第73話:テルメ金沢の残像 ―祖母の記憶と“時間旅行者”の噂―
■Scene1:釜山・探偵事務所の午後
釜山の事務所。撮影の合間に戻った私は、祖母 夏栄の帳簿整理を手伝いながら切り出した。
「おばあちゃん、“三宅愛”さんって覚えてる?」
――黄金グループ〈龍雷神〉社長の母で、かつてトップアイドルから女優へ転身した人物。
祖母は首を傾げる。
「テルメ金沢で女将役をした時にストーカー騒ぎ…? うーん、記憶にないねえ」
私は愛さんを直接訪ねることを決意。まずは社長の黄金に電話を入れた。
「愛さんにお会いして、当時の出来事を聞き取りしたいんです」
「もちろん。母も喜ぶはずだ」
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■Scene2:東京郊外・三宅邸への訪問
一週間後。杉並区の閑静な住宅街に佇む和洋折衷の邸宅――三宅家。
迎えてくれたのは、90歳とは思えぬ気品を湛えた三宅愛と、双子の孫 紬 と 蓮。
愛「あら、あなたが“時間旅行の探偵娘さん”ね?」
凛奈「祖母がお世話になったとか…いえ、おばあちゃん本人は覚えていなくて」
茶の間に通されると、紬が淹れた緑茶と手作りわらび餅が並ぶ。
紬「アイドル活動の合間にお菓子作りも覚えたんです」
蓮「僕は大学で経営学を専攻中。将来は龍雷神を継ぐ予定で」
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■Scene3:30年前のテルメ金沢――愛の回想
愛はゆっくりと語り出した。
・当時ドラマの特別ロケで女将役を務めた。
・撮影後半、見知らぬ男が連日ロビーや裏庭に現れ、部屋の外で長時間立ち尽くしていた。
・スタッフに相談するも証拠がなく、警察も決定打を掴めず。
愛「そこに現れたのが“キムチ時間旅行者の少女”。白いワンピースに大きな瞳――夏栄さんよ。
一口キムチを食べ、ふっと倒れたかと思うと、目覚めてすぐ犯人の居場所を言い当てた」
凛奈(やっぱりおばあちゃん…!)
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■Scene4:キムチと驚きの瞬間
許可を得て、私は携帯していた祖母直伝のキムチを口に含む。
紬と蓮、愛が息をのむ中、私の意識は30年前のテルメ金沢へ。
*薄暗い中庭。物陰に潜む男。愛がひとり夜風に当たる瞬間を狙っていた。
*男は熱狂的なファンで、愛を「芸能界から連れ出す」妄執に囚われていた。
夢から醒め、私はゆっくりと口を開いた。
「愛さん、あの男は逮捕後に強制入院となりました。もう亡くなられています。安心してください」
愛は深く頷き、長く張っていた肩の力をようやく下ろした。
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■Scene5:静かな夜、祖母への報告
釜山へ戻る夜。祖母に電話を入れた。
「おばあちゃん、心配しなくていいよ。全部わかった」
祖母の声はほっと安堵の色を帯びていた。
私はソファに横になり、事件ではない“記憶の旅”を終えた余韻に浸る。
窓の外には釜山港の灯り。
「――キムチは、ただ辛いだけじゃない。
時間を超え、人の心の“重石”をそっと外す味なんだね」
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