第23話:通天閣に潜む影 ―大阪連続強盗事件の謎―
■Scene 1:道頓堀の空の下で
「大阪って、なんか空までパワフルだよね……」
凛奈は道頓堀のグリコ看板の下、スマホ片手にたこ焼きを頬張っていた。
京都・福井・金沢と地方を回ってきた彼女が次に目を付けたのが、食と人情の街・大阪。
だが、街に漂う空気はどこかざわついていた。
ここ数日、通天閣周辺での連続強盗事件が発生し、大阪府警が大規模な捜査を展開していたのだ。
「犯人は“黒い傘の女”。防犯カメラには映るのに、誰も顔を覚えていない」
この不可解な現象に、凛奈の探偵魂がざわめいた。
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■Scene 2:通天閣と“黒い傘”
新世界へ向かった凛奈は、串カツ屋の喧騒の中で、情報を集めた。
「黒い傘の女やろ? 昨日もこのへんで見かけたで。
ほら、雨も降ってへんのに真っ黒い傘さしてる、妙な女やったわ」
その話を聞いて店を出たとき――
黒い傘の影が、凛奈の視界を横切った。
「待って!」
彼女は追いかけるも、女は通天閣の裏路地に消えた。
その瞬間、凛奈は足を止め、ポケットから取り出した。
―特製の大阪風キムチ。
牛すじと紅しょうがが入った“なにわキムチ”。
「ここまで来たら、使うしかないよね」
一口、口に含んだ瞬間――
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■Scene 3:過去に映った“予告された犯行”
視界が闇に包まれ、過去の映像が流れ込む。
黒い傘の女は、スマホを見つめながらひとり呟いていた。
「次は……あの宝石店。通天閣の南、23時」
凛奈ははっとして、現実に戻った。
「予告……? 自分の行動、記録してる……?」
スマホのGPS履歴が記録されている。つまり、犯人は誰かに“行動を報告している”?
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■Scene 4:大阪府警の男と“影の依頼主”
その夜、大阪府警本部にて。
凛奈は刑事の**新村隆志**と会う。
新村はもともと富山県警にいた千蔵警部補の同期で、凛奈のことも知っていた。
「黒い傘の女……何か裏がありますよ。動きが“単独犯”にしては緻密すぎる」
凛奈は言った。
「誰かの“指示”で動いてる可能性がある。……裏社会か、もしくは“演出家”」
新村がうなずく。
「この数件の強盗、実は全部“犯人が残した映像”があったんです。監視カメラじゃなくて、誰かが録画した映像」
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■Scene 5:凛奈、罠に嵌められる
次の夜。凛奈は通天閣南の宝石店近くで張り込みをしていた。
が、そこに現れたのは、凛奈自身の姿を真似た女優風の人物だった。
「え……私……?」
直後、警察が突入。
「動くな! 強盗犯はこの子です!」
「ち、違う! 私は朴凛奈、探偵で――」
混乱の中、凛奈は身を翻し、裏道へと逃げる。
(これは……“私を犯人に仕立てる”罠!?)
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■Scene 6:逆転の一撃と、大阪の夜明け
夜明け前。
凛奈は自分をハメた人物の正体にたどり着く。
それは“黒い傘の女”を操っていた、舞台演出家・宝城環。
彼女は一連の犯行を“都市伝説をリアル化するプロジェクト”として裏で演出していた。
黒い傘の女は、環の元劇団員。彼女は洗脳のように命令されていた。
凛奈は、決定的証拠となる“犯行演出の台本”をキムチで見抜いた記憶の中から暴露し、無事解決へ。
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■エピローグ:通天閣の下で
事件が収束し、凛奈は新世界で串カツを口にする。
「通天閣の下で食べる串カツ、やっぱ最高……事件の味も、ちょっとスパイシーだったけど」
大阪府警の新村が笑って言う。
「君はやっぱ、どこ行っても事件呼ぶな」
「次は……もうちょっとのんびりした旅、したいなぁ」
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