第46話:誘拐されたスターと、1,000億ウォンの罠 ―日本で消えた二人の芸能人を追え!
皆さま、お盆休みはいかがお過ごしでしょうか?
親戚と集まる方、のんびり過ごす方、久しぶりの帰省で懐かしい顔と出会う方……
それぞれの「再会」や「記憶」に触れる季節ですね。
今回お届けするのは、そんなお盆の裏で起きた、“芸能界最大の誘拐事件”。
誘拐されたのは、若きスター俳優と人気女優。
だが、その裏には――国家規模の欺瞞と、崩壊した財閥の亡霊が潜んでいた。
探偵・朴凛奈。再び東京の闇に挑みます。
■Scene 1:父の店、そして一本の電話
釜山・海雲台の街角。
私の探偵事務所が入った古ビルの1階では、父・朴洋佑(日本名:火野洋佑)が経営する日本料理店『和魂』が開店準備の真っ最中だった。
「凛奈、キムチの匂いをさせたまま厨房に入るのはやめてくれよ」
「えー、探偵の体臭ってそんなもんでしょ?」
父は元・日本の警視庁警視。今では料理包丁を握る立場だが、私が事件で疲れて帰ってきたときは、最高の味噌汁を出してくれる唯一無二の存在だった。
そんなとき、姉・信恵からの着信が鳴り響く。
「凛奈……日本にいる“あの二人”が誘拐されたの。しかも、身代金が……」
「いくら?」
「……1,000億ウォン。韓国でも過去最大規模よ」
私は箸を置いた。
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■Scene 2:二人の被害者 ―スター俳優と女優
誘拐されたのは、韓国の若手俳優チ・ソンジェ(23)と、
姉・信恵の親友でもある女優ソ・ハリン(24)。
彼らは撮影のために東京・港区の高級マンションに滞在していた。
凛奈は即座にソウルにあるセキュリティ事務所の社長へ接触。
彼は信恵と親しく、被害者たちの所属する芸能事務所『KR・HEARTS』の危機管理責任者でもあった。
「要求されたのは、日本円で約110億。48時間以内に現金を東京の指定口座に振り込め、と」
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■Scene 3:東京へ――姉との再会、現場調査
私はすぐに航空チケットを手配し、父に頭を下げた。
「……一度、東京に行ってくる」
「行ってこい。お前の帰りは、俺が煮物の出汁で待ってる」
東京・新宿駅。
信恵と再会した私は、誘拐された二人の滞在先と現場周辺の監視カメラ映像を一緒に確認。
「現場に争った痕跡はなかったのに、二人のスマホだけが廃棄されてたの。おかしいでしょ?」
私は探偵用の自作アプリを駆使して、映像の微細なズレを解析。
そこに映っていたのは――黒いスーツ姿の女と、金色の蛇のブレスレット。
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■Scene 4:キムチで視る、“誘拐の朝”
私は港区のある公園のベンチで、イカ塩辛と熟成白菜を使った強発酵キムチを一口。
――視界が滲む。
朝8時前、ハリンがコンビニに向かった直後、黒スーツの女がソンジェの背後に現れる。
その直後、白いバンが路地裏に入り、2人は静かに姿を消した。
さらに、別の視点では――犯行を“録画している男”がいた。
その男こそ、KR・HEARTSの前・経営幹部で“解雇された過去”を持つ男・ペク・ジンホだった。
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■Scene 5:韓国財閥の影と、身代金の罠
韓国へ戻った私は、父の店の地下室で社長と直接対峙。
「……あなたの会社、背後に“クァンリョン財閥”の影があるわね?」
「……何を言ってる。あれはもう解体された財閥だ」
「じゃあ、この身代金の振込先――クァンリョン傘下銀行のダミー口座って、どう説明するの?」
それは財閥再建を狙う一部旧勢力による、資金集めのための“虚偽誘拐”だった。
ソンジェとハリンは実は「共犯者に騙されて」閉じ込められていたのだ。
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■Scene 6:決着と帰還、そして信頼
私たちは在日韓国大使館と日本警察の協力を得て、都内の廃工場にて2人を無事救出。
金を受け取ろうとしていたペク・ジンホはその場で逮捕された。
帰国後、信恵は小さく言った。
「……ありがとう、凛奈。あの子たち、命の恩人ってずっと言ってる」
「私は探偵よ。1000億ウォンでも、命の重みには敵わないもの」
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エピローグ:父の煮物と、次なる事件の予感
釜山の家。父の煮物が温かく胃を満たす。
「おかえり、凛奈。辛さの後には、旨味が残るんだよ」
私は静かにうなずきながら、一本のメールを見つめた。
件名:【大邱・文化財館にて殺人事件発生】
そして、キムチ冷蔵庫を開けた。
今度の事件も、過去を喰らって未来を拓くしかない。
誰かを信じることは、ときに命取りになる。
だが、信じる力が“真実”に繋がることもある。
今回は芸能界という光の裏側にある、深い闇と欺瞞を追いました。
お盆という時期に、過去を振り返り、未来へ向かう探偵・凛奈の物語が、あなたの心に届けば嬉しいです。
次回、「大邱・文化財館殺人事件編」へと続きます。
ご期待ください。
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