表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/13

出会い編そのいち

ちょっとだけ料理ターンがおやすみになります。

「疲れた……お腹すいた……残業代出るから大目に見るけどホントあの無能ふざけんな……」


 駐車場に車を停めて、ようやく自宅付近に辿り着いた時刻は夜二十二時。

 ぶちぶちと愚痴をこぼしながら歩く私の姿はあまり褒められたものではないかもしれないけど、そんなの知ったこっちゃない。


 そもそも私はきちんと自分の仕事を定時には終わらせていたのだ。

 花の金曜日。明日から二連休。プレミアムフライデーはないものの、問題なく終業時刻には終われるはずの十七時。

 さてあとは日報を打ち込んで終了というところで、無能上司がパソコンで何かしらのエラーを起こしたらしい。

 なんかぎゃーぎゃー騒いでたけど、まあアレが五月蝿いのは今に始まったことじゃないからみんな放置してたのよね。

 私たちのパソコンは関係ないし、勝手にテメエで復旧させろと思うだけだ。


 だというのに。


 あの無能。

 何をとち狂ったのか、主電源を引っこ抜きやがってくれましたよ。ええ。

 それも、私たちのパソコンに繋がってる本当に大元のコンセントを。


 社内 リアルに 阿鼻叫喚。


 一気に色んなモンが消えたわよね。

 私は幸いにも全部保存したあとだったから消えたの日報くらいで済んだけど。あ、一応全部チェックはしたわよ。


 で、まあ、当たり前だけど、私大丈夫だったから帰りますね(はぁと)とか……言えないでしょ!?

 ちゃんと手伝ったわよ!! 諸々の復旧作業!!!


 流石にあの無能上司、支社長に呼び出されてしこたま怒られてたわ。ざまぁ。

 下手なことされたらまた何かしらやらかしそうだし、無能は放置で全員で確認アンド復旧アンド修正。

 最悪なことに一台のパソコン、ブルーアウトして中身全部飛んだから。外付けHDDに残してたのはある程度拾い直せたけど、月曜リミットのヤツがね……消えててね……ふふ…………死ぬかと思ったわ……。


 無能はなんか降格するんじゃない? 知らないけど。左遷とかの方が目につかなくていいから消えて欲しい。

 マジで。


 とりあえず目処はついたし、致命的なエラーが修復できたから順番に帰宅。私は土日出勤だけは断固として阻止してきた。やる……というか、やらざるを得ない人はいるだろうけど。


 カンカンとヒールとコンクリートがぶつかり合う音を反響させながら非常階段を上る。

 私の部屋は五階なので疲れている身には少々ツラいけれど、致し方ない。上らなきゃ部屋につかないし。エレベーター? ……深夜のエレベーターってなんか怖いのよ。


 ルームキーを鞄から取り出して505号室のドアを開ける。

 角部屋なのはラッキーなのかどうなのか。とりあえず壁が薄くないことには重点を置いて引っ越してきたから、こんな時間でもお隣さんに迷惑をかけることはない。アンド、かけられることもない。

 大事よ。壁。爆音とか聞こえてきたらやっぱイヤだし。


「とりあえずお風呂沸かそ……」


 そしてビール飲んで録画してたドラマ消化しよう。そうしよう。

 バッグをソファに放り投げてラフな格好に着替える。ご飯何作ろう。食べないという妥協はない。お腹空きすぎてるから簡単にできるものがいいけど。コンビニ弁当とかあんまり好きじゃないので完全自炊なのだ。

 冷蔵庫の中にある食材を思い出しながら、お風呂を沸かすべくバスルームへ向かう。

 夏でも冬でも関係なく私は湯舟派だ。お風呂に入らなきゃ一日終わった気がしないからこんな時間だろうとなんだろうとお風呂は絶対に入れる。


 がちゃり、とバスルームのドアを開けて、お湯を溜めるべく浴槽の栓を手に取る。うちのお風呂、栓はチェーンで繋がってないのよね。

 んー、冷蔵庫、何が入ってたかな。豚肉があったような気がする。


 ぼけっとメニューを思い浮かべながら、浴槽に栓をしようと浴槽内を覗き込んで――――――



 ――――――…………





 刃物が背中に刺さってうつ伏せに倒れているヒトがいたときはどうすればいいのか誰か教えて欲しい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ