僕の白雪(うちのシースが一番かわいいシリーズ)
膝の上で眠ってしまった白雪の髪を撫でる。サラサラの髪の毛はいつまでも触っていたくなる。ちょっとくしゃっとやってみる。何だか満たされる気がする。
ねぇ、白雪。君といるとなんだか温かいんだ。体温が高いからなのかな、それとも何か特別な力があるのかな。でも君と一緒にいるのが一番好きだ。
君と出会った時は、君は特別なんだと言われた。僕にとっては、何も特別なんかじゃなかった。他の人も君も変わらない。所詮喋るオーラの塊としか思ってなかったから。
でも、話してみてそれは変わった。いろんな色が勢いよく吹き込んでくるみたいな感覚だった。
僕らは孤独だ。だからこそ僕たちは出会った。これは運命だったんだ。運命で結ばれていた僕たちを引き離すことなんて神様にだって僕はさせない。
それにだって、白雪、君は僕と一緒にいることを選んでくれた。だからこれは運命なんだよ。
白雪はみんなに好かれる素敵な子だ。それはすごく良い点だと思うし、僕もそういうところは大好きなんだけど、最近はちょっと余計なものまで呼び寄せてるよね。
別に心配してるわけじゃないんだよ。けど目を離すとすぐにどこかに行っちゃうから、白雪は僕と一緒にいるのが普通なのに、僕らを遠ざけようとするクラスの奴らとか警察官?のお姉さんとか、学校の先輩とか、ほんと、邪魔だよね。
白雪の頭からゆっくりと足を抜いて横に寝そべる。白雪はいい匂いがする。昔を思い出すような、それか、なんだろう温かい気持ちになれる匂い。僕はこの匂いが好きだから近くにいるとぎゅっとしてしまう。白雪も嬉しそうだから別にいいよね?これは僕の権利だ。
でもこれは僕の権利だから、他の人がしてるとなんかイラっとするんだよ。僕のものに勝手に手をつけないでほしいよね。他の人だって僕が勝手に触ったら嫌でしょ?少しは考えてほしいな。白雪が楽しそうだから、今はまだ我慢してあげる。
くっつきながら頭に手をやるとざらっとした一房の髪がある。僕からみると禍々しい何かのオーラがそこには集まってる。でも、僕はそこに白雪と僕のつながりを感じるんだ。白雪は気づいてないかもしれないけれど、ざらっとした嫌な手触りなのに、そこばかり撫でたくなってしまう。綺麗なものが穢されていくのってなんか惹かれるよね。白雪は何があっても白雪だから、この一房があってもなくても僕は大好きだけど。
気味が悪いと距離を取る連中もいるけど、これは僕にとっては好都合。白雪の良さは僕だけが知ってればいいんだもん。だからやっぱりさきさんとゆうなさんは一番のライバルかもしれない。
白雪の孤独に添うことができるのは、同じ孤独を知る僕だけ。白雪の中に残るのも僕だけでいい。僕だけが君を愛してあげる。君は抱えきれないほどのなにかを抱えなくていいんだ。僕の愛だけ受けとって、そうすれば君は永遠に幸せに生かしてあげる。
白雪の首元、服の襟で隠れるくらいのところにこそっと噛み付いて歯形を残す。ちょっとだけ痛いのか寝返りをうって口が離れてしまった。その場所が僕にはどうなってるかわからないけど、自分の文房具に名前のシールを貼った時のような安心感を覚えて、白雪を抱きついて眠気に身を任せたのだった。