第173話:駒音の向こうに
■Prologue:前夜の電話、知恵からのSOS
釜山の夜、凛奈はひと口のキムチを食べた後、スマホに届いた1件の着信を見つめていた。
【知恵】
GRT48の元アイドルであり、
今はプロ雀士として活躍する、凛音の親戚であり“姉”のような存在。
電話越しに、珍しく焦った声が響いた。
知恵:「お願い凛奈ちゃん……助けて。
高校の時からの友達、菊地真帆が、天童で行方不明になったの」
凛奈:「……分かりました。すぐ行く」
■Scene1:天童駅、将棋の駒と騎士の街
山形県・天童駅。
将棋の駒を模したベンチやオブジェが迎える街に、凛奈は降り立つ。
出迎えた知恵の表情は険しい。
知恵:「彼女は天童出身の女流棋士でね。
将棋と麻雀って、盤面は違えど“読み合い”の競技。
高校時代、よく一緒に勉強してた。私にとって大事な戦友」
凛奈:「家族や知人は?」
知恵:「……皆、心当たりがないの。でも、彼女の部屋に残された香りが変だったの」
■Scene2:女流棋士の部屋、香りの違和感
凛奈が案内された真帆の部屋には、整然とした将棋盤と駒、そして小瓶が置かれていた。
その中身は、干し柿とりんごを使った甘酸っぱいキムチ。
凛奈はそっと香りを嗅ぎ、表情を変える。
「これは、“記憶に閉じこもるための香り”。
でも、拒絶じゃない。“戻りたい”という気配もある」
知恵:「え?」
凛奈:「……彼女は“誰かと話す勇気”が出なかっただけ。きっと、近くにいる。」
■Scene3:将棋会館と“失われた対局”
凛奈は天童市内の将棋資料館と女流棋士たちの集う会館を訪問。
館内には真帆が最後に指したという“香り駒”が残っていた。
それは、柚子と山椒の香りが仕込まれた特殊な駒。
凛奈:「この香り、“最後の意思表示”……つまり、彼女が『まだ逃げたくない』っていう証」
■Scene4:天童温泉、キムチの真意
宿に戻った凛奈は、自分のキムチ壺を開け、再び“干し柿入りの香り”を取り出す。
(この香りの“奥”にあるもの……“母の記憶”だ)
凛奈は香りの層を分解しながら、確信する。
「真帆さんは、“守ってくれた人”にもう一度会いたいだけ。
でもその勇気が、香りになって部屋に残ってたのね」
■Scene5:記憶の奥にいた彼女
凛奈は思い立ち、市内の将棋教室の旧校舎を訪れる。
裏庭の東屋に、真帆の将棋ノートとキムチの壺が。
中には一筆の手紙。
《勝ち負けじゃない。誰かに気持ちを伝えたくて、この駒を動かしてた。香りなら……きっと、伝わると思ったの》
凛奈はそっとノートを閉じ、手帳に一言記す。
『香りは、棋士の心を記録する。対局が終わっても、心は消えない』
■Scene6:別れ、そして再会の約束
天童駅。
知恵:「ありがとう、凛奈。彼女、山寺で療養してるって。無事だって聞けて、ホッとした」
凛奈:「うん。またきっと戻ってくるよ。あの香りは、“まだ終わってない”って言ってたから」
知恵は笑みを浮かべ、手を振った。
凛奈は空を見上げ、静かにキムチの壺の蓋を閉じた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——
ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!
その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。
読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。
「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ見逃さないようブックマークを!
皆さまの応援がある限り、キムチ探偵の物語は、まだまだ続いていきます。
感想・レビューも大歓迎です!一言でも励みになります
それでは、また次の事件でお会いしましょう!




