第108話:パンダと血と白い浜──和歌山連続強盗事件
■Scene1:白浜駅と海の香り
私は和歌山県白浜町にやってきた。アドベンチャーワールドや温泉、白良浜が有名な観光地。
観光番組のロケとして訪れた私は、久々に少し肩の力を抜いていた。
だが、駅での第一声が悲鳴だった。
「カバンが…ない!財布も……」
観光客の女性が震えている。すぐに現場を確認したが、犯人はすでに人混みに紛れていた。
「またか…これって奈良と同じ手口?」
鞄の奥のキムチ瓶が、わずかに揺れた気がした。
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■Scene2:アドベンチャーワールドの事件
翌日、ロケ地のアドベンチャーワールドで再び事件が起きた。
今度はパンダ館の裏で子どもが転倒し、財布を奪った犯人が走り去った。
職員に扮した犯人。監視カメラには一瞬しか映っていない。
「この大胆さ、プロかもしれない」
私は迷わずベンチに座り、鞄からキムチ瓶を取り出す。
「…この力、また使う時が来たのね」
口に含んだ瞬間、時が巻き戻っていった。
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■Scene3:過去の影と制服の罠
過去の数時間前。私は観光客に紛れて犯人の行動を追う。
パンダ館の裏で制服を着替え、スタッフのふりをして現れた男。
誰も怪しまないのを利用して、子ども連れを狙ったのだ。
「…観光地でこんなことするなんて、許せない」
白良浜へ向かう彼の動きを見て、私は先回りする。
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■Scene4:白い浜の対峙
白い砂浜。波の音とともに、私は待っていた。
そこに現れた犯人。私が声をかけると、驚いた顔をする。
「なんで…」
「あなた、奈良の事件と繋がってるでしょ?」
犯人は元・観光バス運転手。コロナ禍で失職し、共犯者と手を組んで犯行を重ねていた。
彼は泣きながらうなだれた。
「復讐のつもりかもしれないけど、子どもを巻き込むのは絶対ダメ」
背後で波が、静かに打ち寄せていた。
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■Scene5:園の再開と心の浄化
警察に引き渡された犯人を見届けたあと、私は再び園内に戻った。
パンダがのんびりと笹を食べている。
「……癒されるなぁ」
あの事件があった場所とは思えないほど、穏やかな空間。
それが観光地の持つ“力”なのかもしれない。
私はメモ帳にひとつ書き足した。
『白浜の浜風は、赦しと怒りの間に吹いていた』
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■Scene6:次は奈良へ
ホテルの部屋でキムチ瓶を再び包む。
「どうやら、次は奈良みたい」
舵村本部長から届いたメッセージには、**「奈良で殺人未遂事件発生」**とあった。
探偵じゃなくても、事件は追ってくる。
私は再び旅に出る。
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