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現実を教えてやろう 〜全てのニートに捧げる叙情詩〜

作者: 絢郷水沙

 いつまでも目が覚めてないお前に現実を教えてやろう。

 良いかよく聞け。


 お前が深夜のコンビニに買い物に行ってトラックに轢かれても異世界には転生しない。


 チートやハーレムなんてお前には無縁だ。不細工コミュ障おまけに金欠のお前にだれが寄ってくると思うんだ。


 親が離婚して、再婚相手に娘がいて義理の妹が突然できるなんてこともない。


 ある日目が覚めたら全てが夢で、学生時代に戻っているなんてこともない。


 ネトゲして遊んでいたらいつのまにかそのゲームの世界に入ってしまうこともない。


 いくらレベルを上げようが、いくら経験値を稼ごうが、お前の現実世界のスキルは下がるばかりだ。


 いい加減目を覚ませ。


 デスゲームに巻き込まれればお前は無双などせず、ルール説明時に恐怖を煽るためだけに殺されるモブになる。


 現実を見ろ。いつまでニートやってんだよ。


 お前の同級生だったやつは今こうしてお前がネットを覗いている間も働いているんだ。

 恋人も子供もいる。貯金だってある。


 対してお前はなんだ。何を持っている?

 ただ空費するだけの無意味な時間。

 そのくせ腹が減れば飯を食い、喉が乾けば水も飲む。いったいその飯や水はどこからやってくるんだ?

 まさかお前、無限に湧いて出てくると思ってんのか?


 ソシャゲのキャラ育ててなんになる?

 まずお前自身を育てろよ。


「やればできる?」

 じゃあやれよ。


「いつか本気出す?」

 今すぐ出せ!


「生きてるだけで偉い?」

 違うね。正確にはこうだ。

「自立して生きているだけで偉い」

 だ。

 自立しろよ。一人で生きてみろよ。


 お前がやるべきは地道な一歩を踏み出すことだ。辛いのはわかる。積み上げるのが怖いんだ。理想が高すぎて、そこに届かないくらいなら何もしないほうがマシだと考えてしまう。

 ――だが間違っている。

 努力すれば報われるわけではない。報われない努力だってある。不意に奪われる努力だってある。だけど、努力しなければ積み上がらない。

 偶然や奇跡を信じるな。信じるなら行動しろ。行動しなければ奇跡なんて起こらない。


 クソみたいなプライドを捨てろ。

 なんの役にも立たんぞ。

 一銭の価値もねーぞ。

 そんなもんティッシュにくるんでゴミ箱にポイだ。


 斜に構えて周囲を見下し「社畜乙」とネットでいきがり、他人の作品を批判はすれど、自らは何も作らず。


 いつまでも子供のままで、終わらない同じ毎日を過ごし、「このままでも別に良いし」と強がり、本当は羨ましいと思ってるいるくせに、このままじゃダメだと理解してるくせに何もしない。


 何度でも言おう。

 ある日突然異世界に召喚されたり、転生したりしない。

 ハーレムもなければ、無双もチートも俺TUEEもありえない。


 秘められた力もなければ、血筋でもない。


 腕力は人並み以下。知力もやる気も体力も財力もコミュ力もゴミ屑のごとく。


 そのくせプライドだけは一丁前。


 隣の隣を見ろ。そいつが主人公だ。その隣に脇役だ。そしてお前は顔すらまともに描かれない多量のモブのなかの一人だ。

 わかったか?



「現実なんていつも見てるって?」

 見てこの結果かよ。

 お前は現実を見ていない。目を逸らし、ありもしない未来を見ているんだ。永遠に訪れることのない未来を見ているだけ。現実を見たか? 見て悟ったか? ならやるべきことは一つだろう。


 ――働けえぇぇっっ!!!!


 働け。汗水流して働け。自らの力のみで金を得ろ! そして味わうんだ。働くことの大切さを。自らの血肉がだれによって作られていくのかを。

 そして自己肯定感を高めていけ。

 他人なんて気にするな。戦うべきは己自身。敵はいつだってお前自身だ。過去よりも成長できたならお前の勝ちだ。


 いいか、現実は現実なんだ。変えようもない。変えようのない事実に苛立ったり不安になったってしょうがない。

 もう終わりにしようじゃないか。


 たった一歩でもいい。一日に一歩でも進めば、いずれ遠くまで行ける。踏み出さなければいつまでもその場にいるしかないんだ。


 小さなことから始めよう。ちょっとずつで良い。コツコツと地道に積み上げる。他人なんか気にするな。お前が積み上げたそれは小さいかもしれない。だが、それがなんだと言うんだ。

 さっきも言っただろう。現実は現実なんだ。その差に苛立ったりしたってしょうがない。

 過去の自分よりも前に進めたことを誇ればいい。だれに言われようがなにを言われようが気になんかするな。


 お前は誰かの主人公にはなれないかもしれない。だが、お前はお前自身の主人公だ。

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― 新着の感想 ―
[一言]  身近にそれを言ってくれるひとがいれば、いいのかもしれませんが。  その不在のせいにしてはいけませんね。  働いていても、惰性や、踏み出せないからそこで働いている場合もありますし。
[良い点]  その通りですね。  私はニートではありませんが、大きく頷いてしまいました。  いや、半分ニートなのかも?  とにかく人生、きちんと自立することが大事ですよね。
[良い点] ただただ素晴らしい。感動しました。陳腐な感想で申し訳ないですが、それだけです。
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