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忌み嫌われる夜の令嬢ですが国家の中枢を担っています  作者: think


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容疑者たち

「ということで、ローリィがしばらくこの屋敷で過ごすことになったのでみんなよろしくね」


「よろしくお願いいたします」


帽子と眼鏡を外したローリィはとても愛らしい少女だった。公演中は大人びて見えるのはその歌声からかしら?

そんな彼女をホールにて使用人のみんなに紹介すると、一斉に大きな歓声が響き渡った。


「うぉぉぉぉぉぉ!ローリィさんだ!」

「きゃぁぁぁ!ローリィちゃんよ!」


老若男女関係なく騒ぎ立つ彼らを見て、改めて彼女の人気の高さを思い知らされる。

そんな彼らに笑顔で手を振るローリィ。


うーん……慣れたものね……


「はいはい。レミゼラルムーン家で働く者として騒ぐのはここまでよ。彼女が心穏やかに過ごせるようにしてちょうだい」


「はい!お嬢様!」


私の言葉にアイリスが手を挙げる。


「はい、アイリス」


「サインはもらえますか!?」


「……どうなのローリィ?」


「お世話になりますので、喜んで書かせていただきます!」


ローリィの答えにまたしても沸くホール。


「それじゃ希望者は手を……って全員じゃない」


十数人いる使用人たち全員が手を挙げ、あろうことか、


「ハオル、あなたもなのね?」


隣に立っている弟までちゃっかりと手を挙げている。


「姉様……申し訳ありません……」


「ふふっ、別に構わないわよ」


意外な一面を知れたことが嬉しく思えた。


「ローリィ、大変だろうけど頑張ってね」


「いえ!お任せください!」


「あっ、私の分には名前を書いてちょうだいね」


笑顔で頷いてくれるローリィに私のもお願いしちゃった。


「お嬢様ズルいです!私もアイリスちゃんへって書いて欲しいのに!」


「ああもぉ!静かになさい!」


なんとも賑やかなレミゼラルムーン家であった。



「それで、思い当たる人物というのは誰なのかしら?」


紹介を終えた後、ローリィと二人で客間に移動しテーブルを挟んで椅子に座る。

そうして容疑者のことを聞くことにした。


「はい、一人目はセレイア伯爵家のご子息であるシュレン様です。この方はお会いする度に求婚してこられるので毎回お断りさせて頂いています」


「ああ、シュレン様ね」


「やはりご存じなのですね?」


「ええ、会うたびに嫌味を言ってくれる人ね。家柄しか誇れるものがないという典型的な人。まあ父親もそうなのだから仕方ないとは思うけど、散々意味嫌っているナディアスの歌姫に惚れ込むなんてどうかしてると思うわ」


「はい……僕がこの街から君を救ってあげるなんて言われるのですが迷惑です。私はナディアスという街が好きなのですから」


「ふふっ、ありがとう」


とはいえ、あのナルシストなお坊ちゃんが心中めいたことをしようとするかしら?

うーん……考えづらいとは思うけど歪んだ愛情はどうなるか分からないから安易に容疑者から外すようなことはやめておきましょう。


「二人目はドライク家のご子息であるカーズ様です」


「あの流通大手のドライクグループの?」


「はい、そうです」


「さすがローリィというか、名前だけの貴族であるシュレン様よりもよっぽど大物じゃない。でも確か既婚者よね?それに生まれたばかりのお子さんもいたはずよ?」


「ええ……別れるとは言っているのですが、私は家庭を壊したくありませんのでお断りしています」


「はぁ……結構常識人だと思っていたのだけどね……」


何度か仕事関係でお会いしたことはあるけど、仕事のできる好青年といった印象だった。

ビジネスの場面とプライベートな場面では違うものなのね。


「それで一応最後の人なのですが……」


「あら?もう最後なの?てっきりもっといるのかと思ったけれど」


「ええ、私の中で特に怪しいなと思う方を挙げています。その方たちではなかったらまたお伝えさせてください」


「そうね。多すぎると捜査も雑になるからね」


「お時間かかりそうで申し訳ありません……」


「いいのいいの。気にしないでそれで最後の一人は?」


「それが……」


どうも言いづらそうにするローリィ。

なので私は彼女が口を開くまで待つことにする。


「私の担当マネージャーのファレドさんです……」


「それはあなたが所属している芸能事務所のマネージャーってこと?」


「はい……」


確かローリィを小さな歌喫茶の歌い手から歌姫へと引き上げたという、彼女にとっての恩人だったはず。


「なぜ容疑者だと思ったの?」


「少し前に告白されたのですが……お断りした時のその瞳が、怖かったんです……」


一番身近な人がそれじゃきついわね。

それでマネージャーとではなく劇場の支配人と来たわけか。


「とりあえず、マネージャーは近づけないようにしておくわ。その代わりに私の弟をマネージャー兼護衛に付けさせようと思うのだけど、それでいい?」


「もちろんです!ですが、そこまでしてもらってもよろしいのでしょうか……?」


「いいの。私がしたいからしてるのだから」


「ありがとうございます……」


また泣かせてしまった。

そんなつもりはまったくないのに、難しいものね。

さあ、歌姫の心労を取り除くため、頑張って働きましょうか。

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