第5話:芸能界潜入!ニセ者凛奈を追え
■Scene 1:私が、2人…?
釜山・中央街の凛奈探偵事務所。
朝から事務所に舞い込んできた一本の電話に、スタッフ・ミンジュが声を上げた。
「えっ、凛奈がテレビ出てたって……?今朝の生放送に?」
「は?してないけど?」
ソファでキムチ納豆トーストをかじっていた凛奈は、寝ぼけた声で答える。だが、SNSには彼女そっくりの人物が、芸能番組で堂々とインタビューを受けている映像がアップされていた。
「これ……確かにあたしじゃん」
「いやいやいや!今日のあんたはずっとここにいたよね!? てかこの喋り方、声まで一緒!」
「……これは、“成りすまし”じゃない。何か……もっと深い“意図”がある」
凛奈はすぐさま、祖母・夏栄に連絡を取った。
■Scene 2:祖母が語る“記憶改変の女優事件”
キムチ市場にいた祖母・夏栄は、電話越しに低く呟いた。
「凛奈……それ、“記憶写し”かもしれへん」
「記憶写し?」
「30年前、わたしが追っていた女優事件。ある新人女優が、“別の女”になりきって生放送に出演したんよ」
「……まさか、今回の“偽・凛奈”も?」
「そうじゃ。しかもその技術、“SONAエンタ”と関係のある秘密ラボが噛んどるかもしれん」
「え……じゃあ、前回のセジュン事件と繋がってる?」
「どころじゃない。あの組織、今も“芸能人の複製”を続けてるんよ」
凛奈は目を細めた。
「じゃあ、この“ニセ凛奈”は……ただのマネじゃなくて、“あたしの過去”をコピーしてできた存在ってこと?」
「可能性は高い。過去を操作されれば、未来も変えられる。……これは、“時空戦争”の始まりじゃ」
■Scene 3:凛奈、芸能界へ潜入!
偽・凛奈が出演していた番組の収録現場は、ソウル郊外の放送局。
凛奈は、かつて共演経験のあるバラエティプロデューサー・ユンPDの協力を得て、局内に潜入する。
楽屋で見たのは──
なんと、「凛奈」の名前が書かれたメイクルーム。
そしてその部屋から出てきたのは、凛奈と寸分違わぬ少女。
表情も、言葉も、視線の流し方までも──自分自身だった。
「……こんにちは。凛奈さん、ですよね?」
「……誰よ、あんた」
「え? 私は凛奈よ。“過去の記憶”と“感情”をインプットされた、最新型AI……」
「AI……?」
「いいえ、“有機型AIクローン”。そして、あなたの“影”として動く存在」
凛奈の背筋に、冷たいものが走る。
「……誰が、こんなことを……」
「“未来のプロジェクト”よ。わたしは“GLORY PROJECT:コードR”」
■Scene 4:ミッションを抱えた影
その“影凛奈”は、凛奈を排除するでも、敵意を持つでもなく、むしろ語った。
「私は、あなたの“代わり”になることが使命。過去と未来、どちらにも行ける“公式の存在”」
「……過去と未来……」
「GLORY ONEは、未来から“タレント育成の完全制御”を実現しようとしている。その一環が“記憶写しによるAI化”」
「つまり、“人間”じゃなくて、“記憶だけの器”を育てる……?」
「ええ。そして──あなたは、**“自由に生きすぎた異物”**なの」
「……は?」
「あなたの存在が、未来のモデルにとって“例外”だから。だから消される」
「なるほど……じゃあ、消される前に、“その未来”を壊してやる」
■Scene 5:時空の境界が、崩れ始める
影凛奈との対話を終え、事務所に戻った凛奈は、冷蔵庫の奥にあった“1977年製キムチ”に目を留めた。
「これ……ばあちゃんが、絶対食べるなって言ってたやつ……」
「凛奈、それ食べたら──」
「知ってる。過去じゃなく、未来に跳ぶんだ」
凛奈はゆっくりとキムチを噛み締める。
すると──視界が逆転し、今度は青い光が彼女を包んだ。
次の瞬間、立っていたのは……
2045年。廃墟となったソウルの放送局。
そこには、AIの残骸、そして冷たく笑う“未来の自分”の姿があった。
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