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第25話:東京、再びの殺意 ―月の夜に咲く紅の華―


■Scene 1:赤い花と静かな路地


再び東京。

凛奈は女優業のために、表参道の撮影スタジオに来ていた。


その夜――仕事を終えて、夜風にあたりながら一本路地を歩いていたその時だった。


「……血?」


街灯に照らされた路地の奥、アスファルトに倒れる女性。


そして、その手に握られていたのは、赤い華の形をした紙片。

それはまるで、和紙で折られた“彼岸花”のようだった。


「まさか……また、殺人……?」



■Scene 2:遺体の正体と、“紅の華”の意味


亡くなっていたのは、女優・香取映里かとり えり

若手ながら実力派として注目されていた存在。凛奈も面識があった。


「この人……前に韓国の映画祭でも会った」


警視庁の捜査が始まる中、凛奈はあることを思い出す。


「“紅の華”って……あの伝説の事件を模してる?」


それは20年前、六本木で起きた“紅の華連続毒殺事件”。


被害者の全員が演劇関係者で、手には必ず赤い華の折り紙を握っていた。


「まさか……再来?」



■Scene 3:凛奈、月下の捜査へ


凛奈は、赤い華を見つめながら激辛チャンジャキムチを一口。


その瞬間、頭の奥で“映里の最期の記憶”が蘇る。


《……なんで、あなたが? ……うそ……わたし、信用してたのに……》


「誰か……仲間を装って近づいた人物が犯人……?」


凛奈は、映里が最後に会っていた人物を探る。


すると、彼女が最近出演していた**舞台『紅い仮面』**の演出家と、

共演女優が次のターゲットとして狙われていることが判明する。



■Scene 4:舞台に潜む影、“仮面の演出家”


舞台『紅い仮面』は、殺された香取映里が主演予定だった。

演出家の名は茅野透かやの とおる


彼の過去を調べると、20年前の“紅の華事件”の被害者の中に、実の姉がいた。


「彼は……姉を殺した犯人を追ってた? それとも……?」


劇場の控室を訪れた凛奈。そこにいたのは、次に狙われていると思われる共演女優・一条夕香いちじょう ゆうか


「映里が死んだのは、私のせいかもしれない……彼女、何か知ってた。

“舞台の台本、書き換えられてる”って言ってたの」



■Scene 5:真犯人は“役者”だった


凛奈は、台本を読み込んで気付く。


「この台本、台詞の一部が事件の記録と一致してる……?

つまり、演出家が、舞台を“告発の場”にしようとしてた?」


茅野透のもとを訪ねると、彼は凛奈に告げる。


「姉の死の真相を、舞台で再現することで、犯人を暴こうとしたんだ。

でも、誰かにそれを読まれて……映里が殺された」


その“誰か”――

それは舞台裏で照明スタッフとして潜り込んでいた男、村岡誠司。

20年前の事件の“目撃者”であり、実は姉を裏切った関係者だった。


彼は再演を恐れ、凛奈をも狙っていた。



■Scene 6:最後のキムチ、最後の告白


凛奈は、村岡が再び劇場に現れると読んで、張り込む。


そして舞台のリハーサル中、音響装置の異常に紛れて凛奈がキムチを口に――


《……姉さん、ごめん。俺は……逃げたんだ。あの日、助けられなかったんだ……》


その記憶を証拠に、凛奈は劇場内で村岡を指摘。

警察に引き渡され、事件は収束する。



エピローグ:月の下、凛奈の背中に吹く風


表参道の夜。

凛奈はカフェのテラスで、ホットミルクと甘いフルーツサンドを食べながら一息。


「東京の事件は、やっぱり心に刺さるなぁ……」


月が静かに夜空に浮かぶ。


「でも、大丈夫。キムチがある限り、真実は見えるから」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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