可愛い女
彼女は幼稚園のおゆうぎ会で主役の候補にあがった。
候補者は2人。
翌日、オーディションというか、2人が踊ってみて決めることになった。
彼女は踊りを習ってもいたので、頑張ろうと思った。
しかし、翌日幼稚園に行くと、もう1人の子が主役になることに決まっていた。
オーディションは行われずに決まった。
幼稚園児の彼女は思った。
決まったもう1人の子どもの母は保護者会の会長だった。
そういうことか、と思ったと。
後日、おゆうぎ会の合奏のパート決めがあった。
彼女は鉄琴になった。
しかし、決まってすぐに感染症にかかってしまった。
1週間ほど休まなければならない。
彼女は家にあった木琴で自分のパートの練習をした。
1週間後、幼稚園に行くと、先生が言った。
「お休みしていたから、練習してないわよね。
カスタネットか鈴にかえてやりましょう。」と。
彼女は言った。
「鉄琴出来ます。」
先生はそれを聞いてこう答えた。
「それなら、やってみて。」
休んでいた間、練習していた彼女は自分のパートをしっかり演奏した。
先生は彼女を鉄琴パートでおゆうぎ会に参加させた。
私は、可愛い子じゃなかったと自分で言う。
でも、子どもだってわかる。
だから私は子どもに嘘はつかない。
彼女は自分の信念を今も貫いて生きている。
私は彼女を可愛い女だと思う。
彼女の様な女性を可愛いと感じる人がたくさんいる世界になったらいいなと思う。