特別編 『眠る探偵と、目覚めの夜 ― 凛音と凛奈、テレビ共演』
ご覧いただきありがとうございます。
今回は、朴凛奈とその親戚・安川凛音の、
ちょっとだけのんびりしたテレビ出演エピソードです。
探偵業でもなく、女優業でもなく、
“キムチ探偵”としてバラエティ番組に出演するふたり。
事件も推理もなく、
ただ笑い合い、支え合う時間。
でも、だからこそ大切な絆や、
“いざという時に助け合える”信頼が描けたらと思いました。
どうか、事件のない夜に交わされる
小さな約束と温かな時間をお楽しみください。
■Scene1:韓国・ソウルの夜に、ふたたび
午後7時。
韓国・ソウル市内にあるテレビ局の楽屋。
私は、化粧を終えた凛音ちゃんと並んで座っていた。
「まさかまた一緒にテレビ出るなんてね」
「うん、なんか久しぶりって感じしない。凛奈ちゃんの事務所に遊びに行ったばかりだからかな」
親戚であり、友人であり、時には“後輩(助手)探偵”である凛音。
安川凛音(23歳)は、日本と韓国の両国で活躍するGRT48のメンバーだ。
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■Scene2:“眠る探偵”の異名
今回の番組は、韓国のバラエティ情報番組『世界の特異な探偵たち』特集回。
そこで「眠る探偵」「キムチ探偵」として凛音と私が呼ばれたのだ。
番組の収録直前、私は凛音にそっと耳打ちする。
「ねえ、ひとつだけお願い。
……キムチを食べた後、私が眠っちゃうことは言わないで」
「うん、わかってる。あくまで“直感が冴える”っていう設定でしょ?」
「そう。それが“眠ってた”なんてバレたら、みんな驚くだけじゃ済まないもん」
凛音はくすっと笑って、目を細めた。
「じゃあ今日は、眠らせないように“私が横にいる”って紹介するね。
“目覚めて支える助手”として!」
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■Scene3:番組スタート! キムチと探偵の謎
スタジオにライトが灯る。
韓国の司会者が紹介する。
「本日は、韓国で活動中の高校生探偵で女優、朴凛奈さん!
そして、日本から来た人気アイドルで、実は“探偵助手”としても有名な安川凛音さん!」
「よろしくお願いします!」
キムチを使った推理力、海外での事件の数々が紹介されると、
司会者が興味深そうに尋ねた。
「朴さんは、キムチを食べると“直感が冴える”と噂ですが、
実際はどんな感覚なんですか?」
私は軽く微笑んで、やんわりとかわす。
「うーん……食べると、世界がちょっと“スロー再生”になるような感じです」
凛音がすかさず補足する。
「私は横で見てるんですが、
彼女がキムチ食べると“別のスイッチ”が入ったみたいになるんです。
で、私がそばで起こす係なんです!」
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■Scene4:CM中のふたり
CMが入ると、スタジオの照明が落ちた。
「ナイスフォロー。ほんとにありがとう」
「いいの、凛奈ちゃんの“眠る姿”見慣れてるし。可愛いし」
「ちょっと、それはオフレコで……!」
凛音はまるで、妹のように私の肩を叩く。
事件がない夜って、こんなにも笑顔が溢れるんだな――そう思った。
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■Scene5:収録終了、帰り道の会話
番組が無事終了。
テレビ局を出た私たちは、街の灯りの中を歩く。
「ねえ、凛音。
もし私がキムチ食べて、戻れない時間に行っちゃったら、どうする?」
「探すよ。何があっても。
だって、私は“探偵の助手”で、そして“凛奈ちゃんの親戚”だもん」
その言葉に、私は思わず立ち止まって、微笑んだ。
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■Scene6:眠る夜、目覚めの約束
帰宅した私は、今日のことを父・洋佑に報告していた。
テレビには再放送のエンディングが流れている。
「凛音ちゃん、すっかり“こっち側”の人間になってきたな」
「うん。でもあの子は、私よりもずっと“冷静な探偵”になると思うよ」
私はキムチ瓶を手に取り、ふたを開けた。
でも今日は――
「……やっぱり、今夜は食べないでおこう。
眠るより、もう少し話していたい気分だから」
テレビに映る自分たちの笑顔を眺めながら、私はそっとキムチを冷蔵庫に戻した。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は久しぶりに「事件ゼロ」のお話でした。
バラエティ番組の収録、親戚で助手の凛音とのやりとり、
そして眠る探偵と、支える助手――
穏やかだけど、どこか絆を感じる一日を描きました。
でも、キムチの瓶は、今日もそばにある。
眠る力も、過去を見る力も、今日は使わなくても、
きっとまた、必要な時が来る――そんな未来も感じさせつつ。
次回はまた、新たな事件、新たなステージが待っているでしょう。
どんな時も、支えてくれる仲間がいる限り、凛奈は前を向いて進んでいきます。
また次の物語で、お会いしましょう。




