売却
木から離れ、落ちていく。
生まれてすぐに落下死してしまうと思って体を縮め、目をぎゅっと閉じた。
しかし、一向に痛みはこないし、むしろ柔らかい何かに体が支えられている。
恐る恐る目を開けると私は人間にひらひらとした何かで包み込まれていると分かった。もしかして、助けてくれたのかも。
「ありがとうございます」
「いいってことよ。君達が落下死しないようにすることが仕事の内容だから」
仕事というのは分からないが、おかげさまで助かった。その気持ちを深く頭を下げることで表していると、男の人は私を地面にゆっくりと置きました。
「生まれ落ちたばかりで悪いが、付いてきてくれないか?」
「はい、付いていきます。助けてくれたお礼をしたいですし」
それに私はこれから何をしたらいいか分からない。
これから先の人生が心配で母を見上げる。母から次々と妹や弟が落ちてきている。
「危ない!!」
思わず大きな声を出してしまったが、私の妹や弟は大事には至らなかった。私と同様、人間が受け止めてくれたから。
「安心して付いてきな。お前さんの兄弟姉妹は俺達が受け止めてやるからさ」
「何から何までありがとうございます。良い人ですね」
笑顔でそう言うと命の恩人様は眉をぴくりと動かし、一瞬暗い表情を浮かべました。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ……大丈夫だ。それより急ごうか」
「はい」
そうして私達は建物がたくさん建っている方向に行った。その時、恩人様が握っていた手は震えていて、ずっと小声で「ごめんなごめんな」と謝っていました。
目の前には大きな建物が建っています。他の建物とは比べ物にならないほどです。
「……この場所に居る人がお前さんの運命を教えてくれるだろう」
「ありがとうございます。何をしたらいいか自分でも分からなかったので」
「じゃあな、お嬢ちゃん」
「はい! 機会があったらまたお会いしましょう!」
恩人様は被っている帽子を目の下まで下げて、私に背を向けました。
ここで私の運命が決まる。緊張で汗が出て、期待感で胸がドキドキと鼓動をはやめる。
私は一呼吸してから扉を開けました。
「いらっしゃいませ! 当店では様々な変化の果実を買うことができますよ〜」
この建物の中には透明な壁に閉じ込められた兄や姉が居ました。私の家族がここに居るってことは恩人様の言ってたことは正しいってことね。
「あの、私、ここに来れば自分の運命が決まるって言われて来たのですけど……」
「……なるほど。果実の方ですね。こちらまでどうぞ」
言われた通り女性の所まで近づくと、兄や姉が必死に何かを訴えようとしていると気がつきました。
私が疑問を浮かべて首を傾げると、女性が何かを呟いたかと思うと、体がヒリヒリして動けなくなりました。
そしてそのまま気を失い、気づけば私も透明な壁の中に入っていました。




