スレ番9の『若返りはイロイロと痛い』
あれって俺だよな?!
中年男の俺でなく、青年に足を踏み入れたばかりの若い頃の俺。
俺が右腕を上げると、鏡の中の若者も右腕を上げ、両手でペタペタと顔を確かめるように触ると鏡の中の若者も同じような動きをする。
「わ、若返ってる!!」
やっと事情が飲み込め、思わず大声で叫んでしまった。
「ニシシー、これで布団の中で、リュっちゃんを喜ばせられるね!」
イヤイヤイヤイヤイヤ……そんな事、うら若き乙女が幸せそうに、男に言う言葉じゃありません!
男は獣なのよ、気を付けなさい! って言うでしょ!?
「めーちゃん、元に戻してよ!」
今までは中年男性だったから、そう言う衝動が多少はあったけど、そこまで強くはなかった。
だから美少女でナイスバディなめーちゃんにくっつかれても、ちょっとヤバいくらいで済んでいたんだ。
でも今はとんでもなくヤバい。体が若返ったせいで肉体的な衝動が半端なく襲ってきた。
めーちゃんの女性特有の匂いは、俺のとある欲望を司る部位に変化をもたらそうとする。
胸の感触や腰に回してる腕の柔らかさと細さは、痛みを伴って俺の欲求を刺激してくる。
「えー何で? さっき30年若かったら、喜んだっていったよね?」
そりゃ確かに言ったよ、まさか本当に実現すると思わないじゃないか!
中年になってから体にガタがくることが増えて、そうなる度に『若返れたらなぁ』って思う事はあったよ。
それはあくまでも空想であって、それが現実になるなんて思わないじゃないか!
ハーレムを例にするなら『憧れるけど、いざ実現するとなったら、俺は絶対拒否する』って感じだ。だって構成員を平等に愛する自信なんぞ俺にはないし、そんな度量も全くない。
それに生活する上で、行政的な問題は確実に発生する。そう身分証明書の写真は中年なままなんだよ。
証明書の更新とか行政上の手続きとかに行ったら、トラブル必至だ。登録上の情報は48歳男性なのに、実物は18歳男性なんだからさ。
「生活する上で困るから、元に戻して」
俺は主に行政上の問題点だけを説明した。
ハーレムうんぬんの説明までしたら、要らぬ知識を付けためーちゃんが、どんな行動するか予想付かないからな
あー、ラノベ大量に読んでるんだから、ラノベ的ハーレム知識は持ってるのかぁ……
「だったら、ダンジョン作った時に日本国民に最初に選べる初期スキルに『若返り』入れれば大丈夫だよ! リュっちゃんだけだから、目立つんだよー。みんなで若返れば怖くないって!」
めーちゃん、とんでもない事言い出してる。
そりゃあ『木を隠すなら森』って諺はある。
めーちゃん、森のスケール大きすぎるよ!
「俺を元に戻した方が手軽でしょ?」
「それはそうだけど、またリュっちゃんの体に同じような変化が起きるけどいいの?」
「な・ん・で・す・と?」
あの苦しいのが、もう一度だと?
「そうだよ、逆の感覚っていうのかな?」
「さっき、穴開けられたり切り刻まれる感じで、凄く痛かったんだけど……」
「あー、だったら殴られたり、潰されたりする感じに痛いかも」
「身体中が凄い勢いで軋んだんだけど……」
「あー、だったら全体的に滑る感じの感触になるかなぁ、身体中ヌメヌメしたり、ジュルリとした感触に包まれると思う」
「……あとすっごく熱かったんだけど……」
「あー、だったら多分凄く寒くなると思う」
え~と、めーちゃんの言ってる事をまとめると、打撃系の激痛を味合わされたあと、大人な本にあるような触手に身体全体を弄られる感触を体験し、その後、極寒に耐え続けた挙句に老化すると……
「うん、若返りのスキル、みんなきっと喜んでくれるよ」
スケールが大きい事はいいことだ。
『若返り』って歴史上の権力者も望んでも、叶えられなかった夢だもんな。
みんなにもその恩恵を受けてもらおう、うん。
本心? あんな痛い思いはもうゴメンだ! 俺の生活のために、犠牲になってもらう。
お前らも、若返りに伴うあの痛みを思い知れ!




