0.5 ~呼び出し~
親友が死んだ。
そんな時、雄大は想像より落ち着いていた。というより、普段より落ち着いているまであったのかもしれない。
雄大は昔からかなりの読書家だった。小学3年の時には父親の影響で本を読み始めていた。それは、かなり幅広かった。歴史小説から、SF小説。推理小説なども読んでいた。極めつけは、語彙を増やしたいからと言う理由で2週間もかけて国語辞典をよみつくしたまである。「はたしてあれは読書好きの範疇なの?」「あそこまでいくと…」と、クラスメートや家族に心配されるほどだった。
そして、そんな雄大には友達があまりいなかった。昔から、人付き合いが苦手な方で。いや、苦手と言うより不可能なんだろう。仲良くしようと話しかけてきた中学生の時のクラス委員長にむかって
「そうやって、僕が友達いないからってはなしかけるのやめてくれないかな?君のかわいそうな子に話しかけてる俺優しいっていう優越感に付き合うほど僕は暇じゃないの。やりたいなら、よそでやってくれないかな。」といったくらいなのだから。
だが、そんな雄大にも友達はいた。親友が。そいつの名前は愛翔。雄大と、似ている部分もあるが、基本意見のすれ違いばっかのような性格だ。愛翔は昔から雄大の保護者みたいだった。委員長の件も、愛翔がいなかったら、もっと大ごとになっていたのかもしない。
雄大は恥ずかしがり屋で、愛翔の優しさを基本的に受け取るが礼を言わなかった。雄大はそれにかなりの後悔。罪悪感に近い何かを感じていた。
そんな4月のある日。雄大の元に一本の電話が入った。愛翔からだった。
「なに?こんな夜遅くに」
時計はとっくの等に0時を回っていて、もうそろそろ丑三つ時くらいだった。
「雄大?あのさ、話があるから。今から宮脇公園に来てくれないかな。」
「え?僕たちがいくつかわかってるよね?高校一年だよ?入学したてで補導なんてされたら新しい高校でさらし者になっちゃうよ?」
「いいから、今すぐ来て。来なかったら、こんどアイス一個だから。」
プツッと、耳に少し痛い音が鳴った後。余韻を感じさせるような残響を5秒ほど聞いていた。
「別に、アイス一個くらいならいいんだけどな...」
ぶつくさ言いながらも、雄大は宮脇公園に向かった。宮脇公園とは、地元の公園でかなりの面積を誇っていて。街灯の数は少なく。暗くて怖いという理由から地元民は基本夜に近寄らなかった。さらには、宮脇公園では様々な言い伝えがある。
「幽霊が出る。」「声が聞こえる」「近くの墓地から、人を呼ぶ声が聞こえて。その声を聞いたものは消える」など。だが、そんなの信じない雄大は準備をすまして自転車をこいだ。
そこには、音楽を聞いて星を見る愛翔がいた。 ~続く~