第6話:初恋の味はピリ辛で。高校探偵、恋に揺れる
■Scene 1:2045年のソウル
赤く崩れた看板、ひび割れた歩道、沈黙するスクリーン。
2045年、そこはAIによる統治が崩壊した“終末の芸能都市”ソウルだった。
「……ここが未来……?」
凛奈は冷たい風に吹かれながら、かつて華やかだった放送局の廃墟の中を歩く。
その先で彼女が出会ったのは──
真っ白なコートに黒い帽子、静かな眼差しを持つ少年。
「君……名前は?」
「……イ・ヒョヌ。君は……パク・凛奈?」
「うん。なんで知ってるの?」
「記録で見たから。君のことは、ずっと“データ”で学んできた」
「データ……?」
「僕は、“影凛奈”プロジェクトの設計者のひとりだった」
凛奈の背筋に冷たい汗が走る。
「つまり、あの“ニセモノ”の親玉……?」
「違う。“彼女”を作ったことを……今は、後悔してる」
■Scene 2:壊れた世界と、ただひとつの温もり
イ・ヒョヌは凛奈を旧地下資料館へ連れていく。
そこには、大量の映像アーカイブ、芸能人の記憶記録、キムチ探偵の事件録、そして――
**“彼女の笑顔の映像”**が並んでいた。
「君の“笑顔”が、この時代の人々にとっての“希望”だったんだ」
「……わたしの?」
「誰かを助けて、笑って、“ピリ辛だけど温かい”言葉をくれる君を、みんなが好きだった」
凛奈は無意識に頬を染めた。
初めて、誰かから“心そのもの”を褒められた気がした。
だがその温もりの裏で、ヒョヌの目に宿る“ある決意”があった。
「……凛奈。僕は、君を未来に閉じ込めようとしてる」
「……え?」
■Scene 3:裏切りとキスと、逃走劇
「ごめん。これは、僕の“義務”なんだ。
君がこの未来を見てしまった以上、過去に帰せない。それがGLORY本部の命令だ」
「冗談……だよね?」
「……君がここに残れば、未来は安定する。
でも帰れば、GLORYの技術も、歴史もすべて崩れる」
凛奈は唇を噛む。
だが次の瞬間、ヒョヌは静かに微笑みながら、凛奈の手を握った。
「……それでも、君を帰すよ。僕の意志で」
「えっ?」
「僕は……君に会って、心が変わったんだ。
これが、初めて“人間として恋した”気持ちなんだと思う」
そう言って、ヒョヌは凛奈の額にそっとキスを落とした。
その瞬間、警報が鳴り響く。
「時間がない!こっちへ!」
■Scene 4:キムチジャンプ、未来からの脱出
ヒョヌが用意していたのは、**“禁忌のキムチ”**と呼ばれる、未来で漬けられた1個体限定のキムチ。
「このキムチは、未来から過去へ強制送還できる唯一の手段……君のためだけに作った」
「ヒョヌ……!」
「戻って。“1987年”に。そこで、すべてを止めて」
「……あなたは?」
「僕はここに残るよ。“未来”にけじめをつける」
凛奈は目を潤ませながら、最後にもう一度ヒョヌを抱きしめた。
「あなたのこと、きっと忘れない。……初恋だった」
キムチを食べた瞬間、世界は青から赤へ。
凛奈は過去へ戻る。
■Scene 5:1987年へ再突入!未来を変えるために
時空ジャンプの最中、凛奈の意識は加速する。
“自分とは何か”
“記憶とは何か”
“人を想う気持ちは、未来を超えるのか”
そして次の瞬間──
凛奈は再び、1987年・ソウルの地下スタジオに立っていた。
目の前には、若き日のセジュンの“父”と、すべてを操作していた科学者の姿が。
「ここから始まるんだね……“GLORY”の本当の誕生が」
凛奈の瞳には、迷いのない決意があった。
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