第64話:ふれあいの丘、風の誘拐 ―岩手・冷麺と母の声―
■Scene 1:岩手へ――“焼肉冷麺 髭”の昼下がり
夏の終わりの岩手県。
凛奈はまず、盛岡名物の焼肉と冷麺を味わおうと“焼肉冷麺 髭”を訪れていた。
「うん、やっぱり岩手の冷麺は喉越しが違う…!」
盛岡冷麺特有の弾力ある麺と、やや甘酸っぱいスープ。
そして焼肉のカルビを一緒に頬張るこの満足感。
しかし、そこへ着信が入る。姉・信恵からだった。
「凛奈、すぐに“ふれあいの丘公園”へ行って! 誘拐事件が起きたの!」
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■Scene 2:風が吹いた瞬間に消えた少年
現場は広々とした丘に、家族連れが集う人気の公園。
その芝生広場で、6歳の男の子・隼人くんが突如姿を消したという。
母親は号泣し、警察も必死に園内を探していたが――手がかりはゼロ。
「誰も見ていない……?こんなに人がいたのに?」
凛奈は荷物の中から、特製のキムチを取り出す。
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■Scene 3:時間を越えた視界の中で
キムチを口に含んだ瞬間、凛奈の視界が切り替わる。
午後2時15分。
芝生に立つ1人の男――キャップを深くかぶり、サングラスをしていた。
男は、風船を持って近づいてきた。
「お母さんが先に行ったってさ、車で迎えに来てるよ」
そう言いながら、隼人くんの手を取る。
(それ、誘拐の常套句……!)
凛奈は記憶の映像を巻き戻し、ナンバー入りの軽ワゴンを確認。
急いでそれを警察に伝える。
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■Scene 4:母と子の再会、涙の中で
警察はワゴン車を追跡し、30分後、隼人くんを無事保護。
犯人は、以前同じ保育園でトラブルを起こした元保護者だった。
「なんで、なんでうちの子を……!」
「息子がいじめられてたのに、誰も信じてくれなかった…あの子さえいなければ…!」
凛奈は静かに言う。
「子どもたちは、過去じゃなく“今”を生きてるんです。
あなたの傷を、子どもに背負わせないでください」
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■Scene 5:再び冷麺の町へ
事件が解決し、凛奈は再び盛岡へ戻った。
今度は“焼肉冷麺 三千里 雫石店”で、焼肉と冷麺を静かに味わう。
「子どもを守ることって、時に大人自身の心を見つめ直すことなんだよね」
冷たい麺が、少しだけ涙の味を混ぜながら、喉を通り過ぎていった――。
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