第12話:韓国女優、凍えるバラの死の真相
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今回はソウル・真冬の密室事件。
韓国の人気女優が遺した、たった一輪の“青いバラ”――
そこには、凍えるような孤独と、燃えるような嫉妬が隠されていました。
・密室で凍死した女優
・冷却装置による密室トリック
・演技と誇り、夢を巡る若き女優たちの衝突
・冬のソウルで交錯する、愛と憎しみの記憶
探偵・朴凛奈が、
キムチの香りと共に“過去の真実”へと飛び込みます。
今回は少しシリアスで静かな物語。
けれど、その静けさの中に、
一輪だけ咲いた“奇跡”の花を見つけていただけたら嬉しいです。
それでは、どうぞ――
真冬のソウルへ。
■Scene 1:死は、真冬の花のように
ソウル市内・高級撮影スタジオの控室にて――
韓国の人気女優**ク・ジヨン(27歳)**が遺体で発見された。
ドアは施錠、窓は密閉、監視カメラにも“誰も出入りした記録はない”。
ジヨンの手には、凍えるように冷えた青いバラが握られていた。
警察の発表は「急性低体温症による死亡」。
しかし、死亡当日の天候は快晴で、室内の気温も12度前後。
メディアには圧力がかかり、真相は伏せられたままだった。
■Scene 2:事務所に舞い込む涙と怒り
釜山・凛奈の探偵事務所。
ミンジュと凛奈が朝食のキムチを挟んで談笑していると、インターホンが鳴る。
訪ねてきたのは――
「すみません……ク・ジヨンさんの事件について……あなたが調べてるって聞いて……」
涙ぐむ女性。
彼女はク・ジヨンの熱心なファンで、俳優志望だった過去を持っていた。
「ジヨンさんは、憧れでした……でも、あんな死に方、納得できません……!
どうか、お願いします。彼女の“最後の演技”を無駄にしないで……」
そこへ、もうひとり姿を見せた人物が。
「……あんたも動く気だったでしょ? 凛奈」
姉の**信恵**だった。
「え、なんで……?」
「……私、高校時代の演劇部でジヨンと一緒だったの。
あの子、誰よりも努力して、誰よりも誇り高かった……。
あたしの“女優としての魂”は、彼女からもらったんだよ」
凛奈は真顔で頷いた。
「……了解。これは“探偵”じゃなく、“ファン”としても動くべき事件だね」
■Scene 3:凛奈、現場へ
凛奈は梅入り甘口キムチを持って、撮影スタジオへ乗り込んだ。
現場検証の末、凛奈はこう推理する。
「……この部屋だけ冷気の残り方が異常。
防音パネルに“断熱材”じゃなく“冷却材”が使われてる」
ミンジュが記録を確認する。
「改装は3週間前。追加されたのは“冷却装置の遠隔操作機能”」
「ジヨンは、閉じ込められた密室でゆっくりと凍えた。
“冷気”が殺した密室トリック。……でも、その“冷たさ”の裏にあるのは、人の熱――“嫉妬”」
■Scene 4:過去の記憶へジャンプ
凛奈はジヨンが最後に食べていたキムチを口にし、視界が赤く染まる。
過去へ遡った凛奈が見たのは、若手女優**チャン・ユナ(24歳)**とジヨンの激しい口論だった。
「あなた、また冷房装置をいじったわね!?」
「私のほうが、今の時代に合ってる。
あんたの“重たさ”は、もう流行らないのよ」
「人を演じるってのは、流行じゃない……命を削ることなの!」
凛奈は“その言葉”を忘れなかった。
■Scene 5:真相と対峙
現代に戻った凛奈は、冷却装置の遠隔ログと映像の復元データを突きつける。
「午前4時、ユナのスマホが装置に接続されてた。
あと、これが証拠。あんたが一度も振り返らなかった“ジヨンの遺言”」
凛奈は最期の録画映像を再生した。
「あなた、演技だけは完璧だったわ。
でも、“人間のまま憎しみを抱ける”ほうが、よほど強いのよ」
ユナは、声を出さずに泣いていた。
■Scene 6:バラと奇跡
事件後、凛奈は信恵とファンの女性を伴い、ジヨンの控室へ。
青いバラを見つめながら凛奈は呟いた。
「これ、冷凍保存されてた。でも花言葉は“奇跡”。
……彼女、わかってたのかも。死ぬことも、誰かが真実を暴くことも」
信恵は涙を拭きながら言った。
「奇跡……か。凛奈。あんたが動いてくれて、本当にありがとう」
ファンの女性が、そっと小さな花束を添える。
「ジヨンさん……あなたがくれた勇気は、ここにいます」
青いバラの香りが、冬の終わりの風に乗って舞った。
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