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第4-1話 特A科クラスの日常

 

「むむっ……このとろけるような口触り……卑怯です」


「ふっふ~ん、どう? アタシのとっておきは?」


 ここは昼下がりのコーウェン魔法士官学院、学生食堂。


「そんな、これでは……いくらでも食べられてしまいます……!」

「くっ、このわたしが感情を制御できないなんてっ」


 特A科クラス1年女子生徒であるクレアとルイは、カロリーという名の強大な敵と対峙していた。



「ふふふ……我がバンフィールド家に伝わる珠玉のスイーツ、”ティラミス”のお味はどうかね、ルイくん!」


「こないだのクエストでゲットした”勲章ポイント”で、学食の新スイーツに取り入れてもらったんだよっ!」


 ココアパウダーでコーティングされた滑らかなクリームを、その小さな口に運ぶスプ―ンの動きが止まらないルイに対して、クレアが勝ち誇る。



「卑怯……卑怯ですクレアさん……これではわたし、ブーデーになってしまいます……!」

「クレアさんのように、考えなしに動き回ってカロリー消費をすることも出来ません……!」


「最初、せっかく獲得した”勲章ポイント”を学食の新メニュー申請に使うと言われた時は、この人頭がトチ狂ったのか、胸ばかりじゃなくてアタマにも栄養を回した方がいいですよと思いましたが……なるほど、これならアリですね」


 ルイは悔しそうに負けを認めると、クレアに対して豪快な毒舌を吐く。

 彼女は、仲良くなった相手には遠慮なく毒舌を吐くなど、なかなかイイ性格をしていた。


「……ル~イ~? 誰の頭が空っぽだってぇ?」


「あう、すいませんすいません……空っぽなのはクレアさんの成績表でした」


「ななっ……こいつめっ! すべすべほっぺを堪能してやる!」


「むぎゅっ」


 特A科クラスに所属するふたりの少女は、すっかり仲良しになったようだ。



「はぁ、それにしてもルイは成績良くていいなあ……こないだの学内模試でもベスト3入りだったでしょ?」

「あたし、戦闘実技や体育以外はからっきしで……」


「ふぅ、ふぅ……クレアさんは一般教養授業で寝すぎです」

「それに、セシルさんの魔導概論……ちゃんと聞かないと強くなれませんよ?」


「魔法と魔導の違い、覚えてますか?」


 ようやくルイをむにむに攻撃から解放したクレアは、自身の学業成績を嘆くが、すぐルイに叱られてしまう。


「うっ……魔力を使って起きる”現象”が魔法で、現象を起こすための”理論”が魔導だっけ?」


「そうです! そもそも”魔導”を理解できれば魔法を使う時も…………何も考えずに拳に魔力を込めているだけでは…………聞いてますかクレアさん?」


「……ひゃいっ!」


「そっ、それにしてもセシル教官の”魔法翻訳”、反則だよね」


 ルイの長説教に居眠りを始めたクレア、ルイのツッコミに思わず話題を逸らす。


「はい、わたしの”オプションビット”も、魔力効率が30%アップ……ありえません。 ”研究所”でも出来なかったのに……」


「……へ? 研究所?」


「禁則事項です」


 クレアの疑問を一刀両断するルイ。


「おそらくセシルさんは、”魔導理論”を感覚的にしかも根本から理解しているようです……”絶対魔導感覚”、伊達じゃないですね」


「わたし、セシルさんのスキルセットにたいへん興味があります」


 ほう、と感心したように紅茶をひとくちすするルイ。


「お、おう……よくわかんないけど、セシル教官は凄いよねっ!」

「なので……ルイっ! ”魔導概論”の勉強教えてっ! 来月試験じゃんっ?」


「セシル教官のクラスなのに、”魔導概論”の単位落としたらシャレにならないよぉ~」


「……ふう、しかたないですね。 1時間当たりティラミス1つで手を打ちましょう」


 泣きついてくるクレアに、やれやれという感じで渋々勉強に付き合うことを約束するルイ。


「やたっ! 愛しているよルイ!」


「やめてください」



「ふたりとも、ここにいたか!」

「今すぐ教室に集まってくれ。 帝国政府から”要請”がきた!」


 クレアとルイがじゃれあってると、ふたりを探していたのか駆け込んでくるセシル。


 突然の事態に、思わず顔を見合わせるふたり。


 特A科クラス初の遠征イベントが始まろうとしていた。


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