『愛媛から、韓国へ――母と娘と“再会の旅”』 ■後編『空港での別れと、繋がる約束』
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
今回は『キムチ探偵』釜山・ソウル編として、事件ではなく「再会」「絆」「家族」をテーマに描きました。
涙あり、笑いあり、そして韓国の美味も満載でお届けしましたが、いかがでしたか?
信恵や泰亨といった新たなキャラクターも登場し、“朴家の全貌”が明かされる特別な章でもありました。
■Scene1:仁川空港にて
出発の日の朝、私は両親――梵夜と洋佑と共に、仁川国際空港のロビーで待っていた。
向かいに立つのは、私が“探偵”として出会い、今は“家族”のような存在となった3組の親子。
結城綾香と娘・紗菜。
倉科美智子と娘・ひより。
村上志津香と娘・舞衣。
「今日は誰が来るの?」
と、ひよりがワクワクした様子で尋ねた。
「うん。うちの“フルメンバー”を紹介するよ。姉と、兄」
すると、少し遅れて姿を現した2人の男女に、母たちと娘たちが一斉に息を呑んだ。
「あれ……まさか、韓国の大人気女優“ 朴信恵 ”!?」
「しかも……後ろの人、テヒョンって、K-POPアイドルの“ ○○○○○ ”のセンターじゃない!?」
舞衣と紗菜が同時に叫ぶ。
「……マジで、本物!? ガチの芸能一家!?」
ひよりがスマホを落としかけた。
■Scene2:凛奈の“家族”を紹介
「皆さん、私の家族です」
私は少し照れながら言った。
「姉の信恵は、韓国で活動している女優。ドラマも映画も……主演ばかり」
「兄の泰亨は、いまK-POPグループ“ ○○○○○ ”でメインボーカルをやってるの」
信恵はエレガントに微笑み、
「妹がいつもお世話になってます」
と上品に頭を下げた。
泰亨もアイドルスマイルで…
「今日はプライベートなのでSNSはナシでお願いします」と笑う。
舞衣がぽつりと呟く。
「凛奈ちゃんって……すごい家に生まれてたんだなあ」
「でも、どこか“普通のお姉ちゃん”にも見えるのが不思議ね」
と、志津香さんが頷いた。
■Scene3:搭乗ゲート前での贈り物
出発が近づくころ、私は3つの封筒と、特製の小瓶キムチを紙袋から取り出した。
「これ、お土産。キムチは“ただの味”として。能力の話は……また、いつか」
それぞれの封筒には、昨日と別にまた**「44,000,000ウォン(日本円で500万円)」**と手書きされた礼状と共に、小さな手紙が入っている。
“次に会う日までの空白を、笑顔で埋められますように。”
紗菜が唇を噛みしめながら目を潤ませ、舞衣がそっと背中をさすった。
「泣かせに来てるでしょ……ずるい」
と、ひよりが苦笑した。
■Scene4:母たちからの言葉
「凛奈ちゃん。娘たちがあなたに出会って、変わったのよ。強く、まっすぐに」
と志津香さん。
「事件の中で流した涙は、いま彼女たちの芯になってる」
と、美智子さん。
「あなたのそばで、また笑えるようになって……それが、私たちの財産」
と綾香さんが涙ぐみ、私は思わずその肩に寄り添った。
「ありがとう。……私も、もらってばかりだったよ」
⸻
■Scene5:約束の指切り
「次はあなたが日本に来る番ね。今治で、また再会しよう」
母たちが言うと、娘たちが小指を差し出した。
「指切りげんまん、嘘ついたら……」
「キムチ千回食べさせる!」
「ご褒美でしかない〜!」
ロビーに笑い声が響いた。
■Scene6:家族の後ろ姿、そして次へ
飛行機が空へと舞い上がっていく。
「……ねえ、お父さん。探偵の感覚、少しずつだけど戻ってきてる気がする」
「じゃあ、お前がまた“キムチを食べたい”と思った時が……本当の意味での再出発なんだろうな」
――その時、スマホに撮影現場からの着信。
私は笑って言った。
「さて、今は“女優”に戻る時間だね。いまの私にとっての“事件”は、きっとそれだから」
バッグの中のキムチ瓶をそっと撫でながら、私はゆっくりと歩き出した。
⸻
この物語は――
事件のない、優しい再会の記憶。
だけど、心の奥に灯った“探偵の種火”は、きっとまた誰かのために燃え上がる。
キムチの味が、再び“真実”を照らすその日まで――。
この章が少しでも心に残ったら――
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次の舞台は、まだ未定ですが――
きっとまた、あの“味”とともに、誰かの過去と未来を繋ぎにいきます。
またお会いしましょう。
“キムチの記憶”が導くその場所で――。
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