第4話:誘拐!? 消えたアイドルと兄の秘密
■Scene 1:兄、凛奈の探偵事務所へ
釜山・中央街。朝9時。
凛奈がキムチとトッポギで朝食をとっていると、ドアが勢いよく開いた。
「お、おい凛奈……今、時間あるか?」
「んー?朝キムチ中だけど何?」
現れたのは、兄・泰亨。今をときめく韓国アイドルグループ『NΩN』のメンバーであり、全国民が知る“奇跡のセンター”。
そんな彼が、明らかにいつもと違う真剣な顔で言った。
「……仲間の“ハ・セジュン”が消えた」
「え?」
「リハーサルの30分前、楽屋にいた。でも、衣装も携帯も置いたまま、姿が消えたんだ」
「誘拐?」
「いや、外部の侵入者の記録はない。だから余計に“ヤバい”」
泰亨の目は怯えていた。まるで……“何かを隠している”ようにも見えた。
■Scene 2:不可解な“事務所からの圧力”
凛奈とミンジュが聞き込みを進めていくうちに、事務所『GLORY ONE ENTERTAINMENT』のプロデューサーたちの“過剰な沈静化工作”が浮き彫りになってくる。
• 警察への届け出を遅らせた
• セジュンのSNSを“中の人”が更新して偽装
• 消えたはずの楽屋の映像が削除されていた
「……おかしいよ、これ。これはただの行方不明じゃない。隠されてる」
凛奈はそう呟くと、ふと机の引き出しを開けた。
そこには、祖母・夏栄が30年前に追っていた未解決事件──
『1987年/韓国芸能界連続失踪事件ファイル』
の記録が、封筒にまとめられていた。
■Scene 3:祖母・夏栄の過去と繋がる“ある符号”
「ばあちゃん……この事件、知ってた?」
凛奈は市場のキムチ屋にいた祖母に資料を差し出した。
夏栄は、しばらくそれを見つめたあと、ポツリと語り出す。
「忘れようと思ってた。でも、忘れられるわけない。あれは……わたしが唯一、救えなかった“若者”の事件やから」
「……若者?」
「1987年。ちょうど今のあんたらぐらいの年の芸能練習生たちが、3人、同時に姿を消したんよ。しかも、最後の目撃場所は──GLORY ONEの前身プロダクション」
「!」
「何かある。その会社には、“時間”を飲み込む闇がある」
祖母の目に、ただならぬ怒りと悲しみがにじむ。
■Scene 4:時空キムチ、30年前の“彼”を追え!
凛奈は決意したように、自宅の冷蔵庫から“特製・30年熟成キムチ”を取り出した。
「タイムジャンプ、いきます。目標は1987年、GLORY ONEの前身『SONAエンタ』」
「気をつけて……あの時代は、今より“危険”やから」
キムチを口に入れた瞬間、世界が赤に染まる──
そしてたどり着いた、1987年のソウル。
時代の空気はどこか重く、事務所のビルには今では考えられないような監視と閉鎖感があった。
凛奈は“失踪した青年”たちが連れてこられた地下スタジオの存在を知る。
そこで彼女が見たのは──
薬物投与と洗脳、ブラックマネー、暴力的指導──芸能育成の名を借りた“監禁と選別”のシステム
「……こんなの、芸能じゃない。地獄じゃない!」
凛奈は涙を流しながら、記録をスマホに保存した──
“時空ジャンプ制限時間 残り15秒”
そのとき、誰かが彼女の手を掴んだ。
「助けて……外に出たい……」
それは、ハ・セジュンと瓜二つの青年だった──
(……まさか……セジュンって……あの事件の遺伝子?)
そう思った瞬間、赤い光が凛奈を現代へ引き戻した。
■Scene 5:現在の“誘拐”事件の真相
凛奈はセジュンの“出生”を調べ直す。すると驚くべき事実が──
•セジュンの本名は「ハ・ソンミン」
•実の両親の情報は一切非公開
•GLORY ONE設立前後に“特別扱い”で芸能界入り
凛奈は兄・泰亨に問い詰める。
「ねぇ、お兄ちゃん。セジュンって、本当に現代の人?」
「……!」
「もしかして、1987年に消えた青年の、息子か──本人そのもの?」
泰亨はしばらく黙ったあと、苦しげに言った。
「……俺も最初は信じられなかった。でも、セジュンは“夢の中で”いつも1987年の音楽室に立ってるんだって……自分の記憶じゃないはずの、過去の世界に……」
凛奈は確信した。
「これは、ただの誘拐事件じゃない。過去が今を、奪おうとしてるんだ」
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