表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

138/185

第119話:消えたバイオリンと無音の夜──横浜・山手“音楽家殺害事件”


■Scene1:山手の丘とひとつの悲鳴


神奈川県・横浜市山手。洋館が立ち並ぶ高台の住宅街。

私は取材ロケで訪れていたが、その夜、急に事件が起きた。


「近くの演奏家が殺されました」


被害者はヴァイオリニスト・三条涼真(34)。

彼の自宅兼音楽サロンで“ホーム演奏会”中に遺体で発見された。

だが奇妙な点があった――

**その夜、演奏会で“音楽が一切聴こえなかった”**というのだ。


「弦が鳴らなかった?」「無音のバイオリン?」

私は、違和感に目を細めた。



■Scene2:最後の演奏と、聴こえない旋律


演奏会に出席していたのは常連客5人。

誰もが「演奏は始まったのに、何も聴こえなかった」と言う。


遺体には外傷も毒物反応もない。だが、右手はバイオリンの弓を握っていた。

バイオリンそのものは、どこにも見当たらない。


――音が消えた夜。

その謎を解くため、私は静かにキムチ瓶を取り出した。

「音も、記憶も、きっと残ってる」



■Scene3:キムチが聴いた“最後の曲”


過去に遡ると、三条は演奏の直前、ある女性と話していた。

ピアニストの神代ひかり(かみしろ・ひかり)。

「あなたは、あの子の命を奪った。償いなさい」


彼女の妹はかつて三条の指導を受けていたが、自殺未遂を起こしていた。

その責任を問いに来たのだった。


三条は返す。

「僕は、音楽を教えただけだ」


直後、何かを飲まされ、ゆっくりと倒れた――

彼の手から、バイオリンが滑り落ちる。



■Scene4:無音は“罪の証”


神代は彼を殺害後、バイオリンを持ち去り、

その音が“響かなかった演奏会”に仕立て上げたのだった。


彼の“最後の音”を聴かせずに、死を迎えさせた。

「あなたには、音楽を名乗る資格なんてなかった」


だが、キムチで視た過去では、三条が亡くなる直前に静かに一節を奏でていた。

“亡くなった教え子が最後に書いた楽譜”だった。

彼もまた、罪を背負っていた。



■Scene5:夜の山手、静かに響いた旋律


私は神代に言った。

「彼は、亡くなった妹さんに謝りたかった。

 でも、それを“音”でしか表せなかった。

 だから……あなたには、その旋律を聴いてほしかった」


私は手帳に残された楽譜をコピーして、神代に手渡す。

泣きながら彼女は鍵盤に手を置いた。

静かに、静かに――音が流れ始めた。



■Scene6:横浜の風と、聞こえなかった音


事件は終わった。だが、真実は“音の外側”にあった。

私は高台の洋館を離れ、港の見える丘公園を歩いた。


手帳にはこう書いた。

『音が消えても、想いは残る。沈黙もまた、証言になる』


鞄の中のキムチ瓶が、少しだけ軽く感じた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ