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忌み嫌われる夜の令嬢ですが国家の中枢を担っています  作者: think


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21/87

ライラックの舞闘

異国連合に訪問した日の翌日の午後。

私とハオルは孤児院隣にある武道館へと訪れていた。

ここは幼い内から自分の身を守る為に、レミゼラルムーン家が管理運営している。

そんな武道館の館長と私は対峙していた。

静かに佇む白い道着に身を包み、黒の帯を巻く館長の目は鋭い。

流石歳を重ねた老武闘家である。

ただ立っているだけのように見えるが、一切の隙がない。


私も黒い道着を身にまとい、ただ立っているだけではなく視線や足さばきで相手を誘う。

素足に木の床が心地良いが、そんなことを一瞬でも思った瞬間、


「はぁ!」


館長の拳が私の胸に狙いを定めて飛んでくる。

だけど私も黙って受けるほど未熟ではない。

館長の伸びてくる腕を掴み、そのまま投げ飛ばそうと試みる。

流れる館長の身体がそのまま、床に叩きつけられると私は思った。

しかし、私の身体は宙を舞っていた。


バタァァァン!


「いたたた……」


背中から思いっきり床に投げ飛ばされた私は、武道館の天井を見上げる。

すると白く光る光魔灯が眩しかった。


「まだまだ未熟じゃの」


「館長が強すぎるのですよ」


横たわる私に声をかけてくる館長。

髪は白く、皺が深いながらもどこか若々しい彼の名はタツ・カズシマ。

東洋の武闘家である彼がこの大陸にやってきて、様々な武勇伝とともにこの街を訪れた。

武闘家としては一流な彼だが……


「にょほほほ……ライラック嬢ちゃんもすっかりと育ってきたのぉ……」


館長は私の胸を見てふにゃっと顔を緩ませる。

どうも女好きなのが玉に瑕ね。


「このスケベ爺!姉様をそんな目で見るな!」


「坊っちゃんは相変わらずじゃのぉ。そう言うのをしすこんというのじゃろう?」


「誰がシスコンだ!てぇい!」


「ほいっと」


ハオルも同じ黒の道着を着ていて、そのまま館長に拳を繰り出したのだけど……

私と同じく綺麗に空を舞った。

なるほど、ああいう風にするのね。

私がしたかったことを綺麗に見せてくれた館長。

流石ね。


「嬢ちゃんも坊っちゃんもまだまだ青いのぉ……それじゃあ子ども相手の稽古でもお願いするわい。ほれ子どもたち!稽古の時間じゃぞ」


「「「わぁい!」」」


館長が館の隅で見学していた子どもたちに向かって言うと、白い道着を着た子どもたちが私たちに殺到してきた。

このときばかりは私に女の子が、ハオルには男の子がやってくる。

どちらも稽古とはいえ身体を密着させるのが恥ずかしい。

そんなお年頃なの。




「はい、みんな。そろそろ休憩よ」


「「「はい!」」」


半刻ほどの女の子との稽古を終えて、一足先に休憩を迎える。

そして男の子たちの方を見てみると、サリーナさんの息子のリアット君も汗を流しながら、拳を振るっていた。

キラキラと輝くような銀髪に幼いながらも整った顔。


「がんばれ!リアット君!」


女の子たちからも応援の声が飛んでいる。

そんな声援に少し照れながらも、リアット君は動きを止めないでいた。

周囲の男の子たちに比べればまだ小さい彼だが、武道を習いたいという熱心な想いからここで学んでいる。

私はその理由を聞いてみたことがあった。


「お父さんの代わりにお母さんをボクが守るんだ」


幼くても男の子なんだと私は微笑んだ。


「……お姉ちゃんも守りたいから」


「うふふ、ありがとう。リアット君」


はぁ……可愛かったなぁ……


「姉様!」


「あ、あら?何かしらハオル?」


「さっきから見てましたが、姉様は小さな男の子が好きなんですか!?」


なんてことを言うのかしら、この子は?


「あんなにうっとりとした表情を浮かべて……ボクは、ボクは許しませんから!」


「はいはい。静かになさいね」


私は興奮する弟の腕を掴み、先ほど館長が見せてくれた通りに背負投げをしてみせる。


ドシィィィン!


「うむ。綺麗に決まったのぉ」


「ありがとうございます」


「きゅぅぅぅ……」


館長からのお褒めの言葉をもらえた私はご満悦でした♪

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