買われる
「ここから出してください!!」
ドンドンと壁を叩いているのに壊れる気配は全くない。先程の女性は私達を無視している。
すると私が入ってきた扉が開き、人が入ってきた。
「いらっしゃいませ! 当店では様々な変化の果実をお売りしております!」
入ってきた男の人は恩人様よりは若く感じる。その人は私達を眺めてきょろきょろすると、女性に話しかけました。
「いい魔法が手に入りそうな変化の果実はどれですか?」
「すみませんが分かりません。いい魔法が手に入るかどうかはお客様の目利き次第でございます」
「それもそうか。無茶な質問をしてすみませんでした」
「いえいえ。こちらこそ答えられなくてすみませんでした」
男の人はぺこりと頭を下げてから、また私達を眺めにきた。そして私の隣を指を指し――。
「この果実にします」
「かしこまりました! 20万ベルになります」
男の人はポケットから何かを出すと女性に渡した。すると、私の隣にいる人の透明な壁が消えた。
そうか、外にいる人が指名して何かを渡せば、解放される!
助かる方法が分かり、私は喜ぶが、隣の兄は何故が震えている。何故だ。せっかく助かったのに喜ばないなんて……。
男の人が解放された兄の元まで近寄った。しかし、兄は震えたままだ。
男の人の手が兄の腕を掴んだ。そしてそのまま机が置かれているスペースに移動する。その間、兄は抵抗している。
何で抵抗するの? 助けてくれた恩人じゃない。怯える必要なんてないのに。
しかし、兄の反応の方が正常だったと男の人の行動を見て、知った。
「いただきます」
「え?」
瞬間、男の人が兄の首を噛みちぎった。
「っ!?!?」
驚きのあまり声も出なかった。
兄はピクピクと動き、血を零す。それを平然と見ている人間達。
兄が殺されたのに不思議と殺意は湧いてこない。湧いてくるのは恐怖だけだ。私も購入されたら殺されるかもしれない。しかし、透明な壁が邪魔して逃げ出すこともできない
そんな時、入店の音が鳴り響いた。
ビクビクしながら振り返ると別の男性が入ってきて私を人差し指で指した。
「この子を買います」




