雑貨屋のレジ横に置いてる日記のとある1ページ
小さい時の夢はなんだったかな。確か小さい時はケーキ屋さん……だったっけ。お花屋さんに憧れたこともあったな。それに……いや、あれだけは恥ずかしいから書くのはやめておこう。うん。
じゃあ君はって、考える必要もないか。君の夢は正義のヒーロー、だよね。あれから夢は叶ったかな。叶えられたかな。君が小さいときに憧れていた全ての人を救う無敵のヒーローにはなれなかったね。本当はもっと強くなりたかったんだよね。肉体的にも精神的にも。だからそうあろうって鍛えたり努力したり。私には初めて出会った時にもそう見えてた。
でも一緒に居て、本当は違うってこともちょっとずつ知っていった。実は弱いところもいっぱいあって、常に正しくなんていられなくて、完璧なんて程遠くて。だからこそ……好きになった。
正しくあろうって真っ直ぐなところが好き。融通が効かないところはあるけど、それは愛嬌……で済ませていいのかわからないけど。娘に悪い影響もあるし……。
自分の弱さに向き合う強さを持ってるところも好き。あの時は乗り越えるのは大変だったね。みんなに助けてもらったよね。今でも大切な仲間だね。
人のために頑張るところも好き。それが私だけじゃないのは少しだけ……むっとするけど。相手が誰だろうと、届く人には手を伸ばしちゃうんだよね。今でもそれは変わらないね。
幼いときに思い描いたそのままに叶ったわけじゃないけど。私は夢が叶ったよ。卒業文集は子どもたちに見せたくないから奥にしまったけど。いや、君にも見せたくないからね。うん。そういうものなの。
君も幼い時の夢そのままではなかったかもしれないけど、叶ったって思ってくれてたらいいな。私の、私たちのヒーローだからね。ね?パパ。
ちなみに「しょうらいのゆめは、およめさん」です