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第3-1話 特A科クラス、初めての実戦教育

 

「特A科クラス、チュートリアルダンジョン修了おめでとう。 なかなかのタイムだったぞ」

「ということで、私から”クエスト”を1つお願いしたい」


「えっ……」


 チュートリアルダンジョンをクリアした特A科クラス、通常授業も始まり……どうやってクレアとカイを鍛えていこうかと考えていた僕のもとにイレーネ教官がふらりと現れ、”クエスト”要請書を手渡された。



 ”クエスト”とは、学院の生徒が学外で行う地域貢献活動の事で、小は迷子の探索から、大は帝国軍の作戦支援まで、「学生といえども、栄誉ある士官学院の生徒は世の中に貢献すべし!」と言う学院のモットーに従い、各クラスには一定の”クエスト”をこなすことが求められていた。


「以前説明したとおり、”勲章ポイント”も入るから、よろしく~」


 イレーネ教官はそれだけを告げると、風のように去ってしまった。


 ”勲章ポイント”とは学院内通貨のようなもので、ポイントを使う事により良い装備がもらえたり、学生食堂の新メニュー優先提案権がもらえたりする。


 授業に支障のない範囲で受けることが求められているが……”3人目”の合流がもうすぐの今、生徒ふたりで消化するのも……と僕は考えていたのだが。


 ”依頼元:帝国軍ニールズ分隊 期限:依頼受領後1週間以内”

 クエスト要請書には上記の記載があり……。


 ……これは、すぐに対応するしかなさそうだな。


 さっそく僕は魔導通信端末で2人に連絡、冒険の準備を整えるのだった。



 ***  ***


「”上位魔獣退治”ですか……どんな魔獣なんです?」


 特A科クラスに帝国軍から依頼されたクエスト、それは”上位魔獣の退治”だった。


 魔獣は、帝国の西部に広がる”()()()()()()()()”と呼ばれる領域で発生し、周辺国に移動してくる。


 その中で特に強力な魔獣を”上位魔獣”と呼ぶのだ。


 もちろん、各国や帝国軍も監視と退治を続けているのだが、”魔獣世界ケイオス”は広大であり、たまにこうして捕捉漏れが発生する。


「依頼書によると……”オーガタイプ”だな」


「物理攻撃力が高い魔獣なので、ウチのパーティと相性は良さそうだが……たまに魔法を使ってくる個体もいるらしい」

「ふたりとも気をつけよう」


「りょ~かいですっ! へへっ、”オーガ”との真っ向勝負、腕がなります!」

「カイ君、あたしがかく乱するから、ガードお願いね」


「うっす、クレア!」


「今回は上位魔獣……僕もサポートするから安心して」


 ふたりの士気も高いようで何より……僕たちは暖かい春の日差しの中、魔獣の出没地点であるニールズの街郊外に向かっていた。



「そういえば、セシル教官はカント共和国出身なんですよね、帝国に来ることをご両親は反対しなかったんですか? あと恋人さんとか♪」


 まだ目的地まで距離があるので、世間話をしながら歩く僕たち。


「……ああ、実は僕の両親は冒険者で、10年程前に”魔獣世界ケイオス”に挑んで()()()()()()()()んだよね」


「だから、もうずっと帝国に住むつもりでこっちに来たんだ」

「恋人は……ううう、触れないで」


 ブラックギルド勤務で遊ぶ暇がなく……という事にしておこう、うん。


「あっ……すいませんセシル教官、あたし無神経な事を……」


 触れてはいけない話題に触れたと思ったのか、しゅんとしょげてしまうクレア。


「もう10年以上前の事だから、大丈夫」

「だからそんなに気にしないでいいよ……」


 なでなで……


 ……はっ!?


 しまった!

 いつも妄想してる”イケメンムーブ”を思わずやってしまった!


 教え子を……しかも貴族令嬢の頭をナデナデしてしまうなんて……やべぇ! ヘタしたらセクハラで懲戒免職なんてことも!?


 盛大に焦る僕だが……アレ?


 彼女は顔を真っ赤にしてプルプルしている……く、クレアさん?


 ……とりあえずこの話題に触れるのは怖いので、「そろそろ街道から脇にそれる、周辺警戒を怠らないように!」と、まだまだ目的地は先にもかかわらず……教官風を吹かせてごまかす僕なのだった。



 ***  ***


「そろそろ魔獣の出没地点か……ふたりとも、全周警戒!」


 1時間後、街郊外の丘陵地帯を抜け、渓谷地帯に入った僕たちは、魔獣の出没地点に近づいたので、周囲を警戒しながら歩いていた。


 この辺りは渓谷となっており、死角が多く川のせせらぎにより音も聞こえにくい。

 こういう物理攻撃系の魔獣はあまり得意じゃないんだよなぁ……そう思った瞬間、上位魔獣に特有の、わずかな()()()()()()を感じた。


(おっと、来るな……)


「教官、上っす!!」


 グオオオオオオンンンッ!!


 カイが大声で警告を発し、オーガの雄叫びが頭上から響く。


 さすがに上位魔獣、不意打ちか。


 これも訓練、僕がクレアとカイに対処を指示しようとした瞬間……!



 ヒュン……ヒュンヒュンヒュン!


 20センチくらいの大きさだろうか、三角形で中央部が膨らんだネコ型?をした金属製の物体が3機、()()()()()()()()()()()()()と、オーガに対して、魔力を集中させたビームのようなもので一斉に攻撃を始める。


(この術式は……学院の機密文書で見たぞ……帝国特殊部隊のモノか!)


 他のふたりが対処する間もなく、ネコ型の機体は魔力ビームをオーガに撃ち込み続け……。


 ズズンッ……


 あっさりと上位魔獣であるオーガを黒焦げにしたのだった。


「……どうも、合流遅れました」

「本日からコーウェン魔法士官学院、特A科クラス所属となるルイースティア・セブンスです」


 ふわりと降り立ったのは、学院の制服をきっちりと着込んだ銀髪の少女。


 ……どうやら彼女が、3人目の生徒という事のようだ。


読んで頂きありがとうございます!

3人目のルイースティアちゃんが合流です(挿絵は次話冒頭で!)


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