第18話:秋田美人は誰の涙?――姉妹の影と、いぶりがっこの夜
今回の舞台は秋田。
釜山から遠く離れたこの街で、凛奈は「美しさ」の裏側にある孤独や痛みに触れます。
誰かを守るつもりが、いつの間にか傷つけてしまうこともある。
でも、人はそれでも支え合って、また前に進めるはず。
今回も、たくさんの評価やいいね、コメントをお待ちしています!
姉妹の絆、秋田の街、そして美しさに隠された真実――
皆さまも想像しながら読んでいってくださいね。
■Scene 1:秋田の静かな午後、信恵からの連絡
「凛奈、今どこ?」
スマホ越しの声は、姉・信恵からだった。
「秋田……来てくれる?」
「えっ、信姉が秋田? あたしもちょうどCM撮影で来てるよ。“いぶりがっこキムチ”のロケ!」
「ちょっと話したい子がいて……高校のときから仲良かった火乃香ちゃん。今ね、ちょっと怖いことが起きてるの」
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■Scene 2:火乃香とその家族
秋田市・川反通り沿いにある町家カフェ。
凛奈は、信恵の旧友・**火乃香**と対面する。
「凛奈ちゃんって……高校生なのに本当に探偵なのね。信恵と同じで、芯がある感じ」
火乃香は28歳、舞台と映画で活躍する秋田出身の女優。
美しく整った顔立ちは、どこか和の品を感じさせた。
その席に現れたのは妹たち――
•次女・暁美:25歳。県内TV局の人気キャスター。しっかり者だが、火乃香に対してやや距離を感じる。
•三女・桜香:17歳の高校生でティーンモデル。可憐で明るいが、誰かの視線を気にしていた。
「ここ最近、誰かにつけられてる気がするの。火乃香姉が劇場で“照明が不自然に落ちた事件”も……ただの事故じゃないと思う」
「それに、匿名掲示板に“火乃香は整形で作られた秋田美人”って――中傷が止まらないの」
火乃香の手は、カップを持つ指先まで震えていた。
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■Scene 3:襲撃、そして“取り違え”
その夜。
桜香が出演していた地元ファッションショー会場で、突然の悲鳴が響いた。
凛奈が駆けつけると、舞台裏で桜香が背中を切られて倒れていた。
しかし――
「……待って。服を交換してたの。元々、火乃香姉が着る予定だったステージ衣装を、私が着てただけ」
つまり――
犯人は“火乃香を狙って”桜香を襲ったのだ。
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■Scene 4:キムチと涙の記憶へ
病院に搬送された桜香は軽傷だったが、火乃香は完全に沈黙した。
凛奈はそっとバッグから“秋田限定いぶりがっこキムチ”を取り出し、静かに口にした。
――意識が揺れる。
凛奈の視界に、誰かの記憶が流れ込む。
そこには、火乃香の高校時代の姿。
田舎の小さな町で「可愛い」とちやほやされ、そして妬まれ、SNSで顔を晒され、「整形」「枕営業」と罵倒された過去。
「私は、“秋田美人”の肩書を手に入れた代わりに、人としての居場所を失ったのかもしれない」
そして――ある人物が写っていた。
舞台裏で照明を操作していた、地方局の男・秋元修一。
彼は暁美の同僚であり、火乃香のかつてのファンだった人物。
「……歪んだ“守り方”をしてたのかもね。
火乃香を守るために、彼女を傷つける“可能性”を排除しようとした」
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■Scene 5:真犯人の動機と、姉妹の涙
秋元は逮捕された。
「“美しさ”を守るために、周りを壊した。それが愛だったって言えるか?」
「……違う。あれはただの独占欲だわ」
火乃香の涙は、凛奈の胸を打った。
「私は、過去のことを恨んでばかりで……
でも、妹たちが命がけで守ってくれた。もう、“顔”で生きるのはやめようと思う」
暁美がそっと言った。
「私は姉さんを“守る”つもりはないよ。でも、一緒に笑って生きたいだけ」
三女・桜香も、包帯姿で笑っていた。
「私、火乃香姉ちゃんみたいな女優になりたいよ。
強くて、綺麗で、でも人間臭くて、泣いててもカッコいいもん」
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■エピローグ:秋田の月夜に
帰り道、凛奈は千秋公園のベンチで、月を見上げていた。
隣にいた信恵が言う。
「ねぇ、凛奈。私たち姉妹も、こんなふうに……ぶつかって、支え合ってるのかな」
「うん、姉妹って不思議だよね。喧嘩もするけどさ、でもキムチより濃い味がする」
「味って言うな」
2人は笑った。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
今回の物語は、秋田美人と呼ばれる人たちの光と影、
そして「姉妹」の絆やすれ違いを描きました。
もし少しでも「心に残った」「続きが気になる」と思っていただけたなら——
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「凛奈たちの次の旅先はどこ?」と想像しながら、続きをお待ちください。
これからも、まだまだ彼女たちの物語は続いていきます