表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/107

第11話:韓国俳優、消えた主演男優の謎を追え!


■Scene 1:消えたトップスター


釜山・広域撮影スタジオ。

その日、韓国の国民的俳優“ハ・ミンジェ”主演の新作映画『境界線の上で』のクライマックス撮影が行われる予定だった。


だが、予定時刻になっても、主演俳優が現れなかった。


「え? さっきまで控室にいたって……どういうことですか!?」


監督もマネージャーも、顔面蒼白。

控室にはミンジェの携帯電話、財布、そして“最後の台本”だけが残されていた。


その台本には、手書きの一文が添えられていた。


「これは“未来の自分”へのメッセージだ。僕がどこにいるのか、台詞を読めばわかる」


「これは……暗号か、狂言か、それとも……演出?」


撮影現場にいた助監督が、凛奈の名を出した。


「“パク凛奈”って女子高生探偵がいるらしい。あいつなら……もしかしたら」



■Scene 2:探偵事務所に舞い込む依頼


凛奈は、胡麻キムチスープを食べながらミンジュに言った。


「俳優の失踪? それ、プロモーションかドタキャンじゃないの?」


「でもさ、ほら、これ見て!」


助監督から届いた“台本”の写真データには、こんなセリフが載っていた。


「僕は存在しない。

僕が生きるのは、“物語の外側”だ。

君がキムチを食べたとき、その世界に僕がいる」


「……え、台本、私のこと言ってる?」


「完全に“キムチ探偵の読者に向けたセリフ”みたいじゃない?」


凛奈は身を乗り出した。


「これは……ただの失踪じゃない。現実とフィクションの境界が混じってる」


「つまり?」


「これは、“作品の中に俳優が飲み込まれた”事件」



■Scene 3:台本の中へ――キムチで世界を読む


凛奈は台本に挟まれていた“乾燥キムチ”の匂いをかぐと、確信した。


「……このキムチ、ただの小道具プロップじゃない。記憶を運ぶ媒体だ」


彼女は特製キムチを一口かじり、読み始める。


すると、視界が歪み、文章の中へ“沈み込む”ようにして跳躍する。


着いた先は、映画『境界線の上で』の世界。

曇天の空、灰色の街、すべてがフィルム越しのような空間。


そこで凛奈は、“ハ・ミンジェ”本人と対面する。


「君が、パク・凛奈?」


「うん。でも、どうして“映画の中”に入ったの?」


ミンジェは笑った。


「僕は、もうずっと“本物の自分”がどこにいるのかわからなくなってた。

台本通りに演じ続けて、気がついたら“物語の住人”になってた」


「でも、現実には帰れるよ。あなたは“人間”なんだから」


「……わからない。そもそも俺の人生は、誰かの“脚本”だったのかもしれない」



■Scene 4:シナリオの罠と“監督の闇”


現実世界では、凛奈の身体が昏倒し、ミンジュたちが焦っていた。


その間、凛奈は“物語世界”でミンジェの記憶に触れていた。


彼は、若手時代に台本をすべてAIに書かせていた監督と契約していた。


そのAIは、俳優の性格や癖、話し方までも“完全にデータ化”して再現するシナリオ生成装置。


「演じる必要なんてない。“お前”のキャラは、すでに完成されているんだから」


「……俺は、あの時から“自由”じゃなかった」


凛奈は言った。


「だから……逃げたんだね。物語の中に」


「でも……君が来たことで、“世界が変わった”。

君は、自分で台詞を書いて生きてるから」



■Scene 5:選ぶのは、“生身の声”


凛奈は手を伸ばし、ミンジェの手を取る。


「帰ろう。あたしたち、“書かれてない未来”を生きようよ」


その瞬間、世界が赤く染まり、キムチの香りがふたたび舞う。


凛奈とミンジェの意識は、現実へ戻っていった。



エピローグ:スクリーンに戻った男と、凛奈の呟き


数日後、ハ・ミンジェは復帰会見を開いた。


「あの日、僕は“自分の言葉”で生きることを思い出しました。

台本にはなかった道へ――ありがとう、“探偵”さん」


その映像をテレビで観ながら、凛奈はボソッとつぶやいた。


「やっぱりさ、“ピリ辛”だけど、“本音”が一番だよね」


ミンジュが笑う。


「キムチ食べるたびに世界救ってる女子高生、あんたぐらいよ」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ