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迷惑かけるよ家族だもん  作者: 谷藤家
1/1

始まりにして無気力

朝の6時10分、寒さを忘れ上半身裸の男達が2列縦隊になり走る姿を谷藤たにふじ まもるは見ながら走っていた。

朝の5時50分に目が覚める。

「起床のチャイムがなるまで後10分・・・。」

できることなら着替えたい、これからすることが守にはわかっているから。

自衛隊では6時のチャイムとともに作業服に着替える。そして上半身裸の状態で点呼にでる必要がある。

点呼をすませたのち、早朝のランニング。そして軽めの筋肉トレーニングを行う。

「テッテレテ、テッテレテ、テッテレテテッテテー」

トランペットの甲高い音とともに、横になっていた体を瞬時に起こす。

作業服のズボンだけを着て、周りで寝ていた同期達と一緒に階段を駆け下りていく。

「整列!1!2!3!4!5!6!」

それぞれの番号を呼称するとともに勢いよく右を振り向く隊員達。

「5班集合終わり!」

その日の班員リーダーの声が頭に響く。

「よし、5班休め」

「休め!」

班員の人数が集まったのを確認した班長から休めの指示をもらった班員リーダーが号令をかける。

休めの号令をもらった守達は、両腕を後ろに回し腰の位置で手の甲と手のひらを組み、肩幅ほど足を広げ休めの体制にはいる。

全ての班の点呼が終わったところで、各班2列縦隊になる。

「右向けー右!」

100人以上の隊員の短靴たんかの擦れる音が聞こえてくる。

「前へー進め!」

班長による号令により100人以上の隊員が歩き出す。足を揃え、列を乱さないように。

「駆け足用意ー」

号令とともに隊員達は腰の高さまで両肘を上げる。

「進めー!」

次の号令で足を揃えながら、隊員全員が一斉に駆け足で走り出す。


時刻は朝の6時10分、守は列の中心で上半身裸の男達を見ながら走っている。

(もぅやだ、眠いし疲れたし寒いし、なにやってんだこの人達は。俺含めて)

(他の公務員うかってれば今頃・・・・)


守は少し前を思い返す。

18歳の誕生日を迎え、クラス全員が就職や進学に目標を持つ中、守は何をしたいのかもわからずにいた。

「頭悪いから進学はしたくないし、就職ね~」

民間企業か公務員を受けるのか迷っていた守。

すでに公務員を受ける者は、公務員対策の勉強が始まっており、守が公務員に絞り勉強に取り組み始めたのは、周りの人達が勉強を始めてから3か月たってからのスタートとなった。

結果、本来就こうと希望をだしていた地元の消防員を落とし、滑り止めで受けていた航空自衛隊へと足を運ぶことになった。


「関東にこれたのは嬉しいけど、坊主で都会は死ねる」

初めて航空自衛隊の教育課程にきた際、守が最初に思ったことである。

人生で初の3ミリ坊主に、初めての都会。

なんともミスマッチ、きわめつけは基地という名の檻の中での生活。

守にとってここが関東で始まりの地にして、すでにコンディションは無気力である。




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