第57話:再び富山へ ―真実は立山の麓にて―
前作・韓国編を読んでくださった皆さま、ありがとうございました!
今回は、再び日本に帰還。舞台は富山――懐かしい仲間たちと、未解決事件の続きが待っています。
探偵・朴凛奈、再び立ち上がる時。
舞台は富山・頼成の森、そして二つの高校。
17年前の迷宮入り事件と、現在の事件が重なり合い、再び闇が動き出します。
そして、キムチの記憶も沈黙する今回……
果たして、真実に辿り着けるのか――?
ぜひ今回も、
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それでは、富山編、開幕です!
■Scene 1:再会は、仄かに重く
「また、富山に事件が?」
釜山の探偵事務所に届いた一通のメールは、懐かしい名前と共に始まっていた。
「凛奈さん、お元気ですか?
富山でまた事件です。今回も、頼らせてください。
―富山県警・舵村大輔」
私はすぐに準備を整え、空路で富山へ。
目的地は、富山私立第二高校と富山県立商業高校。
2校の近くにある空き地で、女子大生の遺体が発見されたのだという。
現場で待っていたのは、舵村本部長、千蔵警部補、井上警部の3人。
久々の再会に少しだけ微笑む暇もなく、舵村が低い声で言った。
「――17年前の“頼成の森”と、状況が酷似しているんだ」
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■Scene 2:幻の花園、頼成の森
砺波市の「頼成の森」。
そこには美しい花菖蒲園が広がり、毎年多くの観光客が訪れる場所だった。
だが、17年前――一人の女子高生が謎の失踪を遂げた。
遺留品も証拠も見つからず、事件は迷宮入り。
「当時、俺たち3人が初めてタッグを組んだ事件でもある。…悔しいが、今でも解決できていない」
井上の声には、悔しさと無力さがにじんでいた。
そして今回。
富山第二高校と県立商業の間にある通学路の脇、薄暗い空き地で
首に傷を負った女子大生が発見された。
遺体のそばには、意味不明な数字が書かれたメモと、花菖蒲の押し花。
まるで――過去の未解決事件への挑発のようだった。
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■Scene 3:キムチの記憶は…沈黙する
私はキムチの小瓶を取り出し、静かに口に運ぶ。
「頼むよ、過去の記憶。何か…ヒントでも……」
しかし――
視界に広がるのは、ただの闇。
悲鳴も、犯人の姿も、動機すら見えない。
「そんな……何も見えない……?」
私が体験するのは初めてだった。
“何も映らない”過去。
千蔵がぽつりと呟く。
「凛奈さんが見えないとなると……この犯人、相当手強いな」
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■Scene 4:悔しさの味と、静かな決意
調査は3日間にわたって続いたが、犯人を絞る決定的な手がかりはなかった。
メモの筆跡も照合不能。
花菖蒲の押し花も市販のもの。
被害者と“頼成の森事件”を繋ぐ明確な線も出てこない。
そして、ついに県警は「未解決」のまま捜査の一区切りを迎える。
「……すみません。私、犯人に辿り着けませんでした」
そう言う私に、舵村本部長は笑みを浮かべて言った。
「凛奈さん。あなたがいたから、俺たちはもう一度事件に向き合えた。
それだけで、今回は十分だよ」
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■Scene 5:カレーとコロッケの静かな誓い
私は大泉町にある“カレー屋 伊東”へ。
店主のおじさんが優しく迎えてくれた。
注文したのは、看板メニューの『やさたまカレー』と『クリームコロッケ』。
ふわふわの卵とピリッとしたカレー、
サクッとしたコロッケが、悔しさを優しく包み込んでくれる。
「次こそは――絶対、真実を突き止める」
私は心の中でそう誓い、カレーを一口運んだ。
⸻
エピローグ
その日の夕方、新幹線で仙台へ向かう。
窓の外、立山連峰にかかる夕日が、まるで事件の哀しみを包むように静かに燃えていた。
「さようなら、富山。また必ず来るから」
そう呟いた私は、次なる事件の舞台へ向かっていた。
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