第89話:灰雨に隠れた薩摩の刃 ―鹿児島・桜島連続脅迫事件―
■Scene1:灰色の空と“警告の刃”
3月下旬、鹿児島中央駅。
空には桜島の噴煙がたなびき、火山灰が舞う。到着早々、私は火山灰用マスクを装着した。
「凛奈さん!」
迎えに来たのは、鹿児島県警・薩摩美佳 警部補。
彼女が差し出した透明ケースには、灰まみれの包丁が収められている。刃には油性ペンでこう書かれていた。
〝次の噴火で全てを裁つ〟
「ここ一週間、灰雨と同時に“刃物の脅迫状”が公共施設に次々届いてます。しかも噴火予知データを的確に当ててくる」
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■Scene2:黒豚しゃぶと“火砕流の疑惑”
まずは腹ごしらえ。私は天文館の老舗で黒豚しゃぶしゃぶを味わう。
とろける脂身に甘い鹿児島醤油。そこへ祖母のキムチを添えて――時間ダイブ。
*夜の桜島観測所。白衣の技師がモニターを睨む。
*別の男が背後でメモを撮り、包丁を新聞紙で包む光景。
*技師は「予知レポートは俺の命。外に出せばパニックだ」と叫ぶ。
名前の刺繍〈Dr. 有村〉。脅迫状は観測データが外部漏洩した証拠だった。
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■Scene3:観測所と“消されたログ”
観測所に同行した薩摩警部補と私は、Dr.有村を直撃。
彼は半年ほど前に新人助手を雇っていたが、急に退職したという。
ログ解析で“不審USB列挙”を発見。データを吸い出していたのは助手の根占凉(ねじめ りょう・29)。
彼の実家は観光会社。噴火パニックを逆手にマグマツアーを売り出す計画だった。
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■Scene4:灰雨の夜、対決の火口展望台
翌晩、桜島北岳の展望台。灰が降りしきる中、根占が記者団へ“噴火独占情報”を配信しようとしていた。
私はキムチをひと口。
過去ビジョンで見た“包丁投函”の瞬間を再生し、根占に突き付ける。
「予知を盗み、刃物で恐怖をばらまく。それが観光か?」
根占は逆上し刃を振りかざすが、薩摩警部補が制圧。
火山灰が雪のように降り積もり、夜空は真紅に染まっていた。
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■Scene5:黒さつま鶏と火の温もり
事件後、私と薩摩警部補は温泉地・霧島で黒さつま鶏の炭火焼。
硫黄香る湯けむりと地鶏の弾力が、冷えた身体を解かす。
「噴火も灰も、人が煽れば“武器”になる。けれど…」
「本当は大地の恵み。正しく伝えれば、人を守る力ですよね」
私は笑ってキムチを追加。
「次は――どんな大地が待ってるかな」
スマホに新通知。
沖縄・久高島で“潮が逆流する怪異”
「海のリズムも、味わいに行こう」
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