【第16話】マレーシア~クアラルンプール~
~主な登場人物~
【小峰慎志】
主人公。埼玉の所沢市にあるアパートに住んでいる27歳の青年。
仕事も恋愛も上手くいかず、思い通りにいかない人生に嫌気がさしていた。
そんな時、”海外を旅して巡る”という幼い頃の夢を思い出す。
後悔ばかりの過去、不安な未来、閉塞感漂う今の生活。
そういった、あらゆるしがらみを一度忘れて、海外へ旅に出る決意する。
ネットで調べるとマレーシア行きの格安航空券が売っていたので、深く考えずに次に訪れる国に決定。
そんなこんなでクアラルンプール空港にやってきた('ω')
記憶に新しいのはここで北朝鮮の元最高指導者の長男、金正男が暗殺されたというニュース。
金正男に黙祷を捧げた。
何かと日本ではネガティブに報道される北朝鮮だが、金正男は憎めない印象の人だった。
ここも東南アジアの風が吹いているはずだが。
空港は洗練され、付近の交通状況はすさまじく、異国情緒はそこまで伝わってこず。
しかし空港の設備や周辺建物ではなく、行き交う人々の方に異国情緒を感じる。
頭を布で覆う女性をよく見かけた(*‘∀‘)
険しい表情でノートパソコンを睨む空港の職員がいたが、後ろから見るとソリティアみたいなのやってた。
空港で食べたサイゼリアのフォッカチオみたいなものとカレーがとても美味しかった。
しかしこの後、猛烈な腹痛に襲われることに…(>_<)
空港のトイレでひきこもる事態となった。
食べ物のせいではないと信じたい。
旅で一番酷い下痢だった…(;゜ω゜)ノ
尻の穴が熱くて、焼けているかのような苦しみ(;;゜ω゜)ノ
正露丸も効かない。
トイレットペーパーのケージも外れて、直すのに時間がかかる。
隣の個室から頭上に水が飛んでくる…(恐らくお尻洗うシャワーの飛沫…)
これは試練だと思った。( ;∀;)
マレーシア到着初日は空港で寝た。
しかし最近の空港は椅子に手すりがついており、横になれない。
なのでほどよい床タイルの場所を見つけ、そこで寝転がった。
途中、職員がここで寝ちゃ駄目だと注意しに来たが、
僕が日本人だと分かると、どこかに行ってしまった。
これは…一体( ゜Д゜)
体調回復後に旅再開。
KLセントラル行きの電車に乗ったら、結構な額…(*´Д`)
もしかしてマレーシアって物価が高い!?
と思ったら街中はタイより安いのでは…ってくらい物価が安かった。
市街地を歩き回ってると、日本ではお目にかかれないアラビアン的な建物が面白い。
イスラム教、ヒンドゥー教、仏教など信仰の自由な国柄だから、建物もそれに沿ってさまざまなデザインが見れる。
インド系の人々が信仰するヒンドゥー教の寺院。
入口の塔の彫刻が実に見事で、夢中になっているとダルシムみたいなおじさんに声をかけられた。
何を言っているのかよく分からなかったが、神へのお供え物だという花輪を10リンギットで買う事に。
ダルシムおじさんに、
「今から寺院に入るから写真撮るなら今だけだぞ、寺院の中では写真を撮ってはいけない」
と英語で言われた。
神聖な寺院では、撮影はマナー違反なのだろう。
寺院内に入れるということでワクワク…ドキドキ!
靴を脱いでいざ中へ!とりあえず参拝でもすれば良いのかな。
寺院内はインドチックな装飾で神聖な雰囲気が広がっていた。
神へのお供え物をして、催促されお金を寄付。
偉そうな人に話しかけられたが、やはり何を言ってるのか分からず、とりあえずYESと言い続ける。
すると間があってから、おでこに黄色い絵の具のような、ウコンのようなものをつけられた('ω')
おおお…こりゃ宗教の仲間入りを認められた証なのか、良いお思い出になる。
その後も神像の周りを回ったり、祈ったり、また催促されてお金を寄付したり…。
しばらくして、寺院を案内してくれたダルシムおじさんが、隅にあった配膳棚から食べ物を僕の為に持ってきてくれた。
しかし、ハエが複数止まっていたところを目撃してしまったので食欲ダウン。
バナナと、芋をペーストにしたやつと、お粥みたいなご飯。
酷い下痢をしたばかりで、食事には抵抗があった。
しかし、彼は好意で持ってきてくれた。
そしてたった今、ヒンドゥー教の洗礼を受けたばかり。
食べないわけにはいかない…。
黙っているとダルシムおじさんが、
「写真撮りたいのか?ハハ!寺院の中だけど、食べ物なら撮っていいぞ」
と言う。
(何故かこういう時は英語が聞き取れる本当に不思議)
そうじゃない、そうじゃないんですよ!ダルシムおじさん!!
腹をくくり、完食した。味は…まぁ、うん。
これも異国の地で異文化に触れた良い経験。




