第26話:能登の風、最後のキムチ ―失われた家族と、海に沈んだ真実―
■Scene 1:凛奈、能登半島へ
「能登……」
東京の事件を終えた凛奈は、石川・金沢からさらに北へ向かっていた。
目的地は、能登半島・輪島市。
それは観光でも取材でもなく、ある手紙の差出人を探すためだった。
「“あなたの祖母、そして母の秘密を知っています”。差出人不明、でも……“キムチ”の味を知ってる人しか知らない文面だった」
金沢駅から能登里山里海号に乗り、静かな沿岸の景色を眺めながら、
凛奈は胸の奥がざわつくのを感じていた。
⸻
■Scene 2:凛奈の祖母・夏栄の若き日
輪島の古びた郵便局を訪ねた凛奈は、地元の年配女性・清水トヨという人物から、衝撃の話を聞く。
「……あんたの祖母、朴夏栄さんやろ? 昔ここに来てたよ。
戦後すぐ、朝鮮半島から来てな、海女をやりながら……“能登のキムチ屋”って呼ばれとった」
「えっ……祖母が……ここに?」
トヨによれば、夏栄は若いころ、能登で行方不明になった女性の事件を解決した過去があったという。
しかも――
「そのとき、一緒にいたんは……あんたの母親、梵夜ちゃんやった」
⸻
■Scene 3:朴家に眠る記録と“最後のキムチ”
凛奈は、輪島の外れにある旧民家に案内される。
そこは祖母・夏栄が短期間だけ住んでいた場所。
土間の奥にあった“古い木箱”を開けると、そこにはレシピ帳と共に、こう書かれていた。
「未来の“キムチ探偵”へ
この味を、いつか必要とする日が来る。
そして――あなたの記憶が、真実をつないでくれる」
そこには**“最初に作られたキムチ”**の漬け込み瓶が残されていた。
それを一口――
⸻
■Scene 4:祖母の最後の事件と、凛奈の誕生
過去が鮮明に蘇る。
若かりし夏栄は、輪島の海女として暮らしながら、村で起こった“神隠し事件”を追っていた。
犯人は村の旧家の跡取りで、罪を海に沈めようとした――
だが、夏栄はそれを阻止し、失踪者を救い出す。
その事件の夜、彼女は娘・ソヨンにこう言った。
「キムチはな、ただの漬物やない。
人の想いと、時を結ぶ道具なんや」
ソヨンは、その想いを受け継ぎ、日本へ。
そして――凛奈が生まれた。
⸻
■Scene 5:凛奈、能登の海で叫ぶ
凛奈は、祖母と母が過ごした岬に立ち、海風を受けながら、ぽつりと呟いた。
「キムチで時を遡れるのは、家族が繋いできた想いがあるから――」
ふと風が吹き、背中を押されたような気がした。
「ありがとう、おばあちゃん。
ありがとう、お母さん。私、まだ……この力を、使っていく」
⸻
エピローグ:釜山へ帰る途中で
金沢から釜山への帰路。
空港の待合室で、凛奈はスマホを開き、SNSを見ていた。
そこには――
《#キムチ探偵》《#凛奈》《#未来へ繋げ》
《新シリーズ決定⁉︎》《映画化希望!》《続編求む!》
「……まだまだ、事件は終わりそうにないね」
カメラのフラッシュが光り、また新たな依頼のメールが届く。
凛奈は笑って、言った。
「さぁ、キムチ持って。次の“真実”へ、行こか!」
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——
ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!
その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。
読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。
「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!
皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。