第88話:函館・赤レンガの怪火 ―失踪した作家と燃える原稿の謎―
■Scene1:函館ベイエリア、深夜の“怪火”通報
3月、まだ雪の残る函館。
私は撮影帰りにベイエリアの赤レンガ倉庫群で夜景を満喫していた。その時、消防車とパトカーのサイレンが一斉に鳴り響く。
「倉庫裏の旧同潤会アパートで出火!?」
駆けつけると――
レンガ壁に沿って“青白い火柱”が数秒ゆらめき、跡形もなく消えたという。異臭も焦げ跡もなし。通称“怪火”騒ぎは、今月に入り3度目だった。
⸻
■Scene2:失踪したベストセラー作家
現場指揮を執る函館中央署・木谷警部補は私を見るなり小声で頼んだ。
「10日前から地元出身の人気作家・**久賀悠斗(35)**が行方不明。怪火が出るたび、彼の未発表原稿が1章ずつ“灰”になって見つかる」
灰は決まって旧型タイプライター用紙。
残された断片には“灯せ 炎の詩”という走り書きがあるという。
⸻
■Scene3:金森倉庫のカフェで“函館塩ラーメン”と推理
私は赤レンガのカフェに入り、函館塩ラーメンとイカ刺しを注文。
祖母のキムチを一口――視界がゆがむ。
*廃アパートの一室。久賀が机に向かいタイピング。
窓の外、黒いコートの男が見下ろす。
*久賀が机の引き出しに“原稿束”を隠しロウで封蝋。
赤い蝋を火で溶かす炎が一瞬、青白く反転。
(蝋に混じった化学薬品……青い炎……)
⸻
■Scene4:怪火のトリックと“共作者の影”
私は木谷警部補に提案し、現場へ薬品検査チームを投入。
結果、封蝋にホウ酸とメタノールを浸した紙片が混入→発火時に“青白い火”だけ上がり、温度が低く壁を焦がさない。
久賀の“共作者”として名前が挙がったのは編集者・椎名茜(29)。
彼女は久賀の新作をベストセラーに導いた辣腕だが、最近解任されていた。
尋問で茜は泣き崩れる。
「私は原稿を燃やしてない……でも久賀さんは、“作品は燃えてこそ完成する”って……!」
⸻
■Scene5:灰の中の真作
キムチの追加ビジョンで見た倉庫裏の暖炉を捜索。
そこには灰になりかけた“カーボン用紙”とUSB。
タイプライター紙の灰はダミー。真作データはUSBに保存され、燃え残るよう細工されていた。
メモには久賀の文字。
〈怪火の報せで世間を煽り
砂糖菓子のような賞を拒む
すべて燃えた後にこそ
本当の読者が残る〉
久賀は自作自演で“焼失騒ぎ”を演出、最後に身を隠し作品をSNSで無料公開する計画だった。
⸻
■Scene6:倉庫屋上、作家との対峙
夜。青白い炎の時刻——
倉庫屋上で久賀を発見。彼は原稿束を手に、蝋燭を灯そうとしていた。
「燃やして何が残るんですか!」
私が叫ぶと、久賀は笑う。
「炎だけが、嘘を焼き尽くす。出版も賞も、全部“紙と金”さ」
「読者は紙じゃない。真実は“燃やさなくても”伝わる」
私は原稿を掴み取り、キムチ瓶をかざす。
「この辛さより熱い炎なんて、ないんだから」
久賀は膝を折り、静かに泣いた。
⸻
■Scene7:函館山の夜景、締めくくりの味
事件後、私は木谷警部補とラーメン横丁で“函館海鮮味噌ラーメン”をすする。
木谷「いや、あの作家より凛奈さんの方が“火消し”上手だ」
私「キムチは発火性ありませんから。心は燃えますけどね」
函館山の夜景が宝石のように輝く。
次の通知は……鹿児島・桜島で連続灰雨脅迫。
私は笑い、ポケットのキムチを握りしめた。
「灰も火も、全部まとめて味わってあげる」
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——
ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!
その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。
読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。
「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!
皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。