分からないけど、今は聞かない方がいいとなんとなく分かりました。


私も手を合わせて目を瞑ります。これが何を意味するのかは分かりませんが。


「ファザーさん、こんにちは。今日も来てたんですね。おや、そちらの方は?」


話しかけられる言葉に目を開けて、振り向くとそこには恩人様がいました。


「こんにちは、セイさん。この子は新しい家族です」

「こ、こんにちは。先程ぶりですね」


恩人様はこれでもかというぐらい目を開き、私を見ます。


「先程のお嬢ちゃんか。無事で良かった……」


心配してくれてたんだ。やっぱりいい人だ。けれど、あんな目に遭ったのはこの人のせいでもある。


「分かってて死地に送ったということですか! ファザーさんが来なければ、私…食べられてたかもしれないんですよ!!」

「それは……すまない。家族を養うため必要なことなんだ。私の事は許さなくていい。恨んでくれ」


彼は帽子で目を隠し、目を合わせようとはしません。


「私をあのお店に案内したことは許しません。ですが、貴方が助けてくれたことも事実です。だから恨みません」


恩人様は私と目を合わし、一言謝ってから仕事場に戻っていきました。


「いいのか?」

「何がですか、ファザー」

「何でもない。さあ、行こうか。神木に触れる距離まで」

「ええ!」


元気よく返事をして、私はファザーの手を握り、木の下まで移動しました。




「名前は分かった?」


お母さんに触れた私を後ろで見守っていたファザーが話しかけてきた。


「分かりません」

「何で?」

「お母さんが喋らないので」

「それもそうか。お前達と違って母親は木なんだから」


喋る器官がないから? でも生まれ落ちる前までは……。


「お母さんは私の名前をつけてくれないんだ……じゃあ、私は――」


なんて名乗ればいいのだろう。そう口にしようとしました。


「フタバ」

「え」

「今日からお前はフタバだ。お前の新しいお父さんとして名付ける」

「お父さん……」


ーーお父さん! 私、歩けるようになりたい!

ーー……歩けるように父さんがしてやる。変化の果実をいっぱい食べて、初めてのヒーラーに私はなるんだ

ーーやったー!! じゃあ、待ってるね!


私のものではない記憶が流れ込んでくる。けれどそんな些細なことなんて気にしていられない。今は名付けられた喜びの方が大きい。


「お父さん、ありがとう」

「礼なんていらない。親として当然のことをしたまでだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ