第21話:金沢の夜と花の影 ―テルメ金沢殺人事件と加賀藩の亡霊伝説―
ご覧いただき、ありがとうございます!
今回の舞台は北陸・金沢。
鼓門、近江町市場、金沢城、兼六園――
春の始まりを彩る街で、まさかの殺人事件が起こります。
・温泉旅行で偶然遭遇した事件
・加賀藩にまつわる“亡霊伝説”
・金沢の旧家が隠してきた過去の罪
・そして、絶品の煮込みうどんやフルーツ大福
探偵・朴凛奈が、旅の途中で
歴史と現代が交錯する謎に挑みます。
今回は少しユーモラスに、でもしっかりとミステリーも。
金沢の旅気分で、甘いものと熱い事件、どちらも味わっていただければ幸いです。
それでは、どうぞ――
北陸・加賀の地へ、旅立ちましょう。
■Scene 1:思いつきの旅、新幹線の窓から
「今日は金沢、行っちゃおうかな」
韓国でのCM撮影を終えた凛奈は、ふと思い立って富山駅を通過、新幹線で金沢へ向かった。
金沢駅に着くと、あの有名な鼓門が凛奈を出迎えた。
「でっか……自撮り無理」
人混みの中、凛奈は通りすがりの女性に写真をお願いした。
するとその女性が驚いたように声を上げる。
「あれ? 富山の事件と福井の事件を解決した探偵さんじゃない?」
「え、本物? すごーい! なんで金沢に?」
「温泉入りたくて。テルメ金沢っていうとこ、泊まるの」
それだけを答えると、凛奈は駅前からバスに乗り、街へと繰り出した。
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■Scene 2:海鮮と大福の街で
まず訪れたのは、近江町市場。
有名店「山さん寿司」では、
贅沢にも――3品を堪能した。
• のどぐろ一貫(660円)
• 海鮮丼(3,600円)
• 特上握り10貫(3,500円)
「やば、これは事件レベルの美味さ」
続いて向かったのは、金沢城址公園。
木陰でひと休みしたあと、金沢21世紀美術館へ。
館内を歩きながら、ふと思い出す。
「ひがし茶屋街も行っとかないと」
そこで凛奈は、『Kazu Nakashima』というフルーツ大福の店へ。
1人でいちご大福を頬張り、パイン、栗、キウイ、メロン、無花果など6種を家族用に持ち帰りとして購入。
店の中では、観光客に気付かれ、サインを求められるシーンも。
名刺を手渡しながら、探偵兼女優としての姿を照れながら見せた。
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■Scene 3:テルメ金沢と夜の湯けむり
「はぁ〜、しあわせ」
夜、テルメ金沢の温泉に浸かる凛奈。
旅の疲れがゆるみ、ほてった頬に涼しい風が心地よい。
そのとき――
「ピーポーピーポー!」
警察のサイレンが鳴り、数人の警察官が館内に駆け込んできた。
「え、なに? 今度は事件…?」
浴衣姿のままロビーに出ると、宿泊客のざわつきの中で、警察官が一人、凛奈に近づいてきた。
「すみません。関係者の方ですか?」
「いえ……泊まりに来ただけですが。何が?」
「テルメ金沢の個室で、番組の撮影をしていたプロデューサーが死亡していました」
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■Scene 4:加賀藩の亡霊伝説…そして、志芳
「なんで、番組プロデューサーが死ぬの?」
そう呟く凛奈のもとに、ある女性がやってくる。
「久しぶりね、凛奈ちゃん。あなたを探してたの」
それは、姉・信恵の旧友であり、有名女優の志芳だった。
「私、あの番組にゲスト出演していたの。でも……撮影が急に中断されて。
あの人……プロデューサーの佐野さん、何かに怯えてた」
「何か?」
「“加賀藩の亡霊伝説”よ」
凛奈は眉をひそめた。
「……また、霊系?」
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■Scene 5:キムチの中に見えた、古き記憶
凛奈は、自室に戻って韓国から持参した辛口白菜キムチを口にした。
すると――意識がふわりと揺れる。
過去の記憶。
佐野プロデューサーがロケ中に見た「屏風絵」の中の女武者の姿。
「これは……兼六園の前身、旧金沢城の記録?」
佐野は古地図と絵画に異様な執着を見せ、「放送禁止」とまで口走っていた。
どうやら、番組で紹介しようとしていた旧城址にまつわる絵巻物が“封印指定”されていたという。
「亡霊伝説……実は、加賀藩が隠した処刑事件の一部かも」
そして――
凛奈は佐野が死の直前、あるメールを送ろうとしていたことに気付く。
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■Scene 6:志芳の証言と、過去の罪
翌朝、警察の協力のもと、凛奈は志芳と共に証言を整理した。
「佐野さん、金沢の旧家の家系図を見てたの。
“花の紋”がついてて……それを番組で出そうとして止められたらしい」
「花……加賀藩の女の紋章?」
凛奈の脳内でつながる。
「つまり、プロデューサーは“家系の暴露”を通じて、旧加賀藩の血筋にまつわる情報を出そうとしていた。
それが、誰かの逆鱗に触れた――」
犯人は、佐野の“映像データ”を消すために殺害を決意した。
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■エピローグ:夜桜と加賀の余韻
事件解決後、凛奈は志芳とともに兼六園の夜桜を眺めていた。
「探偵って、疲れるね」
「でも、ありがとう。あなたのおかげで“亡霊伝説”が迷信じゃなかったって分かった」
「そう。人の罪は、時代を越えて残る……
でも、甘い大福と温泉で中和されることもあるんだよ」
志芳が笑う。
「名言かも。それ、どこかで使っていい?」
「使用料はフルーツ大福3つで」
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