第134話:星と小さな探偵 ― 野辺山宇宙電波観測所
次なる舞台は、星が最も近くに見える場所――
野辺山宇宙電波観測所。
軽井沢での事件を終えたその足で、
私は“ある人”の推薦で、観測所を訪れることになった。
その“ある人”とは、なんと――
国民的アニメで知られる名探偵の声を務める、高山みなみさん。
彼女との出会いが、
新たな事件の扉を静かに開こうとしていた。
舞台は宇宙、謎は地上。
キムチが導く“未来の記憶”が、再び真実を暴き出す。
■Scene1:凛音からの推薦、天文台へ
軽井沢での事件を終えた翌朝。
私は凛音からのメッセージを見て、JR小海線に揺られながら次なる目的地へ向かっていた。
「今、日本で話題の小学生探偵映画。
そのロケ地が“野辺山宇宙電波観測所”らしいよ」
天文台に着くと、澄んだ空気と巨大なパラボラアンテナが迎えてくれた。
施設内にはロケに使われた資料展示や、全国からのファンが集まっていた。
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■Scene2:あの“決め台詞”と、まさかの人物
「小さくなっても、頭脳は大人!」
「真実はいつもひとつ!」
天文台のシアター室で流れていた映画の映像。
観客の子どもたちが一斉にそのセリフを叫んだ。私は、懐かしさに頬が緩んだ。
そのとき、案内係のスタッフから紹介された来訪者に目を疑った。
「えっ……!? あの……」
そこにいたのは、高山みなみさん本人だった。
あの“声”で、優しく私に挨拶してくれる。
「朴さんですね? 私、この作品の特別企画で来ていて。
女優さんでもあり探偵でもあるって、すごいですね」
私は恥ずかしさを押し殺しながら、笑って一礼した。
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■Scene3:長野の“小さな探偵団”
展示館の一角で、子どもたちの声が聞こえた。
「なあ、こっちの電波塔の裏、なんか変じゃない?」
「おい、○○(仮名)! 勝手に入るなって!」
彼らは長野のとある小学校で結成された「子ども探偵クラブ」。
地元では密かに知られた有名な小学生探偵団だった。
私はそっと近づいて声をかける。
「ちょっとだけ、君たちにお願いがあるんだけど――
この辺で不審な人や落ちてた物、何か気づいたことある?」
「え?あんた……キムチ探偵の凛奈さん!?」
彼らは大興奮しながらも、真剣な顔で頷いた。
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■Scene4:事件の兆しと協力のカケラ
彼らの証言から見えてきたのは、
・昨夜、観測所の裏手で誰かが深夜に物を掘っていた
・落ちていた破れた手袋と焦げた紙切れ
・防犯カメラが一部、何者かによって切断されていた跡
小学生たちは純粋に「映画ごっこ」だと思っているようだったが、
実はこの裏には、盗まれた機密観測データに関する国家レベルの問題が潜んでいた。
(けれど、君たちにはまだ知らせられない。危険すぎるから)
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■Scene5:キムチで“星の裏側”を見る
現場近くに落ちていた使いかけのキムチパック。
これが関係者のものだと確信した私は、そっとひとくち食べた。
流れ込んでくる記憶の断片。
・夜、職員の1人が別の人物と激しく言い争っていた
・「この観測データは売れば1億になる」
・「やめろ、これは未来の宇宙研究の礎だ!」
そして争いの末、片方が意識を失う――
相手はその場に隠された機器を持って逃げた。
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■Scene6:真実はいつもひとつ、そして未来へ
犯人は職員の1人と判明。キムチの記憶と証拠を元に、野辺山署が逮捕に踏み切った。
事件は外部に一切公表されることなく、静かに幕を閉じた。
私は小学生探偵団の子たちにだけ、こう言った。
「おかげで、すごく助かった。ありがとう。
“真実はいつもひとつ”って、君たちが教えてくれたよ」
その夜、ホテルの部屋の窓から星を見上げながら――
私は思った。
(誰かのヒーローじゃなくていい。
誰かの“希望”になれれば、それでいい)
「真実はいつもひとつ」
その言葉が、ただの台詞ではなく、
誰かの心に“希望”として残ることを願って。
盗まれた観測データ、切断された防犯カメラ、
焦げた紙、破れた手袋、そして――落ちていたキムチ。
小さな手が集めた小さな証言が、
大きな陰謀の核心を照らしたとき、
星よりも眩しい“未来”がそこにあった。
探偵に年齢も肩書きも関係ない。
子どもたちも、そして私も――
同じ空の下、真実を追い続けている。
さあ、次はどの“キムチ”が未来を語るのだろうか。
またひとつ、物語が紡がれていく。
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