表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/120

第79話:金沢湯けむり殺人事件 ―女将と探偵、初めての共同捜査―


■Scene1:テルメ金沢、再び動く


金沢駅からタクシーに乗り込み、私が向かったのは老舗旅館「テルメ金沢」だった。

前回の事件で名前だけを聞いていた女将――白石美琴さんが出迎えてくれた。


「ようこそ、金沢へ。凛奈さん。お会いできて光栄です」


「こちらこそ……お噂は、祖母からずっと」


二人で頭を下げあったその瞬間、旅館の玄関先に緊急車両のサイレンが響いた。


「なんだ……?美琴さん?」


美琴は表情を変えず、すぐに玄関へと駆け寄る。そこには、石川県警の刑事――高橋悠真と、彼の相棒・片桐刑事がいた。


「美琴、例の件……起きたぞ。やっぱり、“あの部屋”だった」



■Scene2:“呪われた客室”と密室の死体


問題の部屋は、旅館の中でも一番格式ある「椿の間」だった。

過去に著名な政治家や女優も泊まったという由緒ある部屋――だが、数年前から「泊まると体調を崩す」と噂され、今はほとんど使われていなかった。


今回は、都内から訪れた経済評論家・篠原誠(56)が宿泊していた。だが今朝、布団の中で冷たくなっているのを従業員が発見したという。


警察によると、室内は完全な密室。窓も鍵がかかっており、出入りした形跡はない。


「病死の可能性もあるが……問題はこれだ」


悠真が見せたのは、茶碗に残っていた白い粉と、部屋の床に書かれた謎の言葉だった。


――「ワカモノノヨウニ、イキタカッタ」


美琴が思わず口を押える。


「これは……」



■Scene3:若女将と探偵の初捜査会議


旅館の一室で、私と美琴は警察の立ち会いの下、初めての捜査会議を開いた。


「篠原さんは、最近SNSで若者向けのビジネス指南をしていたわ。だけど、炎上もしていた」


「アンチもいたってこと?」


「ええ。特に、元部下に恨みを持たれていたって噂も」


私は祖母からもらったキムチ瓶を取り出す。


「私、ちょっと……時間、ください」


一口……視界が揺れる。


――薄暗い客室。男がスマホで何かの動画を見て笑っている。


“あんなに偉そうにしてたくせに。若ぶってるだけで中身は……クズだったじゃねえか”


映像の中には、篠原と別の男が言い争う姿が映っていた。


“俺をクビにした理由、忘れたのかよ。今さら取り入ろうとしても遅いんだよ、篠原”



■Scene4:美琴の直感と凛奈の証拠


目を覚ました私は、隣の美琴に告げる。


「犯人は……元部下。しかも、旅館にまだいる。従業員のふりをして」


「まさか……」


私は犯人が篠原の荷物に盗聴器を仕掛けていた証拠を見つけ、現場に残された“粉”が睡眠薬と興奮剤を混ぜた違法成分であることを突き止める。


美琴が静かに言った。


「お客様を“もてなす場”で命を奪った。それだけは絶対に許せません」



■Scene5:終わりと始まり、湯けむりの先に


犯人の男は、旅館内で警察により確保された。

動機は「自分を裏切った上司を許せなかった」という私怨によるもの。


事件が一段落した夜、美琴と私は、テルメ金沢の中庭で並んで月を見上げた。


「探偵って、大変ですね」


「女将も……大変ですよ」


「でも、どちらも“人の心”と向き合う仕事ですね」


そう言って微笑む美琴に、私は素直に答えた。


「また、一緒に事件を解決しましょう」


そして湯けむりの向こうに、新たな事件の気配が静かに立ち上っていた――



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ