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【第14話】タイ①~バンコク・アユタヤ~

~主な登場人物~


小峰慎志(こみねしんじ)

主人公。埼玉の所沢市にあるアパートに住んでいる27歳の青年。

仕事も恋愛も上手くいかず、思い通りにいかない人生に嫌気がさしていた。

そんな時、”海外を旅して巡る”という幼い頃の夢を思い出す。

後悔ばかりの過去、不安な未来、閉塞感漂う今の生活。

そういった、あらゆるしがらみを一度忘れて、海外へ旅に出る事を決意する。

挿絵(By みてみん)




【バンコク】

南京から次の国へと向かう。

格安航空券なので例によってやはり深夜便。

案の定、眠れず…日本で暇潰し用にインストールしまくったゲームアプリでやりすごした。

しかし、アプリ取るなら安眠だの快眠だの、そういった音楽アプリもとっとけば良かったなと思った。

そうして到着したのは東南アジアの旅行人気国であるタイ。

学生時代に読んだ海外で引きこもる為の指南書”外こもりのススメ”って本を読んでから、いつかはタイに行きタイって思っていた( ゜Д゜)♪

時代は進み、アジア各国も物価上昇で、日本で働いてアジアで豪遊というのは難しくなったが、それでも物価は安い!魅力的!開放的!情熱的!アジアンドリーム!


パスポートに入国のスタンプが増えるのが嬉しくなってくる。

タイ語は見た目が棒人間のようで面白い。

タイではwifi-freeが使えたので調べものや予約が出来て中国よりも旅がしやすかった。

微笑みの国と言われてるようで、タイ人はゆる~い気質と聞くが、はてさて真相は如何に!?


さっそく空港で食事を摂ったが、甘辛焼肉丼がうまい!

120バーツでタイでは場所的に高めの値段設定だったが、日本円に換算したら安いと思う。

店員の笑顔が眩しかった!やはり微笑みの国だ!!(安直)

セグウェイみたいな乗り物に乗って空港内を巡回してる警備員も微笑んでる!

やはりここは微笑みの国だ!(安直)


空港を出ると生暖かい風が頬を掠め、”タイに来たぜ!”という高揚感が寝不足の疲労を打ち消してくれた。

まずは公共交通機関でスワンナプーム空港からパヤータイまで行き、バンコクの中心街へ。

世界中から数多くの旅行者やらビジネスマンが集まる東南アジアの代表都市バンコク(´ω`)

バンコクの正式名は果てしなく長い。

クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット。


ドラゴンボールのナメック語みたいだ。(苦笑)

日本語で簡潔に要約すると”とにかく凄い都”という意味らしい。


街中どこでも見かけるトゥクトゥクというタクシーみたいな乗り物。

本物のタクシーよりも割安で、座席がオープン席なので風情がある。

ガイドブックには観光移動には不可欠と書いてあるが、注意が必要とも記載されている。

運賃をぼったくられる可能性が高いとのこと。

値段交渉はタイでは積極的にやっていこうと思っていた。


さっそくトゥクトゥクをつかまえて目的地までの値段交渉をする。

といってもやはり相場が分からず、最初に提示された300Bを250Bまで下げる事が出来た。

その時は”やってやったぜ!”と勝ち誇っていたのだが…。

後に会う先輩女性バックパッカーに150Bでいけたよ!と言われる(;・∀・)


しかし運転が荒い!

手すりにつかまってないと振り落とされそうな運転をする。

身の危険を感じたが、これはこれでエキサイティングで楽しくもある。

しかもこの前歯の欠けた白髪のおじさん運転手、僕が日本人だと分かると下ネタワードを連発してきた。

「ち○こ!ま○こ!うんこ!」

日本人にはこれで笑いが取れるとでも思っているのか…(;^ω^)

僕は下ネタで喜ぶ小中学生じゃない。

終始、卑猥な言葉で話しかけてくるもんだから運転手のおじさんに呆れつつも段々と親近感が湧いてきた。

「もう分かったよ…コークンカップ!」


それにしても道路には日本とは比べ物にならないくらい多いバイク数。

ヘルメットをしていない人も見かける。

なかには二輪で3人乗りしてる人たちも…。

かなり危なっかしい運転をしていると思うのだけれども、これは日本人の感覚なのかな(;・∀・)?

冷や冷やしながら目的地へと向かう。



そして遂に憧れの街、バックパッカーの聖地”カオサンロード”に到着(*^^)v

ここはかつてネットが普及する前にアジアを巡る旅人の出発点、或いは休息の場として大いに盛り上がった場所。

今となってはネットが普及し、又、観光地化されて以前のような旅人色は薄れた。

それでも現役の世界を旅するバックパッカーの有名拠点。


昼間のカオサンは静かだ。

お店は点々と営業しており、昼間からお酒を飲んで寛ぐ旅行者が目立つ。

欧米人、東洋人、多様な人たちを見かける。

旅行中なのだろうが、この街に埋没しているような雰囲気の人も多かった。


カオサンロードにある宿にチェックインし、夜を待つ。

1000円以下の部屋で風呂トイレ、エアコン付き。

この辺は格安ゲストハウスが多い!

wifiも使えてネットで次の宿の予約や観光場所への移動手段を調べられるから助かる。

しかし、ネットにはwifi-freeと記載されていても宿の一部分でしか使えなかったり、通信速度が遅かったり…。

そういう不安定で不便なのも旅の醍醐味なのだけれども(*‘∀‘)


この宿も最初は満足していたが、やはり安い宿は安いなりの理由があった。

夜にゴキブリが出て、トイレの排水が詰まり、シャワーはお湯が出なかった。

良い教訓となり、以降は宿にはもう少しお金をかけることにした(;^ω^)


タイでの旅資金を確認する。

物価が安いので、両替した日本円が大量のお札になった。

財布に入れると大富豪の気分に。

日本の空港でのレートを思い出すと現地とかなりの差(; ・`д・´)

絶対に東南アジアは現地で換金だなと思った。

こんなにパンパンに膨らんだ財布も、タイ出国時には綺麗にぺっちゃんこになるのだが…。


夜になるとカオサンロードは変貌する。

街全体がお祭りムードになる。

あらゆる人種が食事して酒飲んでお祭りのように騒ぐのだ。


昼間はガラガラだったマッサージ屋も満員。

旅行客が長時間の歩きで疲れた足をモミモミされて気持ちよさそうだ。


沢山の屋台が並び、主に食べ物が売られている。

食用のサソリを売ってる店もあった。

50Bだったので、記念に食べてみた。

見た目は真っ黒でハサミの部分が痛そうだが、食感はバリバリ…ボソって感じ。

カニの足のビニール紐みたいな味のしない食べられないとこに似てたかな。


ドリアンも売っていたので記念に食べてみた。

ドリアンは臭いって聞いていたので覚悟はしていた。

確かに発酵したような匂いはあったけどそこまで気にならなかった。

粘性のある薄いフルーツジュースのような、でも少し苦みのある美味しい果物だった。


中国で我慢していたお酒も頂く。

ぞうさんビールとレオビールにはお世話になった。

お酒だけじゃなく、場の開放感というか魔力というか、そういうのに酔っぱらって…

色々な人に絡まれ、僕も絡み、写真もいっぱい撮った。

普段、酔っぱらってもこうはならない。

ここまで積極的にはなれない。

恥じらいとかネガティブとか、そういうものを忘れさせてくれる雰囲気がカオサンにはあった。

ろくに英語もタイ語も話せないのに、勢いだけで国際コミュニケーションが取れる謎。

一時の触れ合いで、ずっとなら難しいと思うけど。

きっとここで、この時だけの魔法のコミュ力。


宿に戻る時も裏路地にネズミとか結構いたけど、ちゃんと人が通ると避けてくれる。

「ありがとう、ちゃんと避けてくれて」

ネズミにそうやって感謝してしまうくらい酔っぱらっていた。

調子に乗りまくった結果、翌朝、下痢に悩まされることに( ;∀;)

トイレの排水詰まってるのに。


この旅で初めての下痢。

タイに来てまだ間もないのにもうお腹を下すという。

トイレットペーパーがなくなり、お尻拭くシャワーが付いていて使ってみたが…。

・・・(*´ω`)

マスターするには経験が必要と痛感した。

伝家の宝薬”正露丸”を日本から持ってきたので時間の経過とともに回復していった。

この時ほど大幸薬品に感謝したことはない。



別日にバンコクの観光の定番、ワット王宮周辺へ。

道中、よくテレビで見たことのあるオレンジ色の道着を身につけた僧侶と会った。

挨拶したら返してくれて異国文化の情緒にちょっと感動。


観光地へ近づいてきた時にトゥクトゥク連合から

「オウキュウ、オヤスミ!オヤスミ!ベツノカンコウチツレテクヨー!」

と営業攻撃を受けたが、嘘であることは明白!

捕まってたところをフィリピン観光客に助けてもらった。


無事にたどり着いたワット系観光地!

ワット・プラケオ、ワット・アルン、ワット・ポー。

定番の観光地なのでガイドブックにはページ数を割いて紹介されている。

とにかく観光客だらけ!

そしてこの国の陽気な雰囲気に感化されたのか、炎天下でもみなさん良い笑顔。

ツアー団体も多く、日本のツアー客や同じバックパッカーもいた。

建造物の金ぴかが目立つ。

お好み焼きのひっくり返すやつで削って持ち帰りたい。(逮捕)


銃剣を持った兵隊さんもチラホラ。

エリアによって服装違うのかな。

暑い中、写真を撮ってもポーカーフェイス!

だからといって不機嫌な様子ではない!

こういうクールさが僕には圧倒的に足りない!


警備員さんや清掃さんも仕事時間中だと思うけど、談笑しながら和気あいあいとやってる。

緊張感というものがなく、真剣さというものが感じられないけど…それがいい!!

中国でも見かけた、このゆるい感じ!

良いなぁ。

私と公の隔たりの無いようなこの仕事の向き合い方なら鬱にならないだろうな…。

日本にはこういうフランクでアバウトな感じが圧倒的に足りない!(一長一短)

殺伐としたディストピア・ジパング!!(隣の芝は青い)


観光地のトイレはお金払って利用するけど、暇そうにしてた受付のお姉さんに3Bのところ10B払って、下痢をした時の苦悶を試行錯誤して伝えたらみたら「うけるーww」って凄い笑顔だった。

彼女の笑顔がベストオブスマイル!

しかしそれにしても猛暑、常夏の国だ。

身体から水分がどんどん蒸発していき、かなりへばった。

炎天下で歩き続けると体が水分確保の為、血液や唾液、胃液や腸液からも水分を捻出しようとする。

脱水症状ぎみになって体調悪くなったりも…。

売店で売られているお茶は甘くてびっくり。

甘くないペットボトルのお茶が飲みたい( ゜Д゜)


バンコクを流れるチャオプラヤー川。

常に観光客等を乗せた船が行き交って、忙しないように見えるけど…。

穏やかな川の流れ、時の流れがそこにある。

この川に関わりながら、さまざまな人が暮らしているんだなぁと物思いに耽る。

僕の知らない異国の生活、海外の人の日常に想いを馳せる。

みんな主人公してるな~。

そこにはどんな生き様があるのか、人生があるのか、考えたら終わりが見えない。

人生は川の流れのように時に激しく、時に緩やかに。

歳を取る度に時の流れを速く感じるが、流れの緩急を決めるのは自分次第なのだと思った(*´ω`)



挿絵(By みてみん)



【アユタヤ】

地元民の移動手段として使われている列車に乗って次の目的地を目指す。

バンコクより70キロ北に位置する、かつて栄華を誇った世界遺産の街アユタヤ。

列車の切符も「アユタヤ!アユタヤ!」って言うだけで買えた。

本当に現地語喋れなくても何とかなるもんだ('ω')


駅でお菓子も買っておく。

アジアの旅ではお菓子で食事を済ますことが多かった。

日本でも売っているポテトチップスのプリングルズは5缶くらい食べたんじゃないだろうか。


テレビでみた”世界の車窓から”、で見たことあるようなノスタルジックな車体(*‘∀‘)♪

異国情緒あふれる列車での移動。

3等席を購入したとはいえ、ちゃんと椅子にも座れてほっと一息。

車内は蒸し熱く、天井付近に設置された首振りの扇風機が当たるときだけ幸せ( ;゜Д゜)

向かい席に座るおっちゃんが飲み終えたプラスチックコップのごみを、当然のごとく窓の外に投げ捨てたので驚いた。

車内を頻繁に往来する売り子、押し売りに負けてポップコーンを買ってしまう。

ここは映画館か( ゜Д゜)


列車は橋を渡り…

何重にも配線が巻き付いていて心配になるような電柱が乱立した住宅街を越えて…

線路の傍で寝転んでいる人たちの前を通り過ぎ…(あぶねぇ)

のどかな平原風景をひたすら走る。

アジアを旅してるんだなぁとしみじみ感じさせる光景。

日本から遠い場所にいるのだと実感する。

今、日本ではどんなニュースがやってるんだろうか。

拝啓 お父さん、お母さん、お元気ですか?

僕はいま東南アジアを旅しています。

こっちは暑いです。そちらはどうですか?

どうぞ体調にお気をつけて…


そんな事を思いながらプリングルズを食べようとした時…

乗車してきた同じ日本人のバックパッカーと出会った。

異国の地の列車の中でこのように日本人と遭遇するとは、面白い巡り合わせだ。

旅の情報を交換する。

カンボジアやラオスを旅してきたとの事(*^^)v

同い年くらいの女性が単身で僕よりもはるかに長期で東南アジアを旅してる。

かなりタフな先輩だ。

互いの名前当てクイズに負け、プリングルズをプレゼントした(^ω^)

ドンムアン空港駅でお別れしたが、明るくて堂々としており、オーラみたいなものすら感じさせる人だった。


列車はアユタヤ駅へ到着。

テレビ番組で見たまんまの駅だった。

予約したホテル近くのスーパーでプリングルズを再購入した。

現地の蚊取り線香も購入し、今後部屋で蚊にさされることはなくなった。

ようやく甘くないお茶にも出会えた。

ツキが回ってきたか!?


ホテル周辺で野良犬を結構見かける。

噛まれて万が一、狂犬病になってしまったら!?

そう考えて恐れおののくも、ワンちゃんたちはすごくおとなしい。

いや、弱弱しいといった方がいいか。

この暑さにやられているのだろう。

それでもそばを通るときは忍び足で足早で。(;^ω^)


近所を散策してたら怖い思いをした。

地面に血が流れてて、肉片みたいなのも転がっていたのだ。

戦慄して、殺人か!?とか、一瞬思った。

でもすぐそばの建物で、豚肉を切って解体する上半身裸の屈強な男たちがいた。

どうやら精肉の加工場のようだ。

ホッとしたが、非常にワイルドだ。


食事はチェーン店をメインに。

腹壊してから屋台を敬遠しちゃってる~orz



四方を川で囲まれた街…アユタヤ。

ここはかつてアユタヤ王朝として栄えた歴史ある場所。

バンコクからもアクセスしやすい世界遺産の街('ω')

タイ観光に打って付けである。

遺跡を回れば、かつての栄華とその崩壊というドラマチックな悠久の歴史が伝わってくる!

…ような気がする。


ここではレンタルした自転車で遺跡を回った。

バイクをレンタルしても良かったけど、ちょっとタイの交通状況見てびびってしまった(*´Д`)

ビュンビュン走ってるよ!怖いよ!車優先!歩行者は避けて通れ感。

タクシーやトゥクトゥクが一番楽だけど、そこは節約。

この炎天下を徒歩で汗だくになって観光してる人もいて、さすがに心配してしまった。


時々、ゾウも見かける。

背中に観光客を乗せて、車やバイクと同じように道路を歩いてるのだ。

ゾウに乗るのは15分400Bくらいだったかな?

ゾウは言う事をきかないと御者に鎌みたいな棒で叩かれていた。

すると”パオーン!”って鳴いて、痛いって訴える!

それを見てドン引きする観光客一行…( ゜Д゜)


記念に僕もゾウに乗ってみたけど、めっちゃ揺れた。

地上を歩く他の観光客から注目され、ちょっといい気分。

ゾウは身体を冷ます為に途中、ドラム缶に入った水を鼻で吸い込んでプッシャーって身体に浴びせていた。

その後に僕にも水をかけてきたけど、これはサービスなの!?

ゾウの独断プレイ?御者の演出?鼻水入ってない( ゜Д゜)!?


ゾウと別れる時、長い鼻でチップを要求された。

お札を渡すと長い鼻で巻き取り、それを御者に渡す。

うむ、教育されている。

ゾウさんありがとう!スタッフありがとう!


アユタヤ観光最終日。

列車をホームで待ってると、8時?くらいだったか。

スピーカーから国歌みたいなものが流れ、周囲の人が一斉に直立するから訳が分からず驚いた。

思わず僕も立って、国歌?が終わるのを待った(;^ω^)

外国文化、異国情緒、面白い。


逆方向の列車からきた観光客さん御一行。

これからアユタヤ観光ですかね。

僕とバトンタッチって事で、熱中症に気を付けて遺跡巡り楽しんできて下さい(#^^#)

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