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【第5話】運命の出会いは女神か魔女か

~主な登場人物~


小峰慎志(こみねしんじ)

主人公。埼玉の所沢市にあるアパートに住んでいる。

大学を卒業してから社会人になって、仕事が長続きせず職場を転々としている青年。

新しい仕事では商業施設の一角を借りて家庭用医療機器の展示と実演販売をしている。

しかし、なかなか商材が売れずに苦戦中。

そんな時、プライベートで女性と接点を持つことに。


山方哲也(やまがたてつや)

慎志と同い年で同じアパートに住む青年。互いに暇さえあれば部屋を入り浸る仲。

毒舌だが、慎志からはテツと呼ばれ、よく相談事を持ち掛けられている。

埼玉県を中心とする食品スーパーに勤務。夕方には必ず帰るシフトを組んでいる。


浅野純太郎(あさのじゅんたろう)

慎志と哲也と住む同じアパートに住むIT系会社勤務の男。

ふたりからは”先生”と呼ばれている。

慎志と哲也より3歳年上で、彼らを名字で小峰氏、山方氏と呼ぶ。

眼鏡をかけ、太った体系をしているが、それは優しさが詰まっているから。

穏やかな性格で頼りがいもあることから、慎志と哲也から尊敬されている。


中野麗海(なかのうるみ)

以前、高田馬場駅で電車を待つ慎志の股間を偶然にも殴打してしまった女性。

慎志に罪悪感を抱いている模様。

挿絵(By みてみん)



「一件、取れました」


展示販売の終盤。

ようやく購入契約が一件取れた。

当初から通い詰めてくれたおばあさんが購入を決めてくれたのだ。

やはり売れるのは嬉しい。


「ようやくですか?全然足りてませんから!今まで何してたんですか?」


日報を机に叩きつけてエリア統括が激を飛ばす。

残り少ない期間で目標販売数を達成するのは厳しい。

依然として見通しが暗いのは事実である。


「申し訳ありません」

「ウジウジして気も回らないし、学習しないというか。そんな相手からモノを買いたいと思う人なんていませんよね?」

「…」

「小峰君さぁ、発達障害なんじゃないの?」

「え?」

「普通にやっていれば達成できる販売目標値に設定されているんです。でもそれが出来そうにないって事は、つまり小峰君が普通じゃないってこと。あれですか?最近話題の発達障害、アスペルガー何たらっていうやつ」

「いえ、そんな…僕は健常者だと思います」

「分からないでしょ?アスペルガーなんちゃらは当の本人に自覚症状がないっていうし」

「そんな…」

「ねぇアスペ君、本気で仕事しなさいよ!」

「そんな言い方って…」


本当にアスペルガー症候群で悩んでいる人に対しても失礼では…。


「そもそも自分が売り込む商品の素晴らしさをちゃんと理解してないから、客に商品の素晴らしさが伝わらない。だからさ、アスペ君が自分で1台買えば?」

「え…僕が購入するんですか?」

「買いなさい。実際に手元で物を使って効果を実感すればもっと宣伝に役立つでしょ?自分が惚れ込んだ商材は本気で他人に勧めたくなるはずです」


無言の圧力。断ることなんて出来なかった。


「あの…割引とか無いんですか?実費で全額ですか?」

「当たり前!うちは販売元じゃなくて代理店なんだから。それともなんですか?自分が欲しくもない商材をむりやり客に売りつけているんですか?商材について理解してない、自信を持てない、にも関わらず売り込もうとする営業が私は一番最低だと思いますが」

「いえ、そんなことは…」

「じゃあ一台購入ね。1台売れて良かったじゃないですか」


”貧乏くじ引いたね”

ふと、本社での研修最終日に誰かにそう言われたのを思い出した。



結局、一番グレードの低い家庭用医療機器を購入することになった。

それでも十万円くらいする。

微弱の電流が流れ、血行を促進する電気マット。

一括で買う余裕が無かったので、楽天のクレジットカードで分割12回払い。

手痛い出費となったが、これも自分の為。

手さげ袋の中に入った商品は、その重量以上に重く感じた。

悶々とした気持ちを払拭できないまま帰路につく。

乗り換えの高田馬場駅。

さて西武線に乗り換えよう。


「あ、あの…」

不意に女性から声を掛けられた。

「あなたは、この前の?」

女性の顔を見てすぐに相手が誰だか分かった。

先日、ホームで僕の股間を痛めつけたあの女性だ。

この前は酔っぱらっていた様子だったが、僕の顔は覚えていたようだ。

偶然の再会だろうが、この人も高田馬場駅が通勤経路なのだろう。


「また会えて良かったです」

そう女性は言ったが、表情は固かった。

僕に悪いことをしたという意識の表れだろうか。

「今、時間はありますか?この前のお詫びがしたくて」


そう言って女性は目の前の喫茶店に視線をやった。

飲み物でもご馳走してくれるのだろうか。

お詫びと言われてはこちらも悪い気がしない。

僕は女性に付き合うことにした。



喫茶店。スターバックスだ。

時刻は21時半。

店内には制服姿の学生がちらほらいてびっくりした。

もう夜遅くだというのに、門限はないのだろうか。

それより…スタバの飲み物は一杯500円以上もするんだぞ。

今どきの学生は金持ちなんだなと思った。

僕が高校生の頃の放課後なんて、せいぜいマクドナルドで当時一杯100円のコーヒーが良いところだった。

「あそこの席、空いてる。座って待ってて下さい。注文してくるから」

「あ、はい、じゃあ…」

「飲み物は何にしますか?」

「じゃあホットコーヒーで…」

「はい」


女性が注文し、席まで持ってきてくれたホットコーヒーをすする。

温もりのある味わいに落ち着く。疲労も溶けていくようだ。

スタバのコーヒーが缶コーヒーより美味しいのは馬鹿舌の僕でも分かる。

彼女もホットコーヒーを頼んだ。

サイズについて僕は何も言わなかったが、僕のはグランデで、彼女はショートだった。

やっぱりお金…払った方が良いかな。


「お代を…」

「いいの、この前のお詫びだから」

「そうですか…ありがとうございます」


女性の好意に甘んじることにする。

向かい席に座る彼女を改めて見る。

僕よりも少しばかり年上だろうか。

体系はすらっとしており、肩までかかる髪は艶やかだ。

着ているスーツも似合っている。

清楚なお姉さん、といった印象だ。

有名人に例えると…ちょっと今の世代ではないが、顔は伊東○咲と井上○香を足して二で割った感じだろうか。

先日、股間をぶつけられた時とは全く雰囲気が違う。

美人…だと思う。

はっと我に返り、香しい香り吸い込むように嗅いでからコーヒーを啜る。

あ~美味しい。


「美味しそうに飲みますね」

「実際、美味しいですから」

「…」

「…」


「あの、大丈夫ですか?その、ぶつけちゃったところ…」

少し照れたような困惑した表情で彼女は聞いてきた。


「もう大丈夫ですよ。気にしないで下さい」

僕の股間はもう何の痛みもない。


「それは良かったです。あの、まだ名前、聞いてなかったですね」

「あ、小峰慎志って言います。あなたの名前は?」


中野麗海(なかのうるみ)です」


なかの、うるみ…。


「良い名前ですね」

「え?あ、ありがとう」


自然と、意識せずに相手の名前を褒めていた。

ナンパのつもりか、何を言っているんだ僕は。

とりあえず何か話題を振ろう。


「仕事帰りですか?」

「ええ、そうです。小峰さんもですか?」

「はい。お互い遅くまでお勤めお疲れ様って感じですね」


時刻は21時半を過ぎようとしている。


「小峰さん疲れた顔してる」

「え…」


心配そうな中野さんの表情、潤んだ瞳が僕をまっすぐに見つめている。

僕は目線を逸らし、マグカップで顔を隠すようにしてコーヒーを口にした。

コーヒーにアルコールが入っているわけでもないのに、ふわふわした気持ちだ。

僕は中野さんに対して、色々と喋りたい気分になった。


「こんな事、初対面の方に話すべきじゃないとは思っているのですが…」

「初対面じゃないですよ」

「…そうでした」


「なかなか仕事がうまくいかなくて。入社してまだ浅いので、仕方がないといえばそれまでなのですが…」

「入社してそんなに経っていないって事は、ついこの前まで学生だったんですか?」


思わず噴き出してしまいそうになった。

そこまで僕は童顔に見えるだろうか。

社会人としての貫禄は一切身についていないようだ。


「いえいえ、転職したんです。齢は25歳で、もうすぐ26歳になりますけど」

「…そっか、齢下クンだと思ったんだ。私は君より二つ上のお姉さんだね」


中野さんは僕が年下だと分かると即座にタメ口に切り替えた。

それと同時にふたりの間に流れていた空気が柔らかくなった気がした。


「小峰クンは何の仕事してるの?」

「販売代理店の契約社員です。契約、と言っても雇用は原則更新ですが。商材を商業施設や公共施設の一角を借りて展示、実演販売してます。今は家庭用の医療機器を売っているんですが、なかなか売上に繋がらなくて苦戦してます」

「分かるわ。私も毎月ノルマに追われているから。キャンペーン期間と称して会社から指定された商品をとにかく力を入れて売らないといけないの」


「中野さんは何の仕事してるんですか?」

「ドラッグストアで登録販売者の仕事してる」

「登録販売者?」

「薬を売れる資格の事ね。全ての薬を販売できるわけじゃないんだけど」

「薬の専門家ってことですか?かっこいいですね」

「いえ、やっている事と言えば品出しとレジ打ちがメインなんだけどね。でも白衣着て仕事しているのが自慢の一つかな」


中野さんが笑う。

笑顔が魅力的で、綺麗な人だと思った。

身体も暖かくなってきた。

これはホットコーヒーのせいじゃない。

久々の感覚だ。この感じは何だっけ。

それからもお互いに当たり障りのない会話を重ねた。


時刻が22時に迫ろうとしている。

店内にいた客がぞろぞろと店を出ていく。

店員も閉店準備に取り掛かっている。

カップのコーヒーはとっくに空になっていた。


「ゴメンね。長く付き合わせちゃった」

「いえ…もっと話したいくらいです」

「それじゃあ、ライン交換しましょう?」

「え?良いんですか?」

「私ももっと小峰クンの事、知りたいから。ねぇ、今度休みいつ?都合がついたらまた会わない?」

「はい!ぜひ!」


無意識に大きな声で返事してしまった。

これは、ずばりデートのお誘い!?

最初に出会った時は股間を殴打され最悪な印象だったのに、こんな展開になるとは夢にも思わなかった。

単純な奴だと思われたって構わない。

僕は中野さんの出会いに運命的なものを感じていた。




アパートに帰ってくると、テツが玄関の外でタバコを吸っていた。


「テツ!大変だ!一大事だよ!」

「何だよ!どうした?仕事クビになったか?」

「今度、女性とデートすることになったんだ!」

「…はぁ?何が一大事だよ、どうでもいいわ」


「こんばんは〜」

先生もちょうど仕事終わりでアパートに帰ってきた。

「先生、おかえりなさい」

「お疲れ様です」


「先生!ちょっと聞いてくださいよ~」

「先生は仕事帰りで疲れてるんだ。しょーもない話に付き合わせるなよな」

「別に大丈夫だよ。小峰氏どうしたの?」


玄関で話し込むのもなんだから僕はふたりを部屋に招いた。

夜も遅いけど、テツも先生も明日は休みという事で、僕の話に付き合ってくれた。

僕は中野麗海さんとの出会いと、ラインを交換した事。そして今度の平日の休みの合う日に会う約束をしたことをふたりに話した。


「…というわけなんですよ。えへへ、あ、よだれ垂れちゃった。デュフフ」

「良かったじゃないか、どんな女性なの?」

「僕より2つ年上で雰囲気もお姉さんって感じの綺麗な人です」

「浮かれてんなよな。で、相手の顔は?芸能人に例えると誰に似てる?」

「えっと…もう芸能界から退いた人だけど、伊東○咲と井上○香を足して2で割ったような人」

「マジか…。おい、何ニヤニヤしてるんだよ…」

「え?僕ニヤニヤしてる?でも困ってるんだ。デートの場所、僕が決めることになってて」

「アホくさ、どこ行くか自分で考えろよ」


「小峰氏、ディズニーランドなんてどう?嫌がる女性なんていないと思うけど」

「初デートでディズニーランドですか!?確かに喜ぶでしょうけど。乗り物の待ち時間に沈黙になることが怖いです。もっと経験値を積んでから挑戦したいなって」

「挑戦…って。ラスボスのダンジョンに行くわけじゃないだろうが」

呆れた表情でテツは言う。

「でもいきなりディズニーランドって敷居が高すぎる気がする」

「それもそうだね。乗り物とか乗らないで雰囲気を味わうだけでも楽しい場所だけど、いきなりディズニーランド提案したら相手もびっくりしちゃうか」

提案した先生も僕の意を汲んでくれた。


ピコーン!

スマホに着信音。


「あ!中野さんからラインメッセージきた!」

「えっと…“デート当日は朝、池袋で用事ができてしまって、11時に池袋駅東口待ち合わせはどうでしょうか?”との事です」

「承知しましたっ!…っと」

即行で返信メッセージとスタンプを送る。


「場所指定してくれて良かったな。とりあえず池袋ならどこ行ったって暇潰せるし、都内どこへもアクセスしやすいだろ」

「うん!でも何するかだよな〜。映画?カラオケ?なんだかな~どうしよう」


「時間帯的にランチどこかで食べることになるだろうね。小峰氏はどういう飲食店行こうと思ってる?」

「う~ん。当日、中野さんの気分を聞いて、行き当たりで良い店があれば入ろうかと」

「ふむ。大方、候補の店を決めといた方が良いかもね。店選びがスムーズじゃないと嫌な女性もいるからね。店を巡って歩かせるのも女性は男性以上に疲れるものだから」

「分かりました。お店はとりあえず池袋駅近辺を調べます。でも、オシャレな店にこだわって背伸びするのもなぁ…。サイゼリアとか引かれるかな」

「引かれる!やめとけ!」

すかさずテツからツッコミが入る。

「サイゼリアは、うーん…安牌を切るならよした方が良いと思う」

先生からも却下されてしまった。


「じゃあガストとかどうかな?ガストなら値段気にせず中野さんの分も奢れそう!」

「ガストも引かれる!もう学生じゃねーんだから」

「ガストも良いんだけど、ありきたりなレストランチェーン店よりも、せっかくだからオシャレな店に行くのはどうだろう?」

またしてもふたりから難色を示される。

「そうですか…。ガストならクーポンもあるんですけど。でも女性って男が会計でクーポン出したりしたら貧乏臭い感じするのかな?あの、女性の方、どう思いますか?」

「誰に聞いたんだオマエ、ここに女はいねえ」

「グーグルマップで池袋駅周辺のランチやってる飲食店、いくつか検索したから。一応参考までに小峰氏のラインに送っとくね」

「ありがとうございます」


そして重要なのがデートの予算だ。

いくらくらい持っていけば良いだろうか、1万円くらいじゃ心許無いだろうか。

財布の中身を確認する。

バリバリバリ〜!!

「うっわ、慎志の財布だっさ…マジックテープかよ。

先生こいつダサいよ!マジックテープの財布が許されるのは小中学生までですよね〜?」

先生はおもむろにポケットから財布を取り出した。

バリバリバリ〜!!

「あはは…実はぼくもマジックテープの財布なんだ」

「ほげー!マジっすかー!」


「髪も伸びてきたな。デートの前に切ろうかな。でも僕が行ってる千円カットは、“自然な感じで全体を2cmほど切ってください”っていつもお願いしてるのに、いつもヘルメットみたいなもっこりしたおかっぱヘアーにされるんだよなぁ」

「じゃあ美容院に行って来たらどう?千円カットより値は張るけどいい機会だよ」

「坊主にしてこい、スキンヘッドでもいいぞ」


「服装もどうしようかな…。服なんてしまむらで買ったものしか持ってない」

「しまむらかよ…」

テツが鼻で笑う。

「しまむらでも全然良いと思うけど。あっ、そうだ。もし小峰氏がよければ、ぼくが痩せてた時に着てたちょっといいヤツあるけどいる?ユニクロだけど」

「ユニクロが、ちょっといいやつ?」

「良いんですか先生?やったー!僕からしたらユニクロは高級ブランドですよ!ありがとうございます。

「…」

「ん?テツ、何か言いたげだけど、どうしたの?」

「いや…いい」


「よし…。後はオシャレに気を遣うとしたら…香水とか、つけた方が良いかな?」

「トイレの芳香剤でもポケットに入れとけよ」

「そういえば昔買ったんだけど使わないで未開封のディオールの香水を何個か持ってるけど、小峰氏いる?」

「良いんですか!?先生、重ね重ねありがとうございます!香水デビューします!」

「良い匂いがするからって、つけすぎると逆にキツイと思う女性もいるから注意してね」

「先生…。俺にも余ってるのあったら下さい」

「良いよー」


夜遅くまで二人は付き合ってくれた。




さて、結局どこ行くか具体的に決められなかった。

デートどうしよう…。

ラインをみる。

待ち合わせは池袋。

中野さん。

中野麗海さん。

中野麗海の“海”。

“海”といえば水族館だ!

池袋のサンシャイン水族館!!

まるで天命を授かったかのように閃いた。

ここだぁ!!




そしてデート前日。

さて、明日のデートの荷造りだ。

何を持っていこう。

財布、スマホ、スマホの充電器は必需品だ。

それにティッシュとハンカチ。

お金は2万円ほど。それとクレジットカード、保険証も一応、持ってくか。

都内だからもしかしたら警察に職務質問される可能性もゼロじゃない。

それに車を運転するような事態にならないと思うけど、万が一の為に免許証も持っていこう。

あと小腹が空いた時用にカロリーメイトとペットボトルのお茶。

お菓子も持っていったら中野さん喜ぶかもしれない。

ガム、グミ、チョコ、アメ、ポテトチップスは袋がかさばるから持っていくのはやめとこう。

もし急な雨とかに降られてしまったら大変だから、折りたたみ傘と着替えも一式もってくか。

それと、薬だ。急な腹痛や熱っぽくなった時の為に、正露丸、胃腸薬、解熱剤を持っていこう。

もしどこかに引っかかったりぶつかって怪我をするかもしれないから絆創膏と消毒液も。

急な筋肉痛が発生した場合も考慮して湿布も持ってこう。

念の為、裁縫道具も持ってくか。

それに何があるか分からないなら筆記用具とメモ帳も持ってこう。

これで十分だろうか。

よし、これで抜かりはないはず。

鞄に目をやると、それなりの大きさになっていた。

まるで旅行に行くみたいになってしまった。


そうこうしている内に時刻は零時を回り、日付が変わっていた。

寝不足でデートに支障が出てはいけない。

布団を敷いて照明を消す。

横になったまま、何度も寝返りをうつ。

なかなか寝付けない。

ドキドキして眠れない。

まるで遠足前日で心躍らす小学生みたいじゃないか…あーっはは!

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