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忌み嫌われる夜の令嬢ですが国家の中枢を担っています  作者: think


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シャッシャッシャッ。

カードシューターからテーブルマスターとハオルに一枚一枚カードが配られていく。

さすがの手つきであり、流れるようにカードが手元にやってくる。


「それではどうぞご確認を」


ハオルは五枚のカードを手にすると、そのまま手を閉じた。

そこで思い出す。

一度だけ交換できることを教えてなかった。


「チェンジはされますか?」


「チェンジ?」


「はい。手札からお好きなカードの枚数を交換でき、より高い役に育てることが可能です」


「いや、結構です」


えっ?ハオルの手札は役無しだったはず。

ここは交換して手札を強くする必要があるのだけど……


「それでは私は三枚を交換させていただきます。ベットはいくらなさいますか?」


伏せた三枚のカードを場に出し、テーブルマスターは三枚カードを引いた。


「チップをかけることですよね?では一枚を」


「お受けいたします。さらにチップを五枚追加させていただきます。勝負を受けるならコールを。まだベットを続けるならレイズを。降りるならドロップと言ってくださいませ」


「ドロップです」


「それではベットされた一枚を没収させていただきます」


ハオルが置いたチップを回収棒がさらっていく。

初戦はあっさりと負けてしまった。

さて、ここからどうするのかしら?



「コールです」


「それではショーダウンです。私がツーペア。ハオルシア様がワンペアで私の勝利ですね」


そこから五戦が経過したが、ハオルは連戦連敗。

それもそのはず、意外と熱くなってしまっているのか、表情が読みやすく弱い手札でも勝負にいってしまっている。

おかげで残りのチップも八十枚を切りそうだ。


「むむむ……一枚の交換を!」


一枚ということはストレートかフラッシュ狙いか、ツーペアを持っているのだろう。

そう思ったのだけど、手札を見て驚いた。

予想とはまったく違う手札だったから。


「一枚です」


そしてハオルは一枚を手札に入れると、愕然と肩を落とした。


「私は三枚を交換させていただきます。それではベットをお願いします」


「チップ十枚です!」


ハオルは勝負に出た。

それを受けてテーブルマスターは、


「お受けします。さらに二十枚を追加です」


「こちらも二十枚追加します!」


あれよこれよという内にチップは場に積み上がり、ハオルは受けきれない上限まで達しそうになる。


「コールです」


「かしこまりました。それではショーダウンです。キングのスリーカードです」


「こちらはエースのスリーカードです。こちらの勝ちですね」


「なっ!?」


テーブルマスターは驚きを隠せずに声を上げた。


ハオルは元々エースのスリーカードを初手で持っていたにも関わらず、二枚の交換ではなく一枚とした。

そのおかげでスリーカードではなく、よくてツーペア。あとはストレートかフラッシュ狙いの手札だと相手は読まされてしまった。


それに加えて、一枚もらったときの仕草。

うまくいかなかったように見える動作でストレートかフラッシュは失敗。ツーペアが最高手だと思わされる。

そして自分の手札はキングのスリーカードまで育った。

ならば勝負と判断するのは至極当然だった。


「ハオルシア様、やりますね……まんまと一杯食わされましたよ……」


「ふふふ……嘘は得意なんです」


「もうワンゲームされますか?」


「ええ、よろしくお願いします」


ハオルとテーブルマスターは笑い合うとすぐに、無の表情へと変化していった。


「弟君は、良き勝負師になりそうですね」


「レックス。見ていたの?」


「ええ。さすがライラック様の弟君ですね」


「ふふっ、ありがとう」


その後、ポーカーマスターとも言われる人物と互角の闘いを演じたハオルは、多くの観客を魅了していった。


そして、満足したハオルとカジノから出ると、


「楽しかった?」


「はい、楽しかったです」


勝負をしていたときとはまるで違う笑顔を見せてくれたのだった。

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