2 法案削除法案
お姫様と言うのは物語とかに出てくる、いわばヒロイン的存在だと思う。
まあ、あながち間違いではないが実際の所、事務仕事ばかり。
それも、前の私が改革したお馬鹿法案の修正案提出のね。
たとえを出すなら、『私を見かけたら可愛いと言う法案』『トマトは美味しくないから輸入禁止法案』『私の前にお風呂には入ってはいけない法案』
法案もクソもへったくれもねえじゃねえかと満場一致名で思われそうなものばっかり。
「ねえ、ラルはどれが必要だと思う?」
「……えっと……」
「あーいい、言わなくていい、聞いた私がバカだった。こんなもの全部破棄よ」
ラルが口ごもるような法案を作るなんて前の私はただものじゃないわ。バカ者だわ。
ったく、老将院のじじいどもは姫様に甘すぎるんだよ。
と言うのも、簡単に説明すると、私が法案を造り老将院に提出、そこで可決されて初めて法律となるわけだが。
じじいどもはもれなく前姫様にべたぼれ。何を提出しても許可。
その結果法案が直接法律になる事態に。
なんという世紀末国家だ。
つまり、今私は破棄の案を提出するために老将院に行くわけだが心底行きたくない。
いやまて、老将院の解体の案を出せば可決されるかも……
さすがに私もそれには気が引けたので頭の片隅にでも置いておくことにした。
「諸君集まってもらったのは他でもない、わが国の姫様についてだ」
御年213歳のじじいAはこの円卓の中心人物だ。
円卓を囲むように6人が神妙な顔つきで話を聞く。
「数年前の実験でお戻りになられた姫様は、昔の姫様ではないことはわかっているよな。今の姫様はワシらに対して不愛想で、ワシらの事を睨んでくる。このままでいいのか諸君!」
「いいんじゃね」
「別に良くね? 可愛いし」
「いい」
「良いと思いまーす」
「いい」
「いい」
「だよねーワシもそう思ってた。これにて本日の定例会議終わり! 解散!」
「いや、させーねーよ! 仕事しろじじいども!」
私としたことが、思わず突っ込んでしまった。
「おお! 姫様、本日はどのようなご用件で」
「んっ、この紙にサインしといて。私他の仕事あるから」
「ああいや待て待て、お茶でもどうだ? お前の好きなココアがあるぞ。最近話してないからお話がしたいなぁ、チラ」
後ろでじじいどもがうなずてる。
「嫌」
そういって扉を強く閉めて出ていった。
はぁ、ほんとにおじいさんって、なんでみんなこんな性格なんだろう。
イケオジとか一人ぐらいいてもいと思うのに。
ぶつぶつ言いながら部屋に戻るとラルと近衛兵が真面目に神妙な顔つきで話していた。
「どうしたのラル。何かあったの?」
「ああ、お戻りになられましたか。実は今しがた城下町の方で例の爆発が……」
「また?! すぐに行くわよ」
「既に、一小隊と騎士を手配済みです。いつでも出発できる状態です」
「さすがラルだわ。じじい共も見習ってほしいぐらいだわ」
「お褒めにあずかり光栄です」
私たちは城下町へと馬を走らせた。