第17話:北の雪夜、すすきのに消えた俳優 〜 鏡の謎と雪の誘惑 〜
ここからは日本編スタートです。
釜山から舞台を移し、雪の北海道で新たな謎が凛奈を待ち受けます。
沢山の評価やいいね、コメントを期待しています!
次にどんな事件が待っているのか——
皆さまも想像しながら、どうぞお楽しみください。
■Scene 1:凛奈、CM撮影で北海道へ
2027年初春、釜山は少し暖かくなりはじめた頃。
凛奈は女優としての新しい仕事で、雪の北海道・札幌へと向かっていた。
「まさかキムチ鍋のCMで本場の“ジンギスカン”食べに行くことになるとはね」
事務所のマネージャー・ヒョヌのため息をよそに、凛奈は満面の笑みを浮かべていた。
撮影地はすすきの近くの古民家風スタジオ。
共演者には、若手俳優・如月蒼真がいた。
「よろしくお願いします。凛奈さんって、本当に高校生なんですか?」
「実は探偵もやってるよ? キムチ食べると時空超えるんだ」
「冗談キツいですね……」
そんな軽いやりとりの翌朝、彼は忽然と姿を消した。
■Scene 2:雪のホテル、消えた足跡
蒼真の宿泊していたホテルには、チェックアウトの記録がない。
ルームキーはそのまま、部屋も無施錠で、財布とスマートフォンだけがベッドの上にあった。
凛奈が部屋を検分すると、窓の外にだけ、奇妙な足跡があった。
「……窓から“出てる”。しかも、雪を踏みしめた割に重さを感じない足跡」
さらに浴室の棚には、「五稜郭」と書かれた観光パンフレット。
だが彼がそんな場所に行く予定はなかったはず――
凛奈は、ある違和感に気づく。
「これ、“彼が持ってたパンフ”じゃない。“彼の部屋に置かれたもの”」
■Scene 3:五稜郭、消えた鏡の謎
蒼真の最後の目撃情報を追い、凛奈は函館・五稜郭へ向かう。
雪が舞う夕暮れの中、彼女は奇妙な屋敷を発見する。
「鏡……全部、裏返されてる?」
屋敷の中は“撮影セットのように不自然”だった。
そこに、如月蒼真の携帯が置かれていた。
メモアプリに残された最後の文章。
「あの夜、鏡に映った“自分じゃない自分”が、僕に言った。
“僕が君を守るから、君は消えてくれ”」
■Scene 4:雪中キムチと記憶の歪み
凛奈は手元のキムチ壺を開ける。
今回は特別に、祖母が“北の雪に備えて漬けた”冬限定キムチ。
口にした瞬間――
凛奈の意識は、**“蒼真の記憶の中”**へとダイブした。
――すすきののホテルの夜。
彼は鏡の中で自分と同じ顔の“男”と話していた。
「君は偽物だ。君の人生は作られたものなんだよ、蒼真」
「僕は……消えるの? 本当の自分じゃないから?」
「ああ。でも、キムチを使えば、“本物の記憶”にアクセスできる」
――そこで映った映像。
蒼真の出生記録には、GLORY JAPANの記号が……。
「……彼は、GLORYによって“記憶を書き換えられた存在”だった」
■Scene 5:凛奈、真実へと踏み出す
五稜郭にある地下施設――そこには、GLORYが過去に研究拠点として使っていた廃屋があった。
その奥で、凛奈は彼を見つける。
如月蒼真は、鏡の部屋で震えていた。
「僕、怖くて……“僕じゃない自分”が全部を壊そうとしてる……!」
凛奈はそっと彼にキムチを差し出す。
「蒼真、食べて。“君が本当はどんな人だったのか”を、君が知ってあげて」
キムチを口にした彼は泣いた。
「僕は……僕でいいんだ……!」
■エピローグ:すすきのにて
事件後、彼は芸能活動をしばらく休養。
だが、それでも笑って凛奈に言った。
「また、役者としてやっていくよ。“誰かにならずに、自分として”」
すすきのの夜。
凛奈はジンギスカンをほおばりながら、つぶやいた。
「やっぱ、北のキムチは効くなあ……」
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次作の舞台は、秋田。
静かな街に隠れた“姉妹の物語”と、“美しさ”に縛られた心の事件でした。
火乃香・暁美・桜香の三姉妹。
彼女たちの涙と笑顔は、東北の月夜のように静かで、でも確かに温かかった話です。