第9話:裏切り者は誰だ?事務所を揺るがす内部抗争
■Scene 1:仲間の中に、スパイがいる
探偵事務所の会議室。
凛奈、ミンジュ、テヒョン、そして事務所スタッフの女優・俳優たちが、重苦しい空気の中にいた。
「……これまでにGLORYに漏れた情報は、内部の誰かが流したとしか思えない」
凛奈はスマホを机に置き、静かに言った。
「証拠は揃ってる。事務所のWi-Fiに“共有メモアプリ”経由の転送ログがある。犯人は、ここにいる誰か」
沈黙が落ちる。
やがて、最年少スタッフの男の子――カン・シウ(18歳)が立ち上がった。
「俺……じゃないです。たしかにスマホは一時期紛失したけど、戻ってきた時には――」
「戻ってきたスマホに、“リモートアプリ”が入ってたよ。そこから毎晩、記憶データの一部が転送されてた」
「……!」
凛奈は静かに言った。
「でも、あんたじゃない。操作してたのは、もっと別の誰か」
その瞬間、スタッフのひとり――
副所長兼マネージャーの**ユ・ソヒ(28歳)**が、凛奈に向かって銃を構えた。
■Scene 2:信じていた“姉代わり”の裏切り
「……ごめん、凛奈」
ソヒの瞳には、涙がにじんでいた。
「あなたのこと、本当は……守りたかった。でも、GLORYに……“弟を人質に取られてる”の。断れなかった」
「……ソヒ姉さん」
「“影凛奈”を造る時、私の記憶も使われた。
私があなたに教えた演技、表情、動作……全部、あいつに流された」
凛奈は銃口を見つめながら、一歩だけ前へ出る。
「姉さん……私は怒ってないよ」
「……!」
「あなたが今、自分で涙を流しているなら、もう十分。“あたしの大切な人”に戻ってきてよ」
ソヒの手が震える。
そして――銃が、床に落ちた。
■Scene 3:GLORYの“黒幕”と接触
その夜、凛奈のスマホに再び非通知の着信が届く。
「やあ、キムチ探偵さん。仲間割れは愉快だね」
「……誰だ?」
「GLORYの“理事長”、チョ・ミョンホ。君がここまで来るとは、正直驚いてるよ」
「なぜ“記憶”を売る?なぜ“人間”を商品にする?」
「理由? 君たちの“心”が、簡単に分解できることに気づいたからさ。
喜び、怒り、愛情、記憶。全部、ただの“信号”だよ。
操作できるなら、支配もできる」
「……ふざけんなよ」
「ふざけてないさ。証明してやろう。君の記憶の中から、“大切な人”を1人、消してやる」
通話が切れた瞬間、凛奈の身体が凍りついた。
「……だれ? “誰”が、私の中から消されたの……?」
目を閉じても思い出せない。
誰かが、確かにいたはずなのに――
■Scene 4:喪失、そして再決意
凛奈は、かつてヒョヌから受け取った“未来の記憶保存装置”を起動する。
そこには、こんな映像があった。
【録画映像】
凛奈と並んで歩く青年。
笑っている。キムチを一緒に食べて、手をつないで――
名前は表示されていない。
「……あの人……誰……?」
映像の最後に、未来のヒョヌの声が入っていた。
「君が僕のことを忘れても、君が笑っていれば、それでいい。
君が自分の意志で“正義”を貫いてくれることだけが、僕の救いだった」
凛奈は静かに涙を流した。
「……うん。忘れてなんか、いない。心が覚えてるから」
■Scene 5:反撃の準備――仲間の再結集
ソヒが頭を下げ、事務所に戻ってくる。
「もし……まだ私を、仲間として見てくれるなら……」
「もちろん。うちの探偵事務所に、“一度だけの裏切り”を許さないルールはないから」
凛奈は手を差し出した。ソヒは、強くその手を握り返した。
ミンジュ、テヒョン、カン・シウ、そして他の仲間たちも戻ってきた。
「さあ、いよいよだよ。GLORYを止める最終フェーズへ」
凛奈の目に、再び“火”が灯る。
「“影凛奈”との直接対決。そして……この“歪んだ未来”を、終わらせる」
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