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第47話:大邱、静かなる遺産の殺意 ―文化財館の秘密―


■Scene 1:静かな大邱の朝、そしてニュース速報


2026年春。

ソウルでのスケジュールを終えた私は、休暇をかねて大邱テグに向かっていた。


目的はたったひとつ。

古美術に囲まれた大邱の「文化財館」で開催される特別展――


《韓国伝統陶磁器と文様の神秘》


…を観に行くことだった。

ところが、釜山からKTXで大邱駅に到着した直後、スマホの速報が鳴る。


【速報】

大邱文化財館で男性研究者が死亡。

事件性の可能性があるとして、警察が捜査に着手。


私は一瞬、息をのんだ。

その文化財館こそ、私が今日行く予定だった場所――

そして、死亡した人物の名を見て私は立ち尽くす。


「チェ・ギュヒョン氏(45)…?」


彼は母・梵夜がかつて衣装モデルとして関わっていた伝統文様復元プロジェクトの中心人物であり、

父・洋佑が日本警察時代に文化交流で知り合った人物でもあった。



■Scene 2:大邱文化財館、そして凛奈の推理


現場は、凛とした空気に包まれた展示室の一角。

遺体は、韓国朝鮮王朝時代の「青花磁器」のそばに倒れていた。


第一発見者は展示館の職員で、午前9時の開館準備中に倒れていたギュヒョン氏を見つけたという。


私は警察に身分を明かし、独自に調査を申し出た。

(芸能人とはいえ、探偵事務所の正式登録があるので、韓国国内では一定の調査権がある)


ギュヒョン氏は“心筋梗塞”と一度は診断されたが、私は違和感を覚えた。


「この磁器、展示位置が微妙にズレている…そして…」

「あれは、“黄土カビ”の粉末? 吸い込んだ可能性が…?」



■Scene 3:キムチと視えた過去の毒


私は昼食に、大邱名物の“マクチャン(ホルモン焼き)”と熟成キムチを口にした。

すると、視界が一瞬赤く染まる。


――遡ったのは事件当日、前夜の閉館後。


ギュヒョン氏は一人で展示室を歩き、青花磁器を撫でていた。

そこに現れた若い女性職員が、密かに何かの粉末を磁器の裏へ――


「これであなたの“矛盾”も終わりです、先生…」

「あなたが盗んだ文化財、全部“復元品”だったのよね?」


凛奈は目を見開く。

事件の動機は、“文化財の偽造”とその隠蔽。

ギュヒョン氏は一部の陶磁器を“贋作”と知りながら展示し、それを指摘しようとした若手職員を黙らせようとしていたが、逆に毒殺されてしまったのだ。



■Scene 4:父と母の過去と繋がる


事件の裏には、母・梵夜がモデルを務めた“文様復元プロジェクト”の一環で、日本に流出した文化財の複製にギュヒョン氏が関与していた事実があった。


父・洋佑の旧同僚(現在は在釜山領事館勤務)も動き、凛奈の調査を支援。


凛奈:「結局、本物の文化財を守るために嘘を重ねた結果が、命を奪ったのね……」



■ラスト:沈黙する街と、進む時


事件解決後、凛奈は文化財館の展示室に一人立ち、

“本物と偽物の間にある真実”に思いを馳せる。


その後、彼女は街の屋台で名物“ナクチポックン(激辛タコ炒め)”を食べながら、

スマホを開いた。


【件名:ソウル・江南にて不審な接触者複数】

From:韓国国家情報院


そして、彼女は静かに呟いた。


「探偵って、やっぱり休めない職業なのかもね…」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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