急展開
ラストをどうするかで悩み、しばらく更新できませんでした。長らくお待たせしましたが、今回と次の話でラストです。読んでいただけた方、また、ブックマーク評価をつけてくださった方、本当にありがとうございました。
聖女は悪い意味で私の期待を裏切った。
「エリオット様、その女が浮気したのが悪いんです!!そんな女バグだからいなくなれば良いのよ!!」
私がエリオットの手を握るやいなや、エリオットの目を見てわざと挑発するような言葉を投げかけたのである。
私の目の前にはエリオット。右手を握っているが、その手を痛みが出るほど強く握られた。
「メイリア……メイリア!!!」
そしてそのまま引き寄せられる。これは本気でヤバいかも……。
「エリオット様!離してください!!エリオット様!!!」
何度もエリオットの名前を呼ぶが、目はうつろで私の名前を呼んでいるのに私を認識していない。ただ、目の前にいる何かがメイリアだと思ってすがっているだけである。
「誰か!……誰か来てください!」
このままではマズイ!!
エリオットの手から逃れようともがくが、全く歯が立たない。
「エリオット様……さぁやってしまいなさい」
聖女はなおもエリオットを見つめたたみかける。
エリオットの手が私の首にまわされた。
ギュッ
首を両手で絞めてくる。
そしてどんどん絞め付けがキツくなっていく。
魔王になりたくなくて……死にたくなくてあがいたけどやっぱり物語の強制力とかあるのかな……。
だんだん意識が遠のいていく……。
最後に見る景色がコレなんてツイてない。
……メイリア……ごめんね……。
意識が飛ぶ寸前、駆け寄るライオネルの姿が見えた気がした。
ライ……オネル………………。
そして私の意識は完全に暗転した。
……………………
……………………
……………………
「メ…………イ…………リア」
「メイ……………………リア」
誰かが私を呼ぶ声が聞こえる。
その声の主を探そうと耳を傾ける。
「メイリア!!!!」
かすかな光を感じ、ゆっくりと目を開く。
……ここは。
私の自室?
「メイリア……良かった。目が覚めたんだな」
憔悴した表情で幾分顔付きの悪い、といっても麗しさの損なわれていない顔と目があった。
「……ライオネル?」
泣きそうな顔で私の手を握りしめる。
「……どうして?」
どうして私は自室のベッド寝ているのか?
エリオットに首を絞められて死んだんじゃ……?
それともあれは夢?
いや、今でも首を絞められたあの感覚は覚えている。
夢にしては生々しすぎる。
私は自然と首に手をやった。どうやら首には包帯が巻かれているらしい。
やはり絞められたことに間違いはないと思うけど……。
「……痛むか?」
私はゆっくり首を振った。痛みは全くない。
「……指輪のおかげだ」
指輪?
そうか身代わりの指輪のおかげか。ライオネルが念のために持たせてくれた指輪が私の命を救ってくれたのか……。
「……ありがとう」
「……いや、俺は間に合わなかった。すまない」
きっと私の声を聞いた3人が、ライオネルを呼びに行ってくれたのだろう。
私はゆっくりまた首を振った。
「今生きている……それだけで十分です。それにライオネル様の指輪がなければ助かりませんでしたし……。それよりもエリオット様とクレア様は?」
あの後、あの二人はどうなったのだろう?
「……エリオットは錯乱していてな……廃人のようになっていた。メイリアの名前をただただ呟いてな」
おそらく聖女の魅了の副作用。
「……それで今どちらに?」
「メイリアに手をかけたことは事実だが、王宮で調べたところ強度の魅了にかかっていることが分かってな…責任能力の有無も分からないことから研究施設で魅了を解きながら経過観察することになった。もちろん研究施設自体閉鎖された場所で辺境にあるからエリオットに会うことはおそらくもうないだろう」
やはり、魅了。
しかも強度。
私の名前を呼ぶエリオット様はもう現実の私を見てはいなかった。
聖女に会わなければ、私との関係も上手くいった?
今更たらればを言い出したらきりがないことは分かっている。それでも幼い頃からの付き合いで一度は好きになった人である。
なぜかポロリと涙がこぼれた。
「……メイリア」
「……私、エリオット様のこと大嫌いだったんです。まして首まで絞めて殺されかけたんです。決して許せないんですけど……」
ライオネルはただ私の手を握り話を聞いてくれた。
「……本当はもっといろいろ言ってやるつもりでした。さんざん私のことを馬鹿にしてたんですよ……もっともっと私が傷ついた分……でも、でもこんなエリオット様を望んではいませんでした……」
魅了に洗脳され、一人辺境に送られるなど。
「私、私……」
どんどん涙が溢れてくる。
「……メイリアが悪いわけじゃない」
私の涙を拭いながらライオネルが囁く。そして慰めるようにゆっくり私の頭を胸に抱きしめた。
私はただただ泣いた。
何が一番辛いのか自分でも言い表せなかったが、しばらく涙は止まらなかった。




