異国連合の内部対立
「サクリッド様、報告書です」
「ボレット、ありがとう」
サクリッドは執務室にて、報告書を受け取った。
その報告書は十枚ほどのものであるが、一枚一枚にびっしりと文字が書かれている。
そしてそこにはデレリアット侯爵と、ある人物の癒着が次から次へと出てきていた。
「やはり、あいつか……」
「そうですな」
そこに登場してくる人物に心当たりしかないサクリッド。
まさかここまで落ちぶれていたとはな……
サクリッドが頭を抱えて、ため息を吐く。
その人物とは、ギゼル・シルヴァ。
彼の弟である。
ギゼルはポンザと組み、希少な亜人の子どもを王都の有力者に売りつけていた。
そうして得た金をばらまき、地盤を固めているということだった。
「しかし、こんなだいそれたことを上手く隠せていたな」
「ポンザが信用する顧客のみに招待するオークションを開催。そこにギゼルが別の土地で誘拐してきた子どもたちを連れていくといったことをしていたそうですね」
「入国するときに監査があるだろう?」
「そこも関連の貴族を買収していたと聞きます。ですが先日捕まったようですね」
「グリオンといったか?新聞を読んだよ」
「はい。彼が捕まったおかげで通行許可をもらえる当てがなくなり、今後はオークションを開催できないでいるでしょう」
「うむ。早速ライラック様に伝えてこよう」
サクリッドの冷たそうな白い肌に、ほのかな赤みが差す。
「護衛はどうされますか?」
「いらん。女性を訪ねるのに不粋であろう?」
「そう言われると思っていましたが、一応連れて行ってください。中央区はまだしも、西区ではギゼルが何を企んでいるか分かりませんから」
「まったく……我が弟ながら金の力に溺れてしまい情けない」
「そうおっしゃっりますな。唯一の肉親でありましょう?」
「ボレット、だからこそ悲しいのだよ。私が成人してこの街に来た時は一緒に貧しさから抜け出そうと、組織に入って共に頑張ったものだ。それが今では欲に眩んでしまった愚か者。しかもしてはならぬことをしてしまった犯罪者だ」
「そうですな……」
「私は弟をこの国の法に照らし合わせてもらう。そして罰してもらうつもりだ。その結果極刑となっても後悔はしない」
「サクリッド様のその覚悟。心中お察しいたします」
そうして二人は黙り込み、執務室は静まり返った。
だが、すぐに、
「それではレミゼラルムーン家を訪れようと思うのだが、どのような服装で向かうべきだろうか?贈り物は持っていくのが当然であろうな?ただどのような物を持っていけばいいだろうか?」
「……サクリッド様。一旦落ち着いてくださいませ」
先ほどの深刻そうな表情はどこへやら。
楽しそうに表情を緩ませるサクリッドであった。




