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忌み嫌われる夜の令嬢ですが国家の中枢を担っています  作者: think


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リア嬢との冷戦再び?

子どもたちを預けたサリーナさんたちがそれぞれのお店に出勤するのを見送った後、子どもたちの夕食の時間まで彼らが遊ぶのを見ていた。

そうしてから私たちもナディアス中心街へと赴く。

ナディアスは主に中心に私たちが運営する劇場、酒場、遊戯場などがあり、その外側に他の組織が運営する店舗がある。

独占市場というわけではなく、参入することは難しいことではない。

届け出さえすれば営業を開始できる。

だけど、個人が参入しても難しい業種なため、上手く繁盛させることはほとんどない。

なので自然と組織ができていった。

そのうち大きな組織が、私たちレミゼラルムーン家、次に周辺の国が合同で組織した異国連合、最後に貴族や富豪たちが出資し平民が運営する民間組織ムーディアル。

この三つが大きな収益を上げている。

私は特に意識することないけど、異国連合は特にライバル意識を見せており、ムーディアルは共存共栄といった協調スタイルだ。

なので異国連合の集う西側にはほとんど出向かず、レミゼラルムーン家が運営する店の多くが中心街と北部に並んでいるのでそちらを重点的に、そしてたまにムーディアルの勢力圏である東部を訪れていた。

そして今私とハオルは最北の屋敷から孤児院、そこからナディアス北部へとたどり着くと、色鮮やかな光魔灯が暗くなってきた空を照らしていて、美しい。


「姉様、今日も賑やかだね」


「そうね。嬉しい限りだわ」


行き交う人々や客引きのスタッフたちが街の通路のあちこちでやり取りをしている。

しつこく勧誘することは違法なのでお互いに合意の上であることは明示しておきたい。

そんな活気付くナディアスの街を歩いていると、私たちに気づく人もいて、親しげに声をかけてくれる。

改めて私はこの街が好きだと思う。


そうして私たちはナディアスのもっとも中心地にあるレミゼラルムーン劇場へと向かった。

ここでは王子と平民の少女の恋を描いた劇の千秋楽が行われており、劇場の支配人がぜひにとチケットを渡してくれたの。

開演時間までは十分に時間があるので、間に合うはずだ。

そうして歩いていると、行き交う人々の身なりが変わってくる。

高級感が増していくの。

それもそのはずで、お忍びでやってくる貴族たちが多くいるのがこの中心街なのだから。

口ではなんと言っても娯楽を排除することは難しいものなのよね。


「あら」


「うっ……」


そう思った矢先のこと。

見覚えのある令嬢たちのグループを見つけた。

リア・バルザーク伯爵令嬢、陛下の生誕祭で私にいろいろと言ってくれたお方だ。

白いレースの丸帽子を目深に被っているけど、なんとも目立つ金髪ロールによって彼女がリア令嬢だとはっきりと分かる。


「ごきげんよう。リア様」


「……ごきげんよう」


「ここでお会いするということは、貴女たちも劇を鑑賞するのですか?」


「そ、そうよ!」


昨日散々に私のことを悪く言っておきながら、ここで出会ってしまったのが悔しいのか、綺麗な顔が歪む。


「そうですか。私たちも千秋楽ということで呼ばれておりましてチケットを頂きまして」


「ズルいわ!私なんかお父様に頼めないからお小遣いをほとんど使っちゃったのに!」


羨ましそうに私を睨むリア嬢。

なんだか可愛らしいわね。


「うふふ……大人気の男優様ですからね?チケットは争奪戦だったと聞きましたが?」


「そうなのよ!ここに来られない方もいて、一緒に涙を流したの……ってなにを笑ってらっしゃるの!?」


「いえいえ、仲の良いお友達がいらっしゃって羨ましいと思っただけですわ」


「ふん!当然でしょう?貴女とは立場が違うのだから!」


「ええ、ええ。そうでしょうとも。もし私とリア嬢がお友達であれば、公演のチケットをご用意できましたもの」


ピクッ。


ご機嫌に笑っていったリア嬢の動きが止まり、ざわざわと周囲の令嬢たちも騒がしくなる。


「……どのような席でも可能なの?」


「それはもちろん。現に私たちは最前列の中央の席でしてよ?」


私はハオルに持たせていたバッグからチケットを取り出す。

すると彼女たちの視線はチケットに集中していく。


「はぁ……残念ですこと……」


「はぁ……姉様……面白がり過ぎです……」


背後でハオルが苦言を呈するが、コロコロと表情が変わるリア嬢が面白いのだから仕方ないじゃない。


「ふにゅぅぅぅ!べ、別に貴女の協力なんていりませんわ!ほら行きますわよ!」


「あっ待ってください、リア様!」


顔を真っ赤にして足早に去っていくリア嬢を追いかけていく令嬢たち。


「うんうん、プライドが勝つようなら立派な貴族ね」


「姉様、僕たちも行きますよ?公演が始まってしまいます」


「あら、もうそんなに時間が経っていたの?」


「はい」


「……うふふ」


「笑って誤魔化さないでください」


呆れたような表情を見せるハオルに、笑うことしかできない私だった。

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